ノラハザ   作:はらだいこ

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プラント42に捕らえらえたノラを救うためにみるく、るるる、寧々丸の三人で力を合わせて立ち向かいます。今回はなめこたろうも活躍します。


第十六話 VSプラント42

10月31日 午前4時半頃 寄宿舎 大広間

 

製薬室でるるるが精製したV-JOLTを警備室の天井をぶちプラント42の根にかけて枯れさせると、武器弾薬、回復用のハーブを揃え、みるくの抱っこ紐も新調した一行はいよいよプラント42との戦いに挑むこととなった。

 

ヴヴヴヴ……!

 

外敵の侵入を察知した大広間にある巨大な巣からワスプがわらわらと飛び出してくる。

 

「わっ!蜂ウザっ!何匹いんだよー!」

 

マグナムを構える寧々丸だが、どれほど高威力だろうと”点”による攻撃はワスプには効果が薄い。

 

「まかせて!寧々丸ちゃん!汚物は消毒だー!」

 

ぐいっと自信満々に眉を上げて前に出たるるるが破損したノラのショットガンをベースに各種適当なパーツを組み合わせ、製薬室にある薬品と灯油を組み合わせて作った燃料で作り上げた即席の火炎放射器を雲霞の如く殺到するワスプに向け引き金を引く。

 

ボォォォォォォォォォッ!!

 

目の前に巨大な火球が出現したかのような広範囲かつ圧倒的な火炎の奔流を前に数十匹のワスプは一瞬で炭化してボトボトと床に落ちていく。

 

「るるるちゃん、マジすげー!これなら蔦のお化けってのもイチコロじゃん!」

 

まさしく飛んで火にいる夏の虫といった痛快さに寧々丸とみるくのテンションが爆上げする。

 

「たゃう!火炎放射器つよつよぉ!このままボス戦!ボス戦!」

「よしみんな!ノラたんを助けるよ!」

 

火炎放射器の圧倒的な火力を前にに3人の士気は最高潮。意気揚々と大広間の観音扉を開けると寄宿舎の主が姿を現す。

 

「うぇー!何あれ!球根?でっか!シャンデリアみたぁい!」

 

二階構造の見上げるほど高い天井にぶら下がった球根とも巨大な蕾とも形容できるプラント42の本体を起点に無数の蔦が天井から血管の様に走る様はまるで巨大な生物の体内に侵入したような異様さに初見の寧々丸は思わず面食らう。

 

「ノラちゃーん!助けに来たよぉー!」

「うぅ……み、みるく……お、お嬢……さま」

 

蔦に締め上げられ血の気の失せた顔に恍惚とした表情を浮かべたノラのむき出しの背中がびくり痙攣して辛

うじて息の根が残っていることを伝える。

 

「え、えいっ!先手必勝!」

 

慌てて火炎放射器を構えたるるるは火炎放射器を本体に向けて構えて引き金絞る。しかし、球根の周りの硬質な殻が閉じて怒涛の火炎を完全にシャットアウトする。

 

「えぇー!嘘っ!効かない!?」

「殻もそうだけど天井が高すぎて微妙に射程から外れてるよぉ!これじゃ燃やせない」

 

 

火力こそ高いが射程は短く、たとえ殻が無かったとしてもるるるの位置から天井にぶら下がった球根状の本体を炙ることしかできない。

 

「二階に行こっ!あそこなら直火焼きにできるよっ!」

 

ここぞという場面で冷静な赤子の小さい指が階段をびしっと指さす。

 

「よっしゃ!援護するよるるるちゃん!」

「うん!寧々丸ちゃんお願い!」

 

結構な重量の火炎放射器を抱えて階段を駆け上がっていくるるるを絡めとろうと野太い蔦が伸びるが

寧々丸の正確な射撃で撃ち落とされていく。

 

ズドン!ズドン!ズドン!

 

「はぁはぁ!めっちゃしんどい!でも、ここなら……ひゃっ!」

 

じゅぉぉっ!

 

天井から滴る強酸を帯びた体液が滴りるるるの足元に落ちる。これでは火炎放射器を構えることもまま

ならない。

 

「くっ!なめこたろう!シールド展開!」

「了解です。博士」

 

るるるの後ろを影の様についてきていたやたらイケボななめこたろうが単三電池四個分の電力を消費して

3分間だけシールドを展開する。なめこたろうの頭上から青白く輝く八角形の力場が瞬時に展開して半円

状の防壁を形成してるるるとみるくの身をを守り通す。

 

「だぅ!なめこたろう!ないす~」

 

閃光手榴弾のピンを抜いて赤子場慣れした強肩で投擲。硬質な殻を吹き飛ばす。衝撃に殻を閉じて本体を奥に収納しようとするが間髪入れずに寧々丸が協力無比な44マグナム弾を叩き込み堅牢な殻を次々と破砕していく。

 

ばぉん!ばぉん!ばぉん!

 

「うりゃうりゃー!バブちー!加勢するよー」

 

みるくの手榴弾の炸裂と寧々丸のマグナムの援護射撃で殻がすべて剥がれ落ち、脆弱ん本体がむき出しとなったタイミングでるるるは火炎放射器の狙いを定める。

 

「これで終わり!やぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

ぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!

 

タンクの燃料を全開放してコアにありったけの火炎を叩きつける。プラント42の本体はあっという間に炎に包まれ蔦が断末魔の痙攣を始める。

 

「よし効いてる!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「わきゃぁぁぁぁぁぁ!」

「博士っ!」

 

最後の抵抗でプラント42がデタラメに振るった蔦がシールドが切れて無防備になったるるるに直撃する。二階部分が崩壊して、みるくの悲鳴と共に真っ逆さまに転落するるるるをなめこたろうがプロペラを全開にして辛うじて持ち上げる。

 

「電力ももう限界……寧々丸殿……博士を頼みます……」

 

気を失ったるるるはみるくを背負っていたのでうつ伏せで床に横たえると電池切れでなめこたろうがノイズ交じりの声と共に床に不時着する。

 

「うわぁん!やだやだやだっ!るるるちゃーん!」

「バブち落ち着いて!!貧乏神ぃー!るるるちゃんとなめこが限界だから呑み込んだってー!」

 

全身打撲で満身創痍のるるると電池切れのなめこたろうを貧乏神があんぐりと口を開けて呑み込む。貧乏神の体内であれば少しずつでも傷が治癒される。

 

タールのように粘性の高い燃料で長々と延焼して炭化したプラント42はボトンと床に落ちて浜に打ち上げられたマリモのような姿となる。

 

「うぐっ!るるるお嬢様……すいません。みなさん、ボク、役立たず……で」

 

力を失った蔦から辛うじて抜け出たノラは極度に消耗してこそいたが、なんとか自力で立ち上がる。

 

「ノラちゃん気にしないで、取り合えず場所代えてゆっくり休もっか」

 

みるくを背負い、半ば失神しかけているノラをお姫様抱っこすると植物が焦げた匂いが充満する広間から退出して、一時の休息に向かった。

 

つづく

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