コバルトブルー   作:RPM

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34:リプライとリプレイ

 

 

温泉から上がり、廊下に出るとユノハナブルームに会う。

 

「お夕飯が出来るまで、お待ち下さい。お部屋の方へお持ちしますか?」

 

「え?どういう事?」

 

「宴会場でお召し上がりになる事も出来るのです。」

 

「なるほど。んじゃあ、久しぶりに一杯やるか。」

 

「では、宴会場でお召し上がりですね?」

 

「ああ。出来たら呼んでくれ。」

 

「一緒に飲みましょう。因みに私、結構強いですよ~?」

 

「その顔でザルなのかよ…。」

 

「そういえば、芥瀬様はレースで世界を回ってきたと思いますが、苦手なお酒はありますか?」

 

「洋酒はあんまり得意じゃない。ワインとかウイスキーは、次の日頭が痛くなるんだよな。」

 

「では。ビールや焼酎、日本酒はいかがでしょう?」

 

「その系統なら大丈夫だ。」

 

「了解いたしました。お部屋でお待ち下さい。」

 

部屋に戻ると、スマホに返信が来る。

 

(ピロリン♪)

 

『浴衣似合ってるよー!でもなんでアタシに?ジョーダンがウマスタに上げて良いか聞いてるけど。』

 

『まぁ。もう寝顔見られてるし、減るもんじゃねぇからな。たまにはサービスしてやる(笑)好きにしてくれ。』

 

ウイニングチケットと同室のイマドキギャルなウマ娘。トーセンジョーダンによって、流貴の浴衣写真がウマスタグラムに上げられる。

 

『この間ツクバ?だっけ?で色々教えてくれた人。言ってる事むずくてよく分かんなかったケド。メッチャ速い人だったんだよね~。でも優しかった。なんか知らんけど自撮りくれたわ(笑)アップの許可もらってま~す。#芥瀬流貴#浴衣#ゆこま温泉』

 

流貴はウマスタグラムをやっていないので、ウマッターの方で確認する。

 

(アップ早いな、今時の子は。なんかリプ送っとくか。)

 

しかし流貴はあまりSNSに慣れておらず。顔文字を送ったのみだった。

 

『|д゚)チラッ』

『本人登場じゃ~ん!おっつー。でも何で顔文字だけ?』

『うるせぇ。慣れてねぇんだよ。』

『ウケるwwwつか何で温泉?』

『この間久々にサーキット走ったら疲れた。』

『あーそういうこと。因みにアレ、ラヴちゃんが生配信してたよ。』

 

(まさかウマスタライブとかに?)

 

『まぁ別に撮影は禁止してねぇけど、どれだ?あの時は色々乗ったぞ?』

『アンタがなんか変な音のする、青い車で走ったヤツ。』

『NA-7か。』

『アレ速かったよね~。気になんなら、アーカイブ見てみたら?』

『そうだな。』

 

ジョーダンとのリプ合戦を終了し、考える。

 

「今日は休みに来たんだけど…、シラフの内に見ておくか。」

 

結局なんやかんやでレース馬鹿が治っていない事に気付きつつ、アーカイブを探し始める。

 

「結局止まれてねぇ(笑)で、ラヴって誰だ?ウマッターにも上がってるか?」

 

ウマ娘は名前を略して呼び合う事も多く、ラヴだけでは特定しにくい。

 

「…ハッシュタグってヤツに、俺の名前が付いてりゃそこから行けるか?」

 

慣れない検索だが、とりあえずやってみる。

 

「シャープ付けりゃ良いんだっけ?」

 

再びウマッターを開き先ほどのトーセンジョーダンの投稿を見ると…。

 

「あ、これか。」

 

そこには青文字で#芥瀬流貴とあり、それをタップする。

 

「意外と多いな。そんなに撮られてたか。」

 

そこには、筑波での走行会の日に撮影された写真や動画が並んでいた。

 

「ラヴズオンリーユー…この子か。」

 

ラヴズオンリーユーの投稿を遡り、動画を見付ける。

 

「…見てみるか。」

 

再生ボタンを押す。

 

『ラヴズオンリーユーです。いきなりでごめんだけどライブ配信するわね。』

 

そこには少し髪の乱れたラヴズオンリーユーの姿。

 

(自撮り棒持った赤い髪の子、確かに居たな。あの時はシャカールに煽られていきなりタイムアタックに入ったから、ピットからヘアピン上の席まで走ったんだな。)

 

『来たわね…あら?アクセル踏みっぱなし?』

 

(確か最初の3周、第一ヘアピンは全部左足ブレーキで抜けたよな。)

 

コメント欄も混乱している。

『なんで曲がれるんだ?』

『怖っ。』

『車に見えない…。』

 

(あの時は恐怖は感じてなかったけど、アドレナリンが切れた状態で見るとヤベェな。)

 

2~3周目は立ち上がり重視のラインを繰り返す。

 

『えっ?なんであんなに揃えられるの?』

 

コメント欄、

『なんかコピーみたい。』

『本当に人間が乗ってるのか?』

『正確過ぎる…。』

 

(いや、俺も筑波以外じゃここまでできねぇな。)

 

そして4周目、タイヤのキャパシティギリギリのタイムアタック。

 

『!。音が変わったわ!』

 

コメント欄、

『静かなのに速い!』

『走りというか、流れるような…。』

『もう見えない…。』

 

タイヤブリッジ下をくぐり、カメラから消えるNA-7。

 

(あの後第二ヘアピン入り口で滑ったんだよなぁ。あの立て直しは、またやれと言われても出来るかどうか…。)

 

動画はその後ピットに戻り、電光掲示板を映すが。

 

『…えっ?』

 

そこには異常に揃ったラップタイム3周と、タイムアタックの4周目のタイム。

 

LAP1.0:58:315

LAP2.0:57:928

LAP3.0:57:501

LAP4.0:56:738

 

ラヴズが言葉を失う。

 

コメント欄、

『嘘だろ…。』

『なんであんなにバラバラなのに揃うの?』

『人間業か?』

 

ピットも静まりかえっている中、NA-7が帰ってくる。

 

流貴が車を降り、ナカヤマフェスタとタニノギムレットに称賛される。

 

そしてシャカールと話したラインをわざと変えたのは、レコードラインを通れない実戦想定の走りであるという事。

 

『そういう、事なのね。』 

 

コメント欄、

『見せるためにやってたのか。』

『でも簡単にはできなそう。』

『凄い人だね。』

 

(ウマいね。だけしとくかな。)

 

いいねボタンに当たる人参マークをタップし、スマホを閉じる。

 

「なんか休めてないような気もするが…。自分で自分を見るってのも、今日の目的ではあったからいいか。こういう見方も、あるんだな…。レースゲームのリプレイみたいなモンか。」

 

(ジュッ!)

 

少し落ち着くために一服する。

 

「しかし自分で走っといてなんだが、ちょっと気持ち悪いな(笑)あのタイムの揃い方は。」

 

(コンコンッ)

 

「お夕飯の準備が出来ましたので、宴会場へお越し下さい。」

 

「よし、行くか。」

 

タバコを消し、宴会場へ向かう。

 

 

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