木星圏にその実力を知られる武闘派組織、タービンズの船ハンマーヘッド。
そこに思わぬ来客があったのは、鉄華団がタービンズ傘下に入ることが確定した直後のことだ。
「おいおい名瀬よぉ、まぁ〜たガキこさえたそうじゃねぇかよ。オメェって奴は、オレを素寒貧にする気かぁ?んん〜?」
一見嫌味っぽいが、その言葉に棘はない。
どちらかと言うと身内をからかっていると言った方が正しいか。
そう言うと、黄色い帽子と同じ色のファー付きトレンチコートに身を包んだ男は懐から膨らんだ封筒を取り出し机の上に置く。
「それでガキにベビー服でもおもちゃでも買ってやんな。釣りはいらねぇよ」
「そ、そんな悪りぃですって兄貴」
名瀬が遠慮がちにそう言うと、彼は名瀬の肩をバンバンと叩く。
「年寄りのお節介ってのは聞いとくもんだぜぇ?」
それじゃ、邪魔したなぁ〜。そう言うと、彼は去って行った。
「誰なんです?あの人」
純粋に気になったのだろう、たまたまその場に居合わせた鉄華団団長・オルガイツカはこれから自分の兄貴分となる名瀬・タービンに問いかける。
「あの人か…あの人はスゲェ人さ」
「そんなにすごい人なんですか?」
今度はビスケット・グリフォンが問う。
「テイワズの事実上のNo.2って言えばわかるか?」
「!!じゃあ、あの人が……」
「なんだ、知ってんのか?」
「知ってるも何も、あの人は…」
□□□□□□□
あっっっぶねぇぇぇ〜〜!!
もうちょいで帰るとこだったよアイツら!!
ったく、わざわざここまで来るのも手間だってぇのに。
「いいんですか?」
オレが心の中でボヤいていると、不意に話しかけられる。
やめてくれや、心臓に悪りぃ。
「なにがだ?」
ツカツカと廊下を歩くオレに部屋の前で待機させていた部下の一人が問いかけて来たのだ。
「またあんなに渡して!!名瀬のヤツがまた増長したらどうするんです!?」
「まぁまぁ、若ぇ奴らが活躍してくれるのは喜ばしいことじゃねぇかよ」
語気を荒げる部下を、何とか宥める。
まだここ、ハンマーヘッドの中なんだけど。
「しかし!!それではオヤジの立場が…」
う〜〜ん…。この人らな〜んかオレにテイワズの次期トップになって欲しそうなんだよなぁ〜。
ぶっちゃけそんな器じゃないっての。
つーかなんだよ、何で鉄血?そしてなんでコイツ?
「聞いてるんですか!?」
「おうおう、聞いてる聞いてる」
まぁ顔見せ程度だが、これで鉄華団の連中の第一印象も悪くないだろう。
…若干嫌味な成金野郎みたいだったのは否めないけどもさ…。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ。
オレは一期しか見てないが、オレが生まれ変わったコイツは知ってる。
というのも、結構名が知れた…というか、悪い意味で有名なキャラだからだ。
「ジャスレイのオヤジに何かあれば俺ァ…俺ァ…」
「まぁまぁ、そう泣くなって、オーバーだなぁ〜」
そう、ドノミチコロスさんことジャスレイ・ドノミコルスになっちまったのだった。
うわぁ〜…知らねぇ〜。どうしよぉ〜。なんて思いながらどうにかこうにか逃げ延び生き延びて、気がついたら原作と同じポジションに落ち着くというね。
当面の目的は…まぁ、あわよくば鉄華団との良好な関係。最悪敵対はしない程度の距離間は保たないとなぁ…。
頭バエルおじさんは……どうしよう?
「まぁ、名瀬のヤツに食われるんなら、このジャスレイ・ドノミコルスもその程度の男だったってだけのことさ。この世界じゃあよくある話だろ?」
「オヤジ…」
「そんな顔すんなっての。少なくとももうしばらくは現役だって。その間…着いてきてくれるか?お前ら」
不安顔の部下に真剣っぽい表情でそう言うと、泣きながらも黙って頷いてくれた。
「良い部下に恵まれたよなぁ、オレ」
って言うかアレ?オレ個人の活躍ってなんかあったっけ?
……まぁいいや。今日は帰って映画でも観よ〜〜。
一期は一通り見ました。
二期は評判があんまりだったので…。
せめて観てから書けってね!!
アホだね!!