ロイターの駆るユーゴーからの合図を境に『夜明けの地平線団』のモビルスーツからの攻撃が、まるで息を吹き返したように激しくなった。
人質はすでにほぼほぼ回収され、アリアンロッドの援軍がやって来るのも時間の問題…普通であれば戦意を喪失していてもおかしくは無いと言うのに……。
『黄金のジャスレイ号』の艦内にて、ジャスレイは眉を顰めて訝る。
「アイツら…なぁんか狙ってやがんなぁ…」
「しかし…あの通り、ロイターは指示を出せる状況では……」
「それだよ」
ジャスレイは振り向いてティアンユに向けて言葉を続ける。
「あの野郎。なんだってわざわざ、ガンダムフレーム相手にタイマンなんざはってる?あんな分かりやすく突出して、さも狙ってくださいって言ってるようなモンなのによ…」
「もしかしたら〜…なんかトッテオキがあるのかもよ〜?」
ケラケラと笑うユハナがなんとなしにそう言ったことで、ジャスレイと、そしてその側に控えるティアンユがハッとした表情をする。
「おいこらユハナ…」
サンポが妹を咎めるが、ジャスレイはそんなサンポを制止する。
「いや、かまわねぇさ。ありがとうよサンポ。それよりもユハナ…」
「なぁに〜?オジサン?」
ジャスレイはユハナの方を向き、真剣な面持ちをしている。
「ちぃっとばかし、頼まれて欲しい仕事があんだが…それとティアンユ。もうあらかた子どもらの回収も済んだところだろうしよ。念のためアレの準備も頼んどいてくれや」
「はっ、すぐに連絡致します」
それが、今から少し前のこと。
パイロットスーツに身を包んだユハナとサンポは各モビルスーツのコクピット内で、ジャスレイからの指示を思い出していた。
「いいか?もし、オレらの予想が当たってんなら…この船団から少し離れたところに部隊が陣取ってるはずだ」
ジャスレイはそう言うなり、近辺の宙域図を表示する。
「しかし…この広い範囲からどの辺りかなんて、憶測は…」
サンポの言葉を遮ると、ジャスレイは宙域図を睨む。
「いんや可能さ。例えばだが…まずここはねぇ」
そう言うなり、とある一帯を指し示す。
「こう言う作戦は性質上、デケェ船は連れられねぇ。仮にいたとしても、補給用の小型艇が一つ二つあるくれぇだろうな。だからこの辺りの開けた場所もありえねぇ。兵力の分散を避ける意味合いでも、見つかりにくさを重要視する意味でも、護衛兼索敵役が二、三機いるくらいだろうよ。ユーゴーのスピードなら、ある程度はレーダーの誤魔化しも効くだろうしよ」
そうして、ジャスレイが宙域図に幾つかの×マークをつけ、最終的に幾つかの候補場所に○で目星をつける。
「そう考えりゃあ、思いの外あの野郎が兵力を伏せてる場所は絞れんのさ」
そう言ったジャスレイは油断なく、しかし不敵に笑う。
「恐らく、例のガンダムフレームが修理中か、もしくは…考えたくねぇが、それが無くてもあの矢を使える算段がついててその準備待ちか…ともかく時間との戦いになるだろうよ」
だが…と、ジャスレイは続ける。
「ただ暴れてぇだけなら、こんな回りくどいやり方なんぞしねぇはずだがな…」
これではまるで、ジャスレイを試そうとしているかのような……。
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ふぅ〜…取り敢えずこれでひと心地つけるかなぁ〜…。
「オヤジ、アリアンロッドの回線から通信が入っていますが…」
うん?アレか?ま〜たラスタルのアホが見逃してやるから手柄寄越せよ的な?
めんどくせぇなぁ〜…。
かと言って無視すんのも色々と大義名分与えちゃいそうでなぁ〜…。
しゃーない出るとしますかね。
「おう。繋いでくれや」
「ジャスレイ!!今すぐ退避しろ!!」
うぉっ、声デケェな!?
ってか、ラスタルの野郎焦ってんな珍しい。
「あん?どう言う風の吹き回しだ?」
「あの愚か者共…まさかとは思っていたが…」
焦ってんのか、かなり一方的に言ってくれるな…まぁ水さす雰囲気でもねぇけどさー。
「ひとまず落ち着けよ。何があったんだよ?」
リラックスリラックス…。
「何があったどころではない!!奴らは…」
「オジサ〜ン。見つけたよ〜」
んお、別回線でユハナちゃんからも連絡きた…。
「おいこらユハナ。まだ油断するんじゃあ…」「って…何アレ?」
「ユハナ、聞いてるのかって…」
「よもやダインスレイヴを賊に提供するなど…!!」
ああ…なんだ。そのことかよ。
間を開けての投稿…ちょっとドキドキしますね。
齟齬があったら申し訳ない…。