コバルトブルー   作:RPM

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45:趣味と面接と恩返し①

 

 

VRウマレーターのレースシミュレーターにて、筑波を走る流貴。マシンはトムススープラ。

 

(まずは軽く様子見だな。タイヤへの熱入れまで再現されてるかは分かんねぇが。)

 

バックストレッチからローリングスタート。最終コーナーを抜け加速していく。

 

(さぁて。楽しませてもらうぜ。)

 

コックピット視点のデジタルメーターを見て、8000rpmを目安にシフトアップ。

 

(ここだ…!)

 

第一コーナーへ進入、ブレーキングしギアを2速へ落とす。

 

(アレ?)

(意外とユルい?)

(普通はインに入るわよね?)

 

1部のウマ娘がライン取りの違和感に気付く。

 

(でも、速い!)

(何で!?)

 

そのまま緩やかなコーナーリングで一周。タイムが記録される。

 

『0:56:006』

 

「え?」

 

セオリー通りのアウト・イン・アウトからは外れたライン取り、なのに速いタイムにウマ娘達は混乱する。

 

『0:55:545』

 

2周目は少しだけ小回りに走り、目標タイムの55秒台を達成する。

 

「「「「「おお~!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!」」」」」

 

歓声が沸き上がる中、3周目に入る。

 

「これで締めだ。行くぞ!」

 

流貴の纏う雰囲気が鋭くなる。

 

(ゾワッ!)

 

第一コーナー進入。

 

(走りが変わった!?)

 

流貴はそれまでのグリップ走行から、ドリフトスタイルへと走りを変える。それに光良も気付く。

 

(なんかWRCっていうか、サイバーエボみたいな走りに変えて来たな。しかしそれでタイムが出るのか?スープラはFRだぜ?)

 

第一コーナーを立ち上がる。

 

(カウンターを最小限にして、滑らせながら加速させてんのか?FRでも出来るんだな…。)

 

S字を抜け第一ヘアピンへ。タイヤを鳴らさずに曲げていくが、2周目までと違いイン側のゼブラゾーンまでしっかり使う。

 

(ココはセオリー通りに抜けてきたな。)

 

タイヤブリッジから緩やかな左コーナーまで乗せ続け、第二ヘアピン入り口で一気にスピードを殺す。

 

(自在だな。たったの3周でモノにしたのか…やっぱりどっかおかしいぜ、アンタ。)

 

バックストレッチから最終コーナーを抜け、ラップタイムが出る。

 

『0:54:928』

 

なんと55秒を切っていた。

 

(パチパチパチパチ……。)

 

拍手が巻き起こる中、ゲームを終了し筐体から降りる流貴。

 

「さて、どうよ?タケちゃん。」

 

「順応するスピードが普通じゃないな。500馬力級のFRはかなりピーキーなハズなんだが。」

 

「だから最初はユルく走って、少し慣れたら切り込んでみたんだよね。」

 

「軽く言いやがる…。あとはリアルスープラユーザーの洋谷の意見も聞きたいが、今日はトレセンに来るのか?」

 

「コウちゃん今週いっぱいは来ないって。なんでも年度末にまとめて有給取らされたとか。」

 

「働き過ぎなんだよなーアイツも。」

 

「寝不足になるまでゲーム作ってる人が言うなよ(笑)」

 

2人が笑い合う中突っ込みが入る。

 

「それを言うたらアンタもとちゃうんか?芥瀬はん?」

 

「キミは?あと、流貴で良いぞ。」

 

「タマモクロスや。よろしゅうな!せやったらルキちゃん。アンタもビタ一文になれへんのに、ウチらに色々教えてくれるやんか。」

 

「まぁ、半分は趣味みたいなモンだし。」

 

「ほぉ。残りはなんやねん?」

 

「ちょっと照れ臭いけど、恩返し。かな?」

 

「どういうこっちゃ?」

 

「俺が事故ったのはプライベートでの事だけど、引退して色々どうしたら良いか分かんなくなってたんだ。その時にたまたま見たのが去年の安田記念。そこでちょっと励まされたっていうか。」

 

「ほぉ。ここにもオグリに励まされたヤツがおったか。」

 

そしてギャラリーの中からオグリキャップが出てくる。

 

