コバルトブルー   作:RPM

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44:指導と回収

 

 

「そういえば、雨さんってその東名レースの頃は何乗ってましたか?」

 

「FCだね。真っ赤でフェラーリテスタロッサみたいなワイドボディの。」

 

「何回かカー雑誌にも載ってましたね。ポルシェ928みたいな丸いリトラのヤツですよね。」

 

「そう、その個体だ。エンジンは20Bにターボを組んで500馬力だとか。東名レースで300km越えを記録した数少ない内の1人だよ。今でも時々湾岸線に現れるらしいね。」

 

「ひえぇ。相変わらず、あの爺さん何考えてるんだか(笑)」

 

「いやいや。芥瀬君も将来ああなりそうだから、人の事言えないよ?」

 

「否定出来ませんね(笑)」

 

笑い合いながら移動し、体育館へ着く。

 

「ウマ娘のみんなはお昼かな?とりあえず電源入れて準備しようか。」

 

筐体の電源を入れる光良。

 

「そういえば、プレイデータの記録はどうするんだ?」

 

「良い所に気が付いたな。今回はカード以外の方法で考えてる。」

 

「ん?何で?」

 

「車の性能は固定だからな。記録するのはラップタイムと隠し車両の解放。あとはセッティングデータか。」

 

「そう考えると、改造を進めるゲームよりはデータが少ないか。」

 

「そうだな。あとはカードは紛失のリスクもあるし、何かしら個人を認証する装置を入れたい。」

 

「確かに、その方が確実だな。」

 

話していると、理事長とたづなさんが体育館へ来る。

 

「うむ。改めて歓迎しよう!芥瀬君と猛元君!」

 

「どうも、ありがとうございます。」

 

「よろしくお願いします。」

 

そうこうしていると、生徒達が体育館へやって来る。

 

「こんにちはー。」

 

「こんにちは。よろしく。」

 

数分後。

 

「うむ。だいぶ集まったようだな。」

 

するとそこに。

 

「アクタセサーーーン!!!」(ドドドドド)

 

「……来たか、タイキ。」

 

ウオッカに予告されていた事もあり、腰を少し落とし受け止める構えをする。

 

(ドーーーン!……ズルズル)

 

なんとか受け止めるが、少し後ろに引き摺られる。

 

「おおー。がっぷり四つだね☆。」

 

「素晴らしいです。ナイスマッスル!」

 

ヒシアケボノとメジロライアンが流貴の丈夫さに感心していると…。

 

「た わ け が!!!」

 

エアグルーヴがタイキに注意し、流貴からタイキを剥がす。

 

「全く。いつも不用意なハグは控えろと言っているだろうが!」

 

「Oh。申し訳ないデース。」

 

「大丈夫か?」

 

「まぁ、事故の衝撃よりはマシだ。急に衝突実験になったがな(笑)」

 

コキコキと関節を鳴らしつつ応じる流貴。

 

「しかし、驚かないのか?」

 

「ハグは海外じゃ普通だし慣れたよ。あと、警告は事前にウオッカからされてたからな。」 

 

話を振られて困惑するウオッカ。

 

「いやぁ…はは。吹っ飛ばされると思ったんすけど、やっぱり芥瀬さん頑丈っすねぇ。」

 

「おいおいウオッカ。これぐらい頑丈じゃないとバイクは振り回せねぇぞ?それに体幹はウマ娘のレースでも大事だろ。」

 

「体幹っすか…。」

 

「インナーマッスルとも言うかな?見た目じゃ分かりにくいけど、寝る前の暇なちょっとした時間に片足立ちするとか。簡単な事でも変わってくるモンだぜ。」

 

「芥瀬さんが退院してすぐにハヤブサを振り回せたのも、そういうトレーニングをしてたからなんすか?」

 

「ああ。リハビリと一緒に半分は暇潰しも兼ねてな。」

 

(ざわ…ざわ…)

(真面目な人ね)

(面倒臭いわね)

 

流貴の地道な話にざわつく周囲。

 

\…パンッ/

 

それを流貴は手を叩いて締める。

 

「さて、色々聞きてぇ事もあるだろうけどよ。後で質疑応答と講習会をやる。筑波で言いそびれた事もあるし。まずは先にひとっ走りして、俺の目標を回収させてもらうぜ。」

 

「え?あの時でも充分速かったんすけど、まだ何かあるんすか?」

 

