ノラハザ   作:はらだいこ

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寧々丸ちゃんの3Dお披露目時のべろべろばーがあまりに面白すぎたので本作でも活用させていただきました。バブちゃんもご機嫌です。


第十五話 寧々丸のいないいないばぁ!

10月31日 午前4時頃 洋館一階 廊下

 

唸り声を上げながら迫るゾンビにベレッタSCの引き金を引くたびにるるるの腕が大きく跳ね上がる。

 

バンバンバン!

 

「わわわ!当たらないよー!」

 

深層家執事として戦闘訓練を受けたノラと異なり、全くの素人であるるるるは三発に一発程度しか当て

られない。

 

おぉぉぉぉぉ……!

 

「わぁぁぁー!来ないでぇぇぇぇっ!!」

 

バンバン!バンバンバンッ!

 

ゾンビの接近に泡をくって闇雲に打ちまくってついに弾切れとなる。

 

「た、弾がっ!いやぁぁぁぁっ!」

 

うぉぉぉぉぉぉっ!

 

涎を滴らせたゾンビがるるるに掴みかかり、その細首に食らいつこうとする。

 

「やだぁぁぁぁ!」

「たやぅ!」

 

ばごん!

 

るるるの背中のみるくが大きく開いたゾンビの口に閃光手榴弾を捩じり込み、手榴弾のピンを引き抜く。ゾンビが一瞬虚

をつかれた隙にるるるが両脚でゾンビを蹴り飛ばす。

 

「どひぇぇぇぇ!爆発するー!」

 

ばぉん!

 

床にとう伏せたるるるの頭上で閃光手榴弾が炸裂してゾンビの頭蓋骨や脳漿が飛散する。

 

じゅぅぅぅぅぅ……!

 

「えっ!なになにっ!この匂い!酸っぱ臭い!」

「びきゃぁぁぁ!顔がじゅって!じゅってなるぅぅぅぅぅ!」

 

血や骨片だけでなくゾンビの強酸化した胃液も飛散。よりにもよってみるくの頬に付着。ぷにぷにのほっぺがじゅく

じゅくと焼け爛れ悲鳴を上げるみるくにるるるが泡を食う。

 

「わわわわわっ!バブちゃん大丈夫?!」

 

大慌てであらかじめ調合しておいたグリーンハーブ軟膏をみるくの頬に塗り付ける。幸い傷は浅かったものの、みるくは本格

的にぐずり始める。

 

「ひぐっ……あぁ……あはぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「わわわわわっ!どうしよ!どうしよっ!泣いちゃった泣いちゃった!」

 

一度泣き出した赤子は手に負えない。

 

「よ、よしよーし!たかいたかーい」

「びゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

高い高いしてもダメ。

 

「ほ、ほら飴ちゃんあげるよ!」

「うっー!」

 

白衣のポッケにしまって忘れていた飴玉を取り出して与えようとしても顔を背けぽろぽろと涙を殴す。

 

 

慌ててみるくをあやそうとるるるは必死に手を尽くすが、どれも逆効果でみるくは延々と泣き続ける。

 

「びぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

「うわー!どうすれば泣き止むの?もうこっちが泣きたいよぉー!」

 

泣き叫ぶみるくを抱えて途方に暮れるるるるの鼻を漂ってきた紫煙が撫でる。

 

「ぷはー。どったのるるるちゃーん?」

「ね、寧々丸ちゃん!」

 

独特の鼻にかかったしゃがれた声音にるるるが後ろを振り返ると煙草を美味そうに吹かす寧々丸の

姿があった。

 

「ね、寧々丸ちゃん!無事でよかったよぉぉぉぉぉ」

 

みるくを抱きかかえたままたーとダッシュして寧々丸の胸に飛び込んでいく。

 

「よしよし。怖かったね」

 

薄い胸でみるくごとるるるを受け止めて、優しく抱きしめて頭を撫でて慰める。小柄なるるるの腕の中

で泣きじゃくる豆粒のように小さいみるくの顔を覗き込んでによによと口角が上がる。

 

「あぁぁぁぁ♥バブちったら泣いても可愛いーねぇ♥でも笑ってる顔がいっちばーん♥」

 

背中を痙攣させて嗚咽するばぶの顔に両手で隠した自分の顔を近づけていく。

 

「ひっひっ!ひぐっ!……?」

「いないいなぁぁぁぁぁぁい……」

 

密着するほどみるくに近づいて静止しみるくの関心を引いたタイミングで。

 

「ばぁっ!」

 

青ざめた顔に八重歯を剥き出しにして舌を出し、見開いた眼にはハートが浮いている。美人が台無しの変

顔に泣くのも忘れてきょとんとする。

 

「べろべろべろ~~ばぁ!」

 

今度は上半身を左右に振り子のように動かし、無様なほどに口を大きくけて舌をれろれろと動かす。

 

「きゃっ!きゃはははっ!きゃはははっっ!」

 

爆発したような大泣きからは考えられないほどの無邪気な笑み。赤子とは単純なものとほっとるるる

は胸を撫でおろす。

 

「ありがとー!寧々丸ちゃん!」

「どういたましてー!疲れたっしょ。バブち貸して貸して」

 

すっかり上機嫌のみるくを受け渡してあやしてもらう様を見て、絶対絶命の見習い執事のことを思い出

す。

 

「そうだそうだ!ノラたんが危ない!蔦のおばけに捕まってるの!」

 

るるるはプラント42の蔦に捕らえらえたノラのことを説明する。

 

「ノラちゃん!ノラちゃん!」

「マジ!?そりゃ一刻の猶予もないね。でも、その蔦のおばけとは真正面から戦いたくねー」

「えっ?!じゃあ、どうすれば……」

「へっへー。そこで生返博士の出番って訳」

 

洋館をくまなく探索していた寧々丸は蔦の化物ことプラント42の性質を書き記した書類を手に入れていた。

 

「V-JOLT……?これさえあれば……!」

「たやぅ!ノラちゃんたすけう!」

「うっし!ノラっち救出作戦開始!」

 

ノラ救出という目的の元に三人のこころは一つになる。一方その頃ノラはというと

 

みしみしみし……

 

野太い蔦に締め上げられ天高く掲げられたノラの細身の胴体を万力の様に締め上げ肺が圧迫されてうめき声が

漏れ出る。しかし、青ざめた顔に関わらず口角は歪に上がり屈折した笑みを形作っている。

 

「おぅぅ……これはこれで……良いかも……です♥」

 

新しい世界に目覚めていた。

 

つづく

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