VRウマレーターのレースシミュレーターにて、筑波を走る流貴。マシンはトムススープラ。
(まずは軽く様子見だな。タイヤへの熱入れまで再現されてるかは分かんねぇが。)
バックストレッチからローリングスタート。最終コーナーを抜け加速していく。
(さぁて。楽しませてもらうぜ。)
コックピット視点のデジタルメーターを見て、8000rpmを目安にシフトアップ。
(ここだ…!)
第一コーナーへ進入、ブレーキングしギアを2速へ落とす。
(アレ?)
(意外とユルい?)
(普通はインに入るわよね?)
1部のウマ娘がライン取りの違和感に気付く。
(でも、速い!)
(何で!?)
そのまま緩やかなコーナーリングで一周。タイムが記録される。
『0:56:006』
「え?」
セオリー通りのアウト・イン・アウトからは外れたライン取り、なのに速いタイムにウマ娘達は混乱する。
『0:55:545』
2周目は少しだけ小回りに走り、目標タイムの55秒台を達成する。
「「「「「おお~!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!」」」」」
歓声が沸き上がる中、3周目に入る。
「これで締めだ。行くぞ!」
流貴の纏う雰囲気が鋭くなる。
(ゾワッ!)
第一コーナー進入。
(走りが変わった!?)
流貴はそれまでのグリップ走行から、ドリフトスタイルへと走りを変える。それに光良も気付く。
(なんかWRCっていうか、サイバーエボみたいな走りに変えて来たな。しかしそれでタイムが出るのか?スープラはFRだぜ?)
第一コーナーを立ち上がる。
(カウンターを最小限にして、滑らせながら加速させてんのか?FRでも出来るんだな…。)
S字を抜け第一ヘアピンへ。タイヤを鳴らさずに曲げていくが、2周目までと違いイン側のゼブラゾーンまでしっかり使う。
(ココはセオリー通りに抜けてきたな。)
タイヤブリッジから緩やかな左コーナーまで乗せ続け、第二ヘアピン入り口で一気にスピードを殺す。
(自在だな。たったの3周でモノにしたのか…やっぱりどっかおかしいぜ、アンタ。)
バックストレッチから最終コーナーを抜け、ラップタイムが出る。
『0:54:928』
なんと55秒を切っていた。
(パチパチパチパチ……。)
拍手が巻き起こる中、ゲームを終了し筐体から降りる流貴。
「さて、どうよ?タケちゃん。」
「順応するスピードが普通じゃないな。500馬力級のFRはかなりピーキーなハズなんだが。」
「だから最初はユルく走って、少し慣れたら切り込んでみたんだよね。」
「軽く言いやがる…。あとはリアルスープラユーザーの洋谷の意見も聞きたいが、今日はトレセンに来るのか?」
「コウちゃん今週いっぱいは来ないって。なんでも年度末にまとめて有給取らされたとか。」
「働き過ぎなんだよなーアイツも。」
「寝不足になるまでゲーム作ってる人が言うなよ(笑)」
2人が笑い合う中突っ込みが入る。
「それを言うたらアンタもとちゃうんか?芥瀬はん?」
「キミは?あと、流貴で良いぞ。」
「タマモクロスや。よろしゅうな!せやったらルキちゃん。アンタもビタ一文になれへんのに、ウチらに色々教えてくれるやんか。」
「まぁ、半分は趣味みたいなモンだし。」
「ほぉ。残りはなんやねん?」
「ちょっと照れ臭いけど、恩返し。かな?」
「どういうこっちゃ?」
「俺が事故ったのはプライベートでの事だけど、引退して色々どうしたら良いか分かんなくなってたんだ。その時にたまたま見たのが去年の安田記念。そこでちょっと励まされたっていうか。」
