2周目スズカさんがトレーナーを手に入れるまで 作:subcul
今回は少し短めになりました。
前話に引き続きキャラ崩壊注意でお願いします。
「書類のここの欄にサインをしてくれ!やましい事は何も無いが一応目はしっかり通すんだぞ?」
「はい...♡トレーナーさん♡」
選抜レースで無事にトレーナーさんの
「あの...♡トレーナーさん♡ここはどういう意味ですか?♡」
「うん?ああ、それは...」
トレーナーさんにピッタリとくっつきながら幸せを噛み締める。まだまだ私とトレーナーさんの未来への道は始まったばかり。
それでも、久しぶりの幸せに浸らずにはいられない。
「必要事項は...うん。OKだ。それじゃあ改めて、」
「これからよろしくな!スズカ!」
「はいっ///よろしくお願いしますね♡」
【スズカ】と懐かしい響きに多幸感で脳がぴりぴりとする。選抜レース後、トレーナーさんにお願いしてまた呼んで貰った。
あの時から、トレーナーさんが死んでからずっと待ち望んでいた私を呼ぶ声。私の好きな音...♡♡
「注視すべきなのは目下のデビュー戦なのは間違いないけど、まずスズカの目標を聞かせて欲しい」
「あくまでデビュー戦はスタート。ゴールが無きゃ走ることもできないだろ?」
私の目標...。もちろん【天皇賞・秋】は外せない。トレーナーさんと私が分かたれた因縁のレース。
...でも、それだけじゃ足りない。
「出たいレースが、幾つか」
「おう。それって?」
「クラシック三冠を、取りたいんです」
「まぁ、誰もが憧れるよな。スズカなら素質は十分だと思うぞ!」
...足りない。
「あとは...ジャパンカップ...」
「海外のウマ娘も参戦するレースだな!世界のウマ娘と競える実力を付けられる様に、全力で指導するぞ!」
「宝塚記念と...」
「お、おう。ファン投票で選ばれることが条件になるだろうな!スズカが出たいって言ったレースに出て結果を残せば間違いないと思うぞ!」
「有馬記念ですね...」
「多いな!?」
前世では私の故障について何も知らない人達の嫌がらせで、トレーナーさんの持病が悪化した。
何も知らない癖に...!トレーニングを考える為に遅くまで残業していたトレーナーさんの姿も...!誰よりも私のことを
「結果を残したいんです。...沢山の、結果を」
もう二度と、失敗はしない。
もう二度と、トレーナーさんを侮辱させない。
もう二度と、
「スズカ!」
「トレーナーさん...?」
トレーナーさんの声に意識を取り戻す。
「俺、何かしてしまったか?」
トレーナーさんが心配そうな、こちらを恐る恐る伺う様な顔で見つめてくる。前世でもあまり見たことの無い表情。
...トレーナーさん♡♡可愛い♡♡
どこか怯えも混ざっている様にも見えて、私の中の【ナニカ】が燻っている。どんどん大きくなっていった【ナニカ】が。
「いえ♡♡とれーなーさんは、自慢のとれーなーさんです♡♡どうかしたんですか♡♡」
「その、何だ。毛が逆立っていたから...」
いけないわ♡♡トレーナーさんを怖がらせてしまったみたい♡♡
...早く安心させてあげないと♡♡
【トレーナーside】
選抜レースが終わり、サイレンススズカ。スズカをスカウトすることに決めた。第一印象は少し【アレ】だったが走りを見て魅了された。
...魅了されたあまり周りが見えず、大勢のウマ娘とトレーナーの前で抱きついてしまったのは非常にマズかったが。
トレーナー室に着いて直ぐに謝罪したが、怒られた訳でも許された訳でもなかった。何故か嬉しそうに褒められてしまった。
「トレーナーさん!もっとシテも良いんですよ?」
といったことも言われる始末だ。
若干気性難なのかもしれないと思いもしたが、ソレはソレ。走りに魅了されたことは変わりない。
ヤケに距離が近いスズカと書類を確認して、話題は目標とするレースの話になる。とんでもなく素質があるウマ娘だとは知っているが、正直な所距離適性に関しては疑問に思うこともあったからだ。
出てきたレースの名前はいっそ壮観で、名のあるG1ばかり。しかし、歴代のウマ娘に憧れている様子も見えず、こだわりもそこまで無さそうだった。
...思わず、「多いな!?」と言ってしまった。
...いや、会話の中で理由を聞き出すという意図もあったけどな?
それが悪かったのだろうか。スズカは俯きブツブツとつぶやき始めた。可愛らしく美しい少女は途端にナリを潜め、底知れない恐怖がふつふつと湧いてくる程だった。
「スズカ!」
...声をかける。手は汗ばんでビショビショだ。毛が逆立っていたと指摘しても自覚していなかったみたいだ。正直怖い。
「とれーなーさん♡♡」
甘く、どこか懐かしいような声色でスズカが呼びかける。ほぼ無意識的に伏し目になっていた目線を上に上げた。
瞬間、脇から背中に手を回され力強く抱きしめられた。胸元にグリグリと顔を押し付けられ、離れそうにない。
「スズカ離してくれ!距離感がおかしいっ!」
「とれーなーさん♡♡すみません♡♡怖かったですよね♡♡でも大丈夫ですよ♡♡私は貴方の愛バですから♡♡」
「私はとれーなーさんの愛バ♡♡スズカはとれーなーさんの愛バ♡♡」
「スズカは...俺の...愛バ...?」
...あぁ、そうだ。何を怖がることがある?自分の愛バに対して怖がることのなんて不毛でバ鹿らしいことか。
...眠くなってきた。このまま寝てしまおう。
スズカがくっついたまま、ソファに寝転んだ。
「ええ!?嘘でしょ!?」
トレーナーさんが私を上にして寝てしまった。燻っていた【ナニカ】が小さくなっていくのを感じる。
それより...
「早くっ♡♡離れないとぉ♡♡」
*このウマ娘。色々拗らせている故に耐久面が非常に弱かった。トレーナーの胸に顔を押し付けていたのも一瞬。自分がトリップしない様途中から頭を押し付け、匂いから身を守った程には紙耐久である。
「手が、振りほどけないっ♡♡」
*ワイシャツ事件で一応は反省している為、理性を総動員して懸命に離れようとするが、今度は物理的な拘束で離れられない。
「とれーなー、しゃん♡♡もう♡♡ダメ♡♡」
*結局自制は出来なかった。トレーナー室からはしばらく水音が響き、その十数分後には艶やかなウマ娘が出ていったとか。
「本当にすまなかったスズカ!途中で寝てしまうだなんて職務怠慢もいいとこだよな...」
「いっいえ!気にしないで下さい...」
「ところで目標レースを聞いた後の記憶が無いんだが」
「トレーニングに行きましょうトレーナーさん!」
「いや服が全体的に湿ってたの」
「先に行ってますね!」
こんなやり取りがあったとか、無かったとか。
沢山の評価、感想ありがとうございます。
暇つぶしで投稿を始めたこの小説も、想像以上に多くの皆様に読んで頂いて嬉しい限りです。ありがとうございます。
出走する予定のレースは時間がある時に活動報告に載せようと考えていますので興味がある方は目を通してみてください。