どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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ちょっとばかり難産だったぜ〜!!

コッソリ投稿…。


第101話

 

「オヤジィィィィ!!」

「ぐっコイツ…まさか…」

 

その叫び声と共に、一機のモビルスーツが『黄金のジャスレイ号』の近くに迫ったユーゴーの一機を体当たりで弾き飛ばした。

 

無重力空間で思わぬ攻撃をもらったロイターは少しの間困惑していたが、即座にブースターを使ってバランスを取る。

 

同時に、一瞬あっけに取られたジャスレイはしかし、その声に聞き覚えがあったようだ。

 

「待たせちまってすまねぇ!!先遣隊の中で、オレだけ先行させてもらったんだ!!間に合ってよかったぜ!!」

「その声…お前さん、シー坊…いや、シクラーゼか!?」

 

うっかりかつての呼び名で呼ぼうとしたジャスレイに、シクラーゼは懐かしいと言わんばかりに笑みを浮かべる。

 

「おうよ!!大体の話は聞かせてもらった。今ギャラルホルンの部隊がこっちに向かってる。アリアンロッドの精鋭達もだ。そいつらが集まりゃあこんな賊ども目じゃあねぇ!!あとはコイツらがやけっぱちになって、パンピーを撃たねぇように見張るくれぇさ」

 

こちらに向かって来るユーゴーを睨みつつ、そう言ってシクラーゼの駆るモビルスーツは大型の武器を構える。

 

「テメェ…そりゃあガンダムフレームか…味な真似をしやがるじゃあねぇか」

 

ユーゴーのパイロットであるロイターは、割り込んできたガンダムフレーム…ガンダム・アスモデウスと睨み合う。

 

「オジキ方は下がってて下さいや。さぁ…ガンダムフレームの力ァ…見せてやろうか!!」

「おう、ムチャはすんじゃあねぇぞ!!ティアンユ、アイツがロイターを抑えてくれてる間にこっちも動くぞ。人命優先、できる限りのモビルスーツを輸送船の回収に回してくれや」

 

その言葉を待ってましたとばかりに、ティアンユは頭を下げる。

 

「了解しました。全部隊に通達、手の空いた者は輸送船の回収に回れ。人命救助を急ぐのだ!!」

 

ジャスレイはシクラーゼから聞いた情報を元に各部隊への指示を出し、ティアンユがそれを中継する形で通達する。

 

ガンダムフレームの性能と、シクラーゼのパイロット能力を高く買っているからこその判断だろう。

 

「三羽烏は付近のモビルスーツの掃討、及び遊撃に回ってもらう。いいな?」

「ったりめぇでさァ!!」

「オヤジの指示に従うさ」

「ったく…援軍が来ることが分かったからって、気ィ抜くんじゃあねぇぞ?オメェら」

 

二つ返事する部下二人に、リーダーであるゲパードは念を入れる。

 

三羽烏も流石と言うべき切り替えの速さでジャスレイの指揮に従う。

 

幸い、数の上では『JPTトラスト』が依然上であり、そこに援軍の希望があるともなれば当然パイロット達のモチベーションも違ってくる。

あちらが狙ってくるとすれば、やぶれかぶれになっての一点突破だが…それも舵取り役のロイターがシクラーゼにかかりきりになっている以上はまだ無いと見ていいだろう。

 

「っちぃ…もうこうなりゃあヤケだ!!」

 

時折、輸送船を直接狙おうとする輩が現れても…

 

「させるかよォ!!」

「よし、こちらは船の回収に完了した。カバーに入ってくれ」

 

ジャスレイの部下の連携により防がれる。

 

「オヤジの敵、近寄らせない…」

「おうともよレオの兄ィ、ここいらで一発カマそうやぁ!!」

 

レオパルドとその部下達数名、他幹部たちもまた意気軒昂を保っている。

そして、その様子を見まわしたライターはと言うと…。

 

「ククッ…流石だ…」

「あぁ!?こんな時に何笑ってんだテメェ!!」

 

シクラーゼとロイターが近接戦を演じて、少々ばかりが経過した。

しかし…それがどれだけ異常なことか、シクラーゼは分かっていた。

なぜならばロイターは…ヘキサフレームであるユーゴーで、未だガンダムフレームと渡り合っているからだ。

 

「やはりなぁ…思った通り、奴は戦いの中でこそ輝く」

「何が言いたい?」

 

近距離で激しく打ち合いながらも、ロイターは笑っている。

その様子に、シクラーゼは訝しむ。

 

自分は先遣隊で、更に特別早くやってきた。

その情報はあちらとて聞いていたはず。

それを、こうも悠長に構えているとは…。

 

そこまでしてジャスレイの首が欲しいのか、それとも…。

少なくとも、彼の一部の部下のようにやけっぱちになったようには思えない。

 

「だから…もっと確かめさせてくれや!!」

 

そう言うなり、ロイターのユーゴーはとある信号を発信した。

 

□□□□□□□□

 

ふぅ〜…これでなんとか持ち堪えてくれそうだなぁ…。

輸送船も徐々に回収できてるし、後はギャラルホルン待ちかなぁ。

尤も、気は抜かないけどもさぁ〜。

 

「オヤジ…あの子どもら…大丈夫でしょうか?」

「なぁに…人質にするつもりなら、わざわざ死ぬ間際の連中をよこさねぇだろうよ」

 

途中で死なれたらそれこそおじゃんだし…。

 

「オヤジ!!オレはアイツらを助けてやりてえ」

「オレもだ!!」

「ここで行かなきゃあ、オレはオレじゃあ無くなっちまう!!」

 

まぁ…そうなるよねぇ…。

特に若い衆はこういう時にガス抜きしとかないと暴発しかねないし…。

それに、ヒューマンデブリとか、この子ら的にも特大の見えてる地雷だしなぁ…。

 

「馬鹿野郎」

 

オレの護衛をむざむざ減らしてどうすんのよ?

 

はぁ…しゃあないかぁ…。

 

「いちいちオレに伺いなんぞたてなくてもかまわねぇさ。こっちにゃあ最低限の護衛だけで十分よ。助けてやんな。昔のオメェらをよ」

 

「オヤジィィィィ!!」

 

声でっか!!

 

「ただし、一つだけ条件がある」

 

みんなの視線が集まる…。

いやまぁ、こういうのも慣れたんだけどもさぁ…。

 

「オメェらも無事に生きて帰って来い。オレにとっちゃあオメェらも子どもらと同じく替えのきかねぇ存在なんだからよ」

 

でなきゃあ本社でああ言った手前、カッコつかないし…。

まぁ、今更だけどもね!!

 

「うおおおォォォ!!!」 

 

…なんか最高潮の盛り上がりを見せてんだけど。

 

ヘヘッ…だが、伊達にヤクザモンの世界で生きとらんわ!!

オレみたいな小物、ちょっとしたことでもすぐ死ぬかんな!!

こうやって部下を鼓舞し続けないと…。

 

それと…またイングリッドに頭下げなきゃなぁ…。

 

……………

 

アレ?死亡フラグ?




齟齬があったらごめんです。

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