「ほぉ。ここにもオグリに励まされたヤツがおったか。」
そしてギャラリーの中からオグリキャップが出てくる。
「キミも、見ていてくれたんだな。ありがとう。」
「こちらこそ、ありがとう。」
(ガシッ)
握手を交わす流貴とオグリキャップ。しかし…。
(ぐううぅぅ~)
2人の腹が鳴った。
「な ん で や ね ん !ルキちゃんまで鳴っとるやん。」
\ドッ/
回りが爆笑に包まれる。
「いやぁ。朝メシのあとは保健室で昼寝さしてもらってたから、昼いらないと思ったんだけど(笑)やっぱり腹は減るかぁ。」
「せやったらオグリはカフェテリア、ルキちゃんは購買でも行こか?」
「そうだな。適当にパンとコーヒーでも買うか。みんな、オススメのパンは?」
「にんじんパン!」「げそコロネ。」
「なんじゃそりゃ?とりあえず行ってみるか。」
「あたしも行こうかねぇ。」「あたしもー。」
流貴と光良に続いて数人のウマ娘も購買へ向かい、そのまま流れで休憩となるのだった。
____
購買。付いてきたウマ娘にトレセン特有のパンを紹介される。
「マジでイカゲソをコロネに入れてるよぉ…。」
「おいっす。ナイスネイチャでーす。あたしは好きなんだよねぇ。」
「まぁ。イカ飯のご飯がパンになったようなモンって理解は出来るけど、それ以上に見た目が強烈だな。」
「良く分かんないけどクトゥルフ神話のアレみたいだな(笑)」
光良が笑いながら突っ込む。
「とりあえず食べてみようか。タケちゃんはどうするの?」
「にんじんパンにしとく。カロテン摂っとかないとね。」
「確かにな。」(他にも色々足りないだろうけど。)
「おや。2人ともブラックコーヒーですか。渋いねぇ。」
「イカのタレって甘めだからね。コーヒーはスッキリ目で。」
「コーヒーポリフェノールで少しでも健康に…な。」
「タケちゃんは先に睡眠じゃねーの?」
「まぁ、設置までは漕ぎ着けたから最初の山は越えたよ。少しはゆっくり出来る。」
「なるほどね。」
パンと缶コーヒーを購入し、近くのベンチに座る。
「いただきます。」「いただきま~す。」
「さて、みなさん。ぽりぽりさんもいかがかしら?」
「コレは?」
「大根のぬか漬けじゃよ。そして私はワンダーアキュートじゃ。よろしくねぇ。」
「ああ、よろしく。いただきます。」
「ふふ…。ルキさんや、アナタは時代劇の殺陣みたいな走りをするねぇ。」
「どうかな?そこまで緻密に稽古したモンじゃねぇが。まぁ、詳しくはこの後だな。」
「楽しみにしとるよ。」
パンとぽりぽりさんを食べ終わる2人。
「「ご馳走さまでした。」」
「お粗末さまでした。じゃあ、体育館で待っとるよ。」
「ゲソコロネはどうでしたか?」
「柔らかく焼いてあって味付けも良かったけど、やっぱりご飯の方が良いな俺は。」
「なるほどねぇ。」
「にんじんパンおしかった?ゲームのお兄さん。」
「光良でいいぞ。おいしかったよ、ウララ。」
「えへへ~。じゃあアキラちゃんとルキちゃん。私も待ってるね~。」
「ああ。」「了解。」
体育祭に戻るウマ娘達を見送る。
「さて、じゃあ車から荷物を取って来るか。」
「そうだな。」
駐車場へ移動し光良はカメラ、流貴はツナギとヘルメットを車のトランクから取り出す。
「車とバイク用の2種類ずつか?」
「ああ。筑波でレーシングウェアについての話もやる予定だったんだが、色々あって流れちまったからな。ココで回収させてもらう。」
「へぇ。なるほど。」
「そして今日は、俺にとっての面接でもあるからな。」
「まぁ、確かにな。」
「行くぞ。」
「ああ。」
体育館へと戻る2人。