「キミも、見ていてくれたんだな。ありがとう。」

 

「こちらこそ、ありがとう。」

 

(ガシッ)

 

握手を交わす流貴とオグリキャップ。しかし…。

 

(ぐううぅぅ~)

 

2人の腹が鳴った。

 

「な ん で や ね ん !ルキちゃんまで鳴っとるやん。」

 

\ドッ/

 

回りが爆笑に包まれる。

 

「いやぁ。朝メシのあとは保健室で昼寝さしてもらってたから、昼いらないと思ったんだけど(笑)やっぱり腹は減るかぁ。」

 

「せやったらオグリはカフェテリア、ルキちゃんは購買でも行こか?」

 

「そうだな。適当にパンとコーヒーでも買うか。みんな、オススメのパンは?」

 

「にんじんパン!」「げそコロネ。」

 

「なんじゃそりゃ?とりあえず行ってみるか。」

 

「あたしも行こうかねぇ。」「あたしもー。」

 

流貴と光良に続いて数人のウマ娘も購買へ向かい、そのまま流れで休憩となるのだった。

 

____

 

 

購買。付いてきたウマ娘にトレセン特有のパンを紹介される。

 

「マジでイカゲソをコロネに入れてるよぉ…。」

 

「おいっす。ナイスネイチャでーす。あたしは好きなんだよねぇ。」

 

「まぁ。イカ飯のご飯がパンになったようなモンって理解は出来るけど、それ以上に見た目が強烈だな。」

 

「良く分かんないけどクトゥルフ神話のアレみたいだな(笑)」

 

光良が笑いながら突っ込む。

 

「とりあえず食べてみようか。タケちゃんはどうするの?」

 

「にんじんパンにしとく。カロテン摂っとかないとね。」

 

「確かにな。」(他にも色々足りないだろうけど。)

 

「おや。2人ともブラックコーヒーですか。渋いねぇ。」

 

「イカのタレって甘めだからね。コーヒーはスッキリ目で。」

 

「コーヒーポリフェノールで少しでも健康に…な。」

 

「タケちゃんは先に睡眠じゃねーの?」

 

「まぁ、設置までは漕ぎ着けたから最初の山は越えたよ。少しはゆっくり出来る。」

 

「なるほどね。」

 

パンと缶コーヒーを購入し、近くのベンチに座る。

 

「いただきます。」「いただきま~す。」

 

「さて、みなさん。ぽりぽりさんもいかがかしら?」

 

「コレは?」

 

「大根のぬか漬けじゃよ。そして私はワンダーアキュートじゃ。よろしくねぇ。」

 

「ああ、よろしく。いただきます。」

 

「ふふ…。ルキさんや、アナタは時代劇の殺陣みたいな走りをするねぇ。」

 

「どうかな?そこまで緻密に稽古したモンじゃねぇが。まぁ、詳しくはこの後だな。」

 

「楽しみにしとるよ。」

 

パンとぽりぽりさんを食べ終わる2人。

 

「「ご馳走さまでした。」」

 

「お粗末さまでした。じゃあ、体育館で待っとるよ。」

 

「ゲソコロネはどうでしたか?」

 

「柔らかく焼いてあって味付けも良かったけど、やっぱりご飯の方が良いな俺は。」

 

「なるほどねぇ。」

 

「にんじんパンおしかった?ゲームのお兄さん。」

 

「光良でいいぞ。おいしかったよ、ウララ。」

 

「えへへ~。じゃあアキラちゃんとルキちゃん。私も待ってるね~。」

 

「ああ。」「了解。」

 

体育祭に戻るウマ娘達を見送る。

 

「さて、じゃあ車から荷物を取って来るか。」

 

「そうだな。」

 

駐車場へ移動し光良はカメラ、流貴はツナギとヘルメットを車のトランクから取り出す。

 

「車とバイク用の2種類ずつか?」

 

「ああ。筑波でレーシングウェアについての話もやる予定だったんだが、色々あって流れちまったからな。ココで回収させてもらう。」

 

「へぇ。なるほど。」

 

「そして今日は、俺にとっての面接でもあるからな。」

 

「まぁ、確かにな。」

 

「行くぞ。」

 

「ああ。」

 

体育館へと戻る2人。

 

 

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