「ああ。Super NA-7のショップ側の記録は55秒台だからな。今日はそこに入れる。」

 

「マジっすか…。」

 

「あと、ラインずらしから真似してる子が居るみたいだけど順序が逆だ。先にタイムを揃える走りが出来た上でのラインずらしだからな。」

 

そして流貴は筐体に座りシートポジションを合わせ、スタートボタンを押しゲームを始める。

 

「んじゃいくぜ、タケちゃん。」

 

「OK…ん?誰も隣来ないのか?ドライバー視点を共有出来るぞ。」

 

光良がモニターを共有モードへ設定しながら聞く。

 

「そうねぇ。あたしは元々助手席が苦手なんだけど、ルキくんの隣は特にご遠慮したいわねぇ。」

 

「へぇ。自分で操作出来ないと気持ち悪くなっちゃう感じか?」

 

「そうだけど、どうして分かるの?」

 

「自分で操作してリズムを作るのは好きだけど、勝手に動くのは嫌いってのは結構居るからな。運転は好きだけど、絶叫マシンが苦手なのと同じ理屈だな。」

 

「なるへそ。って事はルキくんもジェットコースター嫌いかしら?」

 

「ご想像にお任せします(笑)」

 

((((おっと?意外な弱点発見?))))

 

「まぁ、適当に見ててくれ。」

 

「なんかユルいわねぇ?」

 

「そりゃ、ゲームはやらかしても死なないからな(笑)」

 

「アッサリと怖い事言うんじゃないよアンタは。」

 

光良が突っ込みを入れつつ、ゲームはカーセレクトへ。

 

「ルキくんが筑波で乗ったセブンちゃんの性能って、どうだったのかしら?」

 

「アレは普通のFDじゃないからなぁ。タイムアタック用に仕立て直したGT車両なんだ。」

 

「なるへそ。どうりで速いと思ったわ。」

 

「このゲームだったらGT2クラスに相当するか。」

 

そしてGT2クラスからトムススープラを選び、セッティングに入る。

 

「あら、ルキくんがスーちゃんに乗るのね。」

 

「まぁ。乗ってみたかったのもあるし、ターボ車のフィーリングに慣れたいからな。」

 

「それにしてもGT選手権の車って軽いわよねぇ。スーちゃんが1100kgってどうなってるのかしら?」

 

表示されたスペックを見てマルゼンが驚く。

 

「ボディの素材が違うからなぁ。形は市販車に似せてるけど…そういう話も後でしようか。」

 

「了解したわ。セッティングはどうするの?」

 

「筑波は意外と高低差あるからな。足周りは柔らかめで、ギアは加速重視か。スピードで合わせられるのは便利だな。」

 

トップスピードを230kmに合わせ、ファイナルギアをセッティングする流貴。

 

「よし。これで行ってみようか。」

 

「少し高めのスピードにセットしたわね?」

 

「最高速はギア比だけじゃ決まらないからな。ダウンフォースとエアロの抵抗も加味するとこれぐらいが良いと思う。」

 

「なるへそ。」

 

ダウンフォースと外装のセッティングに移る。

 

「エアロセット完了、カラーリングは3パターンか?」

 

そこには、オイルメーカーの白地に赤と緑のペイントが入ったお馴染みのカラーや電装メーカーの紅白カラー、そしてBPR選手権にスポット参戦した紅白三角のタバコカラーが入っていた。

 

(さすがにタバコのロゴはバーコードだよな。)

 

マニアックなカラーリングにニヤリとしつつ、タバコカラーを選択。

 

「さて、走る前にタケちゃん。開発者目線でコイツはどんな感じよ?」

 

「そうだな。レースカーは乗って確かめられないから、メーカーへの取材で出た開発者やドライバーのコメントを基に挙動を作ってる。」

 

「なるほど。で?やっぱりスープラはアンダーな感じ?」

 

「基本的には弱アンダーな特性までは変わらないが、ここまで大改造と軽量化をされた車では、攻め込んでいくと今度はホイールベースの短さからオーバーステアが出る。気を付けろ。」

 

「何ミリだったっけ?」

 

「2550mm。NSXとほぼ同じなんだ。」

 

「なるほど……つまり、ちゃんときっかけ作って曲げていければ、メリハリのある走りが出来るってワケか。」

 

「まぁ。能書きはこのぐらいにして、そろそろ見せてくれよ。ギャラリーもお待ちだぜ?」

 

「了解。んじゃ、行くぜ。」

 

 

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