実際の運転では交通ルールを守り、
安全運転を心掛けましょう。
首都高C1外回り、宝町ストレート。
両車ハザードを炊きながらテールトゥノーズ、フェラーリの先行でバトル突入。
(さぁて、お手並み拝見といこうかハネウマ娘。ドライビングのレベルは高いが、この特殊なコースに何処まで対応出来るかな?)
(先行で良いのかな?公道レースは初めてだけど。)
(イイ音させてんねぇ。お陰でその普通じゃないペダルワークがすぐに分かったぜ。)
(後ろのクルマ、何て言ったっけ?あんまり日本のクルマには詳しくないけど、確か映画で見たヤツかな?)
亀井橋を抜けて銀座エリア。
(アクセルオフの時間は短く、左足ブレーキを使ってパワーバンドを外さない。尚且つミッドシップのリア寄りの荷重をフロントに移す。上手いモンだ。)
(後ろのクルマ、道をよく知ってる。ラインに迷いが無くてピッタリ貼り付いて来る。どうしよう?)
(ハンドリングはフェラーリの方が上だ。仕掛けるなら直線区間か。)
銀座~新橋の連続S字区間を抜けて、汐留トンネル出口の登りで差を詰め、S字の立ち上がりで仕掛ける。
(サーキットのセオリーならアウト・イン・アウトだが、汐留S字は路面が悪いし一般車が外側の左車線を塞ぐ事も多いから、少し窮屈だけどミドルラインに立ち上がるんだ。)
(抜かれた。ここはアウト側が使えないのか?)
(さて、キミは何者か確かめようか。だが、その前にやる事がある。)
ハザードでバトル終了を伝える。
(あれ?道案内してくれるんじゃないのか?)
浜崎橋JCTを左へ進み湾岸方面へと逃げる。
(ちゃんと付いてこいよ?来日してすぐパクられたんじゃかわいそ過ぎるからな。)
____
その頃、ハンの工場。
禁煙のためにココアとハッカの香りがするタバコ型の砂糖菓子を食べながら、請け負った仕事を確認し、どこに連絡するべきかを考えていた。
アメリカに渡りクルマ作りのノウハウは一通り知ってきているがハンが得意とするのは、ロールケージやスポット溶接増しによる補強等のボディチューン。
さらにアメリカ独自のレースであるNASCARやIMSA、パイクスピーク等の市販車を模した見た目のパイプフレームのレーシングカー達を見て学んだ設計・組み立てでありエンジン周りは外注する事も多いのだ。
(俺のGRスープラに載せる2Jエンジンはスケっちから貰う許可を取り、ルッキーのFDは依頼通り雨さんの所にお願いする。R32はどのショップに頼もうか?)
ROTARY FACTORY雨美、通称RF雨美。
業界にその名を知らぬ者は居ないロータリーエンジン専門のチューナーであり、代表である「雨サン」こと、
かつて完全プライベーターながらGT300に参戦していた実績や、雨美自信が70代で未だに湾岸線を走る現役の首都高ランナーである事もショップの信頼に繋がっているのだろう。
(やっぱりチューナーってのは、走りと作り。両方知ってなきゃいけないよな。俺もクルマを買って首都高への遠征を本格的に考えよう。向こうの仲間に取り寄せて貰うか?)
