「よぉーし!スペに念を送るぞ!せーの!」
「「「「「勝て~!」」」」」(念念念念念)
「……なあ、あんちゃん。アレって意味あると思うか?」
沖野が尚三に聞く。
「どうでしょう。でもゲン担ぎってのは大事です。ルッキーもそのタイプのレーサーなんですよ。」
「ほう。そうなのか。」
「あと沖野さん、アメ一本くれますか?」
「どうぞ。」
「ありがとうございます。タバコを辞めたら口寂しくて。」
「なるほどな。」
そしてストップウォッチを取り出す二人。
「ん?あんちゃんもタイム測るのかい?」
「はい、といってもリアクションタイムですが。」
「リアクションタイム?なんだそりゃ?」
「詳しい事はレースの後に説明します。そろそろスタートですかね?」
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『年末の中山で争われる、夢のグランプリ有馬記念!』
『冬の寒さを忘れさせるような、熱いレースを見せて欲しいですね。』
『三番人気、メジロブライト。』
『二番人気は、エアグルーヴ。』
『そして本日の一番人気、セイウンスカイ。』
『ゲートイン完了、体勢整いました。』
ガシャン!
『各ウマ娘一斉にスタート!』
『先陣を切ったのはセイウンスカイ、オフサイドワナ並んで来る。』
(ん。リアクションタイムは、0.39ってとこか。
ドラッグレースならフライングのタイムだけどな。)
『1バ身開いて第二集団、ダイスミタイクーン3番手、外からヒュージサンデー、内からマチカネフクキタル、外エアグルーヴ。』
『さらに外から、メジロドーベルが上がって来た。』
(ほう。ゲートが開いてから走り出すまでの時間を計ってるのか。出足を探るのにウチでもやってみるか。)
『中団ステイゴールド、その外からエネギシオン、ダイワオーシュウ、タイヨーズフラッグ。』
『第4コーナーカーブを抜けて、一周目スタンド前にかかって行きます。』
パシャッ! パシャッ!
シャッターを切りながら考える石嶋。
(未だにこの呼び方には慣れないな。サーキットは時計回り・反時計回りって言う事が多いし、コーナーの数え方も逆転はしないからな。)
『変わらずセイウンスカイ先頭、2番手の位置にタイヨーズフラッグ。3番手オフサイドワナ、その後ダイスミタイクーン4番手。』
『1バ身差、外からヒュージサンデー、続いてメジロドーベルは6番手の位置。その後ろエアグルーヴ、マチカネフクキタル。グラスワンダー、ステイゴールド外から。』
『その後ろ、エネギシオン、キヌノジャスティス追走して第1コーナーカーブに入って行きます!』
(バックストレッチに入って集団がバラける…残り半周。ここで内か外か、仕掛けるラインを考えられるヤツが勝つだろう。あとはスパートのタイミングとポケットを失速せず乗り越えられるかだな。)
『残り1400メートルを切ってセイウンスカイ、リードを開いていく。タイヨーズフラッグ2番手、3番手オフサイドワナ、その後ろダイスミタイクーン、メジロドーベル、続いてヒュージサンデー、先頭からここまでで15バ身、さらに続いてエアグルーヴ、ステイゴールド、グラスワンダー。』
『その後ろ、外からエネギシオン、マチカネフクキタル、さらにキヌノジャスティス、ダイワオーシュウ、スペシャルウィーク。後方から2番手の位置にメジロブライト、アサヒトップラン最後方。』
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「スペちゃん、間に合うかしら?」
「どうかな?ここから差しにいくのがあの娘の走りだが、ちょっとこの間食い過ぎてたかもしれねぇから、それが響かなきゃ良いけど。」
「トレーナーさんは、体重が増えるのは必ずしも悪い事ではないと…芥瀬さんは、どう思いますか?」
「そこは同意見だな。脚力で相殺出来る範囲なら増量しても問題は無い。競り合ってバ群から抜け出すのに、体のブレを抑えて安定させる必要があるし。」
「なるほど、そうなんですね。」
「さあ、ここからラストスパートだ。誰が勝つか見せて貰おう。」
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『第3コーナーカーブ、セイウンスカイのリードが詰まって来た、2番手メジロドーベル追い上げる。さらにオフサイドワナ、内を突くタイヨーズフラッグ。』
『残り600メートル、グラスワンダー抜けて来た、さらにエアグルーヴ、さらにエネギシオン、外からメジロブライト上がって来た!』
『残り400メートル、タイヨーズフラッグ内を突く、第4コーナーカーブがスタンド前にかかって行く。中山の直線は短いぞ!後ろの娘達は間に合うか!?』
『粘るセイウンスカイ先頭、しかし差がなくなって来た。並んで来るメジロドーベル、エネギシオン。』
『外からグラスワンダー!残り200メートル、大外からメジロブライト。』
『グラスワンダー先頭に立った!二番手メジロブライト追い縋る!』
『グラスワンダー先頭のままゴール!!!』
(ワアアアアアァァァァァーーー!)
『グラスワンダー復活です!』
タイム・2:32:1
Ⅰ:グラスワンダー
Ⅱ:メジロブライト
Ⅲ:ステイゴールド
Ⅳ:セイウンスカイ
Ⅴ:エアグルーヴ
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「スペちゃん、掲示板に居ない…。」
「掲示板を外したのは初めてか。坂で加速し切れなかったみたいだな。第3から第4コーナーまでは良かったが。帰ったら反省会だな。」
「そうですね。」
「次会ったら励ましてやんねーとな。」
そして夜になり、ウイニングライブ。
曲目は「NEXT FRONTIER」
優しげなシンセサイザーの演奏を主体に、ツーバスの重低音と、所々にノイジーなエフェクトの効いたデジタルサウンド。
階段状に可動・変形するステージとバーナーが盛り上げる。
また、レース後のウイニングライブはウマ娘達の疲労を考慮してなのか、1番のワンコーラス→間奏→大サビ、といった独自の流れを取り、音楽配信サービスには(ライブサイズVer)との表記が付く。
「力の限り、先へ。」
最後のフレーズを歌い、スチームとバックライトの演出から明点してウマ娘達がシルエットになる。
(ワアアアアアァァァァァーーー!)
初のレース描写。
アーカイブを見ながら実況をウマ娘風にし、
観戦者の会話を挟んでみた。