10月30日 午後10時半頃 深層洋館 1F 物置
ケルベロスとの戦闘による痔の出血で走ることもままならないノラは逃げるように物置部屋に駆け込んだ。
ぷしゅぅぅうう!
「あぁあ~~♥みるくお嬢さまぁん♥そこ♥そこですうぅっ♥」
物置部屋に寧々丸からのプレゼントという書置きと共に置いてあったアンブレラ製の救急スプレーを吹き付けてもらい夢見心地のノラ。気色の悪い喘ぎ声を上げながら、ぶんぶんと左右に動く尻尾が顔に当たり、眉根を寄せるみるくにお構いなしにノラは快感に悶え続ける。
「ふぅ、ありがとうございます。みるくお嬢様」
救急スプレーは効果てきめんで痔の出血は止まり、痛痒感が引き、体調は以前よりむしろ改善した。
「どーいたちまちてー」
「寧々丸お嬢様といい、助けてもらってばかりでボクはまだまだ未熟です」
自分の不甲斐なさに肩を落とす時間も惜しいと、痔の問題がどうにか解決したノラは再びみるくを背負うと、ケルベロスとの戦闘で空になったマガジンを変える。
「正直、あのゾンビたちに、ベレッタじゃパワー不足ですね。何か新しい武器が欲しいですね」
「バブも新しい武器、ほし~~」
「そうですねー。みるくお嬢様にも手榴弾とか持たせてあげたいですねー」
新しいダガーナイフを構えて、戦意十分なみるくに勇気づけられたノラはゾンビの徘徊する洋館の探索を再開した。
うぉぉぉぉぉ……!
バンバン!バンバンバン!
つんざく銃声に貧乏神が怯えてノラの背に隠れる。二階に上がったノラは廊下の角に隠れてゾンビをベレッタで狙撃する。
しかし、ゾンビに致命傷を与えられる頭部への狙撃はうまくいかず二発に一発は外してしまう上、胴体を狙おうにも十メートル近く離れての狙撃では空気抵抗で弾丸の威力が削がれてしまい掃討に難儀する。
「ふぅ、一度に二体以上出るパターンが一番きっついですねー」
ゾンビがすべて床に倒れたとみて不用意にまたいで通ろうとしたノラの手首を完全に絶命していなかったゾンビが鷲掴みにする。
「まだ生きてるぅぅぅっっっ!!いやぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁっっっ!!!」
「ぴきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ」
警察が呼ばれるほどの絶叫にみるくも釣られて泣き叫ぶ。ふくらはぎに噛みつこうとするゾンビを固い革靴の底で蹴ってひるませて、至近距離でベレッタを連射して頭部に集中砲火を加える。
バンバンバンッ!バン!バンバン!
既に頭部がミンチ状になったにも関わらず打ち続けあっという間に弾切れになる。
「あちゃー、また撃ちすぎちゃったもうマガジンがもうないですー……?どうしました」
貧乏神がじっと床に転がったゾンビを凝視している。常に怯えて役に立たない貧乏神にしては珍しいとノラも視線を移してみる。
「肌が赤く……気のせい?」
血の気のない青白い肌がほんのりと赤身が差していっているように見える。
「気味が悪いですね……早く行きましょう」
念のため頭部に一発撃ち込んでおこうと思ったが弾に余裕がないとその場を後にする。完全に止めを差さなかったことをほどなくしてノラは後悔することになる。
つづく