ノラハザ   作:はらだいこ

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バイオの謎解き要素は深層要素を絡めながら見せ場に使っていく予定です。


第八話 赤子、疾る!

ノラが屋根裏部屋に足を踏み入れると部屋の奥にある暖炉から巨体には似合わない俊敏さで大蛇のB.O.Wヨ―ンが現れ、鎌首をもたげる。名前の語源ともなったあくびをするようにノラとみるく程度なら一呑みに出来るほど大きく口を開けると唾液の糸が口腔に無数に引く様を見てアサルトショットガンを手にして気が大きくなっていたノラの顔はたちまち真っ青になり甲高い悲鳴が放たれる。

 

「いやぁぁぁっ!ちょっとでかい!なにあれ!うわぁぁぁぁっ!きたぁぁぁ!!!」

「わぁぁぁ!わぁ!ママ!ママッッ!」

 

しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

 

想像の倍以上の大きさのヨ―ンが威嚇しながら襲いかかってきたので、さっそく泡を食ってショットガンを乱射する。

 

バォン!バォン!バォン!バォン!バォン!

 

通常のショットガンよりも銃身が長いため集団性に優れるアサルトショットガンはヨ―ンのカエルのような滑りに覆われた皮膚を削るも、野太い胴体を貫通することはできず、考えなしの連射であっというまに弾を使い果たしてしまう。

 

「ノラちゃん落ち着いてぇ!あいつは小回りが利かないみたいだから、とにかく距離をとって!」

 

冷静沈着な背中の赤子の指示に従い弾を込めながら距離を置くも、狭く障害物も多い屋根裏部屋では巨体ながら狭い場所にも入り込めるヨ―ンが圧倒的に優位だ。

 

しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!

 

鎌首をもたげて大型のナイフよりも鋭利な牙を剥き出しにしてヨ―ンは突っ込んでくる。ノラは咄嗟に横に飛んで躱すが牙の先端がふくらはぎを掠めて血の飛沫が上がる。

 

「いやぁぁぁぁぁ!!血がぁぁぁぁっ!」

 

傷の深さの割に出血が激しく気が動転したノラの両頬の肉を後ろからむんずと鷲掴んでにゅっと伸ばす。

 

「ひりゅくおひょうひゃま?!」

「ノラちゃん!灯油であの蛇ちゃん丸焦げにするんだよぉ!」

 

ノラの首をぐいと45度動かした先には灯油缶。この舘の灯油は通常の灯油とは異なり急激に燃焼してすぐに鎮火する。可燃性の液体の良いとこどりを利用しない手はない。

 

「やってみましょう!みるくお嬢様!」

「だうっ!」

 

おしゃぶりを外し、閃光手榴弾のピンを外すとヨ―ンに投げつける。起爆と同時に鼻垂れる眩い閃光でヨ―ンの視界を一時的にマヒさせた隙にノラが灯油缶に走る。

 

しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!

 

「どりゃぁぁぁぁぁっ!」

 

砲丸投げの要領で灯油缶をヨ―ンの大口に投げ込むと間髪入れずにハンドガンを連発する。

 

バン!バン!バン!バン!バン!バン!

 

灯油缶の表面に当たると火花が散り、灯油缶に引火する。

 

ぼぉぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!

 

眩い光と共に炎の奔流がヨ―ンの口腔から溢れヨ―ンは悲鳴と共にのたうち回る。

 

しゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ♥

 

「ひゃぁぁ!袖に火が!」

 

まき散らされる火の粉が袖に燃え移り必死に火を振り払う。特殊な皮膚のおかげで比較的炎に対する耐性は強いが、口腔を焼かれてはたまらなない。

 

しゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!

 

「ぎゃっ!ボディにもろに……!」

「ぶぇ!衝撃が貫通……!」

 

野太い身体をのた打ち回らせた余波でノラを弾き飛ばすと、暖炉に撤退していく。

 

「はぁはぁ、なんとかやりましたね……みるくお嬢様」

「ぷぅぅぅ!おぎゃノラは無敵よ!」

 

ヨ―ンが消えた暖炉の前で月の描かれたクレストを入手する。

 

「また変なのを拾いましたよ。まったくこの洋館はこんなのばっかりですね」

「ノラちゃん、それより足のケガ、だいじょうび?」

「あっ!そうだすっかり忘れてた!いたた、意識したらまた痛み出してきた……」

 

ヨ―ンの鋭利な牙に深々と抉られ、出血が続いていた足の傷を包帯で止血して屋根裏部屋を出ると、ノラの体調に異変が起きた。

 

「えっ!あ、あれ、眩暈が……」

 

くらっと立ち眩みを起こしたとおもったらもう立っていられない。膝から崩れ落ちてそのまま仰向けに昏倒する。

 

「ノラちゃん!ノラちゃん!わぁぁぁぁあぁぁん!」

 

ノラの体調の急変にみるくは泣き叫ぶ。みるくをあやすために右手でみるくのぷよぷよしたちょんまげを撫で擦る。

 

「みるくお嬢様……わたしのことはいいです……寧々丸お嬢様に助けを……」

「ひぐっ!ひっ!待っててノラちゃん!今、血清を持ってくるよ!」

 

ノラの額には脂汗が浮かびひどい熱だ。セツは血清が効いたのかぐっすりと寝ておりみるくの鳴き声を聞いても眼を覚まさない。意識を失ったノラを助けられうのは自分しかいない。涙と鼻水を拭い、おんぶ紐から抜け出すと、さっそく得意の高速ハイハイを披露した。

 

つづく

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