そしてハンは、アメリカに居た頃の仲間に連絡を取るのだった。
____
再び首都高。
2台はC1から首都高1号線を抜け、平和島PAに停まる。
「驚いたな。まさかウマ娘だったとは、名前は?」
「アイルトンシンボリです。」
「へぇ。キミが最近来た編入生か。」
「それを知っているという事は、貴方も学園関係者ですか?」
「これ、名刺な。学園への出入りは裏口までだが、ジャージを卸す都合上キミらのデータはウチにも来るからな。」
「なるほど。マルゼンさんが言っていたジャージ屋さんというのは、貴方でしたか。」
「おいおい。もう噂されてんのかよ。」
「はい。首都高を教えてくれたのもマルゼンさんです。」
「ったく。面白いけどアブねー道だって教えたのによ。しょうがねぇヤツだ。」
「ところで。どうして抜いてすぐに終えてしまったのか、教えてくれますか?」
「ここはサーキットじゃないからな。あのスピードで回ってたらすぐにパトカーが出て来る。」
「日本は速度の規制が厳しいとは聞いてますが、そこまでですか?」
「ああ。カメラがあって必ず5分後にはパトカーが出ると言われてる。だからタイムアタックやバトルも長くてワンラップで切り上げて、他の路線に逃げるんだ。」
「ふむ。出来れば道案内を頼みたかったんですが。そういう事情なら仕方ないですね。」
「案内するならその日は最初からゆっくり走ってキッチリ教えてやるよ。途中から悪い虫が疼き出さねぇようにな?」
「そ、そうですね(;^∀^)」
「キミらウマ娘の競走本能については、マルゼンと付き合ってるうちによく分かったし、アクセルの踏み方からしてカートかフォーミュラ上がりだろ?」
「分かるんですか?」
「まぁな。左足ブレーキをあそこまで積極的に使うヤツは珍しい。抜いてすぐじゃレーサーのプライドを傷付けるとも思ったが、パクられて免停食らうよりゃマシだと思ってな。」
「気を使って頂いたんですね。」
「まぁ、首都高デビューしたヤツに色々教えるのも俺らの努めだと思ってるからな。あまり日本の道路事情を知らないって事は何処か海外に居たのか?」
「はい。ブラジルでレースをしていまして、昨シーズンのF3でチャンピオンになりました。」
「そりゃすげぇな。もしかして同じ名前の、彼の経歴を追っているのか?」
「はい。彼を知っているんですか?」
「直撃世代じゃねぇが、大ファンだ。コイツも彼の影響で吸ってる。」
「なるほど。確か黒いロータスのスポンサーだったタバコですね。」
「その通り。じゃあ、キミがフェラーリに乗ってるのも、彼が移籍を希望していた事を知ってなのか?」
「はい、そうです。よく知っていますね。貴方のクルマは、彼と何か関係が?」
「直接の関係は無いかな?彼の乗ってたF3がトヨタの2T-Gエンジンだった事は知っているか?」
「いえ。そこまでは、あまりメカには詳しくなくて…すいません。」
「まぁ、そういうのはゆっくり覚えていきゃ良い。2T-Gエンジンを搭載したクルマの中にセリカというクルマがあって、俺のスープラは同じ系列のクルマだ。アメリカじゃ兄弟車だった時期もある。」
「アメリカでは、とは?」
「日本じゃ
「なるほど。」
「しかし彼の経歴を追うなら、そのままF1に行く所だろ。どうして日本に来たんだ?」
「体が本格化を迎えたのでシンボリ本家がある日本のトゥインクルシリーズに参加するためです。自分の脚で走るのではなくモータースポーツに進ませてもらったりと。色々とわがままを聞いてもらった恩がありますから。」
「そうか。で、トレーナーは見つかったのか?」
「いえ。まだですが、僕にはトレーナーに付いて欲しい人が居ます。まだ勉強中との事ですが。」
「ほう。なんかどっかで聞いたような話だな。俺の知り合いにもそういうヤツが居るが、もしかしてバイクレーサー上がりだったりするか?」
「!、はい。」
「お。顔色が変わったな。芥瀬流貴とはガキの頃からの仲だ。今度見舞いに付いて来るか?」
「良いんですか?よろしくお願いします。」
「んじゃまた今度な、今日は帰ろうぜ。警察に気を付けろ。そのクルマ目立つからな(笑)おやすみ。」
「はい。おやすみなさい。」
____
数日後。
流貴の病室には見舞いに来た江助と、数人のウマ娘が居た。
「とりあえず一人ずつ自己紹介してくれるか?」
「アイルトンシンボリです、アイルトンと呼んで下さい。よろしくお願いします」
