ノラハザ   作:はらだいこ

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深層姉妹の一人目DWUお嬢様救出です。深剣アングラディウスで闇の呼吸一の型を披露します。カラスのクリーチャークロウはうっとうしさでは随一だと思います。


第六話 貧乏神の真価

10月30日 午後11半時時頃 深層洋館 ホール2F

 

理性の光を失った目でホールの二階をぐるぐる徘徊していたゾンビが若く柔らかい肉の匂いにうめき声を上げながら足を進める。

 

「ノラちゃん、まだ、あとしゅこし、あとしゅこし!」

 

みるくがノラの背中でダガーナイフを構え、固唾を飲んで見守る。ショットガンを構えたノラが深呼吸をして手を伸ばし、半開きにした口から涎を滴らせたゾンビの頭部に慎重に狙いを定める。

 

「1、2の……3!今だ!」

 

バォン!

 

掛け声とともにノラが引き金を引くと散弾がショットガンの銃口から解き放たれる。散弾が拡散仕切る前の絶妙な距離感ですべての散弾がゾンビの頭部に吸い込まれる。

 

頭部が綺麗に血の霧となって砕け散り、ゾンビは一瞬その場に立ち尽くすと、膝をついてその場に倒れた。

 

「ジャストミート!きんもぉちいい~~!」

「ぷぃぃぃぃ!ノラちゃん、ナイスー!」

 

ベレッタとは違い一発でゾンビを倒す快感にノラは酔いしれる。スライドさせて排莢して、2階の東側を探索

していると森を一望できるテラスにたどり着いた。

 

「なにあのカラス……不気味」

 

木々の梢から目を血走らせた数羽のカラスがノラとみるくを値踏みするようにぎょろりと視線を向けてくる。

 

「じっとこっち見てりゅ。こわーい」

 

かぁー!かぁー!かぁー!

 

「大丈夫ですよ。ショットガンでミンチにしてやります」

 

洋館はそこかしこに武器弾薬が点在しているので初めて入った部屋はくまなく探索する癖がついている。ノラの視線がテラスの奥の椅子に座る人影を認める。

 

「えっ!あ、あれって……!」

 

ボリューム満点の縦ロールツインテール。紫色のドレス。立派なお胸、我らが深層家長女ディープウェブ・アンダーグラウンドその人だった。

 

「DWUお嬢様!?大丈夫ですか」

「うっ!ノラ……ですの」

 

目を覚ましうっすらと眼を開けたDWUの額からは血が流れ、ドレスは所々が破けている。熾烈な戦いを繰り広げてきたことが伺える。

 

「気を着けなさい……あいつらが……」

「えっ!なにっ!?うわぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

ばさばさばさばさっ!

 

新しい獲物と見定めたノラにカラスがTウィルスに感染して変異したクリーチャー”クロウ”。が死の風となってノラに一斉に襲い掛かる。

 

「うわぁぁぁぁぁっ!くるなぁぁぁぁ!」

 

ばぉん!ばぉん!ばぉん!ばぉん!ばぉん!

 

ノラは顔を真っ青にしてショットガンを乱射する。散弾のため多少狙いが甘くてもクロウに命中してハエの様に落ちていくがあっという間に7発を撃ち尽くしたノラに残りの数匹が襲い掛かる。

 

「ちょ!きゃぁぁぁぁぁっ!」

 

弾ギレになったショットガンを捨てて、ベレッタを構えようとするも周囲を取り囲まれてしまう。

 

「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ママ!ママッ!」

 

四方八方からのくちばしによる攻撃。みるくは頭のちょんまげをつつかれ悲鳴を上げる。

 

「み、みるくお嬢様!」

「二人とも!伏せなさい!闇の呼吸一の型!」

 

DWUは満身創痍のみで長女味を発揮して腰に佩いていた深剣アングラディウスを取り出し闇のオーラを纏った刀身を一閃してクロウの群れを殲滅する。

 

「かはっ……!」

 

この一撃ですべての力を使い果たしたDWUは床に崩れ落ちる。

 

「大丈夫ですか?!DUWお嬢様!」

「DWUおねーちゃーん!死なないでー!

「大丈夫ですわ……でも、もう動けな……」

 

今のおぎゃノラコンビに重症のDWUを守りながら洋館の探索を続ける余力はない。途方に暮れているとノラの周りにうっとうしくまとわりついていた貧乏神が風船のように膨らみ始めた。

 

「わー!〇ービィ!」

「どうしたんですか、いきなり……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

貧乏神が一頭身の食いしん坊キャラのようにDWUを吸い込み身体に収めてしまう。

 

「なにお嬢様のこと食べてんですか!早く吐き出し……えっ!」

 

銃を向けるノラに貧乏神が慌てて身振り手振りで自分の口は異空間に繋がっていること、異空間にいるうちは少しずつだが身体が治癒していくことを聞いてノラは銃を下ろした。

 

「なんと!それはありがたい!今まで役立たずだとしか思っていませんでしたけど意外な取り柄があるんだぁ」

「ぷぃあ!DWUゲットだぜぇ!」

 

珍しく貧乏神に感心したノラはDWUが座っていた椅子の近くに落ちていたグレネードランチャーに今更気付いて飛びつくがゾンビとの激戦で故障していて使うことができない。

 

「弾はみかけてたんですけど、残念。これも異空間にしまえるー?」

 

頷いた貧乏神の口に故障したグレネードランチャーを突っ込むと死屍累々とクロウの死骸が転がるテラスを後にする。

 

「機会に強い深層姉妹がいれば助かるなー。るるるお嬢様とか……えっ!あれは、ひょっとして!」

 

再び2階ホールに戻ってくるとブリキのおもちゃを連想させる三頭身ボディのロボットが中空を小さなプロペラを回して飛行している。深層六女るるる博士の相棒”なめこたろう”であった。

 

つづく

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