「よろしくアイルトン。コウちゃんから色々聞いたよ。わざわざ地球の裏側から俺に会いに来るとはモノ好きだな。で、マルゼンが連れてきたその子は?」
マルゼンスキーが連れてきた黒毛のショートヘアと赤い瞳、内側が緑色のウマ耳が特徴的なウマ娘が挨拶をする。
「はい!ウイニングチケットです!チケゾーで良いよ!」
「よろしく。元気なのは良いが、病院だからもうちょい静かにな?」
「あっ、ごめんなさ~い(*´・ω・)」
「あとはこの間会ったライスシャワーか。」
「はい。ルキさん、私はライスで良いよ。」
「んじゃ、ライス。改めてよろしくな。」
「えへへ。よろしくお願いします。」
「で、マルゼンが連れてきたって事は、俺と組ませたいって事か?」
「そうねぇ。まだトレーナーじゃなくてもルキくんなりに、何かしらのプランは考えているんじゃないかと思って。」
「まぁ。そうだな。とりあえず俺が昔カートでやった練習の応用だ。」
「何をするのかしら?」
「ペース走は合同トレーニングでやってると思うけど、それとは別に自己ベスト近い所でラップタイムを揃えてみてくれ。」
「ふぇ?揃えるの?」
「どういう意味かしら?」
「ふむ。僕もカートでそういう練習をした事がありますが、トゥインクルシリーズのレース時間と距離では役に立つのでしょうか?」
「確かにウマ娘のレースは時間も距離もモータースポーツと比べれば短い。だけど短いが故に立て直してる時間が無く誤魔化しがきかないって事も考えようぜ。」
「と言うと?」
「例えばサーキットレースで何かしらのミスをしてタイムが落ちたとする。シフトやブレーキングとか、周回遅れに詰まったりとかね。」
「ふむ、確かに。」
「サーキットならタイヤの交換時間や給油時間の短縮等ピットの戦略で巻き返す事が出来るけど、ウマ娘のレースにはそんな時間は無いからな。」
「言われてみれば、そうですね。」
「だから安定して速く走るための練習をして、下地をしっかり作っておかないと実戦でも速く走れないと思う。」
「なるほどね。」
「結構難しそうだね…。」
「それならラチの境目とかハロン棒とか、自分なりの目印を決めればいい。それに合わせて加速・減速のタイミングを合わせて行けばタイムは揃っていくはずだ。」
「サーキットのコーナー手前の看板みたいなモンだな。」
「そういう事。あとはハロン棒とハロン棒の真ん中を上手く狙って行けば100m毎に仕掛けのタイミングを調整出来るようになるだろう。」
「ん?100m刻みって意味あるのか?」
「まぁそれは俺の勘なんだけど。1ハロン200m刻みに走ってると体内で勝手にペースメーカーが出来上がると思うから、有馬みたいに半端な距離のレースの事も考えてある程度対応が効くようにしておきたいんだ。」
「まぁ確かに、知らないうちにクセが付くのはあるかもな。」
「それはみんなの距離適正や狙ってるレースにもよるけどね。まず三人にはタイムを揃える練習からして貰おうかな。他の細かい指示はLANEでするからアカウントを教えてくれ。」
LANEを交換しグループを作り、流貴の仮トレーナーとしての活動が始まる。
「さて、今日はこれからどうする?」
「自己紹介も兼ねてスズカさんのお見舞いに行こうと思います。僕と誕生日が同じらしくて。」
「んじゃ、俺も付いていくか。」
「あたしも。」
「俺も行くかな。」
「アタシも!」
「ライスも行って、大丈夫かな?」
「ん?何か用事あるのか?」
「また不幸を起こしちゃったらどうしようかなって。」
「それを言ったら、入院してる時点で不幸だと思うんだけどな。」
「そうねぇ。ライスちゃんが言ってるのはよく信号に引っ掛かるとかそういうレベルなのよね。」
「じゃあここなら、なかなかエレベーターが来ないとかかな(笑)ちょっとした巡り合わせだよな。」
「そうよねぇ。」
「階段で行こうか?その分足腰鍛えれるぜ。」
「ええ。行きましょう。」
「さて、良いかライス?そういうのは気の持ちようだ。あんまり気にし過ぎない方が良い。」
「そう……だね。」
「じゃ、行くか。」
C1のバトル描写は似たようなのを最近良く書いてるのでコンパクトに。
実際のブラジルF3はカテゴリー自体が2018年に終わっていますが、この作品はウマ娘アニメ1期(2018)からアプリリリース(2021)辺りの時系列で適当に考えてる他、こっちの世界とはパラレルなので現実との乖離が生じる事もあります。