どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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火の巨人は倒せました。嬉しい。
でも今度はマレニアに勝てへん…。

やっぱフ○ムは最高だぜ!!


第14話

「なに!?テッドの野郎が?」

その日、『JPTトラスト』の事務所で通話口越しに聞いた言葉に、椅子に腰掛けるジャスレイは珍しく困惑していた。

電話の内容は月に於ける一大企業『タントテンポ』の頭目にして、ジャスレイの取引相手であり、また若い頃からの友人でもあったテッド・モルガトンが何者かに暗殺されたと言うものだ。

ジャスレイは、タントテンポが持つ月を通しての地球への物資の運送路に何度も世話になっており、これを見逃せばジャスレイ率いるJPTトラストも傾きはしないまでも無傷ではいられないだろう。

その直後だ。タントテンポの連中から連絡が届いたのは。

「月の連中はなんと?」

心配そうに言う部下。

それに対してジャスレイは、額に手を当ててしばらくすると、あくまで落ち着いた様子で端末を見遣り、淡々と内容を要約する。

「あぁ…次の代表を決める幹部会を執り行うから見届け人として来て欲しい…ってな」

淡々と、事務的にそう話した相手は若い女だ。

幹部連中に話をさせろと言っても、今はいろいろと取り込み中で出来ないと言う。

まぁ、いきなりトップが死んだのだ。ゴタゴタは分からない話では無い。

しかし、それでも妙な話だ。

普通こう言ったことは内うちに処分したいことのはず。

交友があったとは言え、赤の他人であるジャスレイに是非に、と会議への立ち入りを許すのは怪しすぎる。

「連中…何を考えてるんでしょうねぇ?」

タントテンポという組織は、ギャラルホルンとの繋がりも薄くない。

木星圏とは違い、あのあたりは比較的地球にも近くギャラルホルン内でも最大戦力を保有するアリアンロッド艦隊の庭だ。

当然、アリアンロッド連中に睨まれないために、上納金として莫大な金を吸い上げられる事にもなる。

かと言ってそれである恩恵は後ろ暗い取引を幾分見逃してもらえるくらいなもので、それ以外に目立った融通を効かせてくれるわけでもないため、やっていることは本当にただの搾取だ。

要するに、タントテンポは権力を傘にきた連中にずっと煮え湯を飲まされ続けてきたわけだ。

「…それを面白く思わねぇヤツがテッドのオジキを…」

部下は拳を硬く握り、歯軋りをする。が…。

「いや、そりゃあねぇだろ」

ジャスレイは腕を組んで少し考える素振りを見せると、部下の言うその可能性を否定する。

「月ってぇのは、当たり前だがこの辺とは比べモンにならねぇくらいギャラルホルンの支配が強い。月の…特にタントテンポに属するヤツならそのくらいの現実は分かってるだろ。その文句でたまたまカァッとなってわざわざテッドを殺るか?そんな短絡的なヤツはいくら実績があってもまずテッドからの信頼は買えねぇし、テッドに近づけるほど出世も出来やしねぇよ」

事実、幹部の誰かと口論になることはあっても、ジャスレイの知るテッドはその後のフォローが上手い男だ。そんなポカをやらかすとも思えない。

「じゃあ、この招待は…。オヤジを次の代表の信頼を得るための生け贄にしようと…」

ハッとなったようにそう言う部下をジャスレイは手で制止する。

だがそれもあり得ない話ではないのだ。

ジャスレイは他所の方針に口を出す方ではないが、だからこそいてもいなくても同じ。と考えた幹部が、それならここでアリアンロッドの…ひいてはギャラルホルンの信頼を勝ち得たいというのも残念ながら無い話では無い。

が、連中はそんなことをした後のことまでわからないほど無知でも無謀でも無いだろう。

仮に月の近くで不穏な『事故』が起きたら、それで一人の男が行方知れずになったとしたら…それが圏外圏で、最も恐ろしい男の逆鱗だったなどと、醜聞どころかむざむざ我が身を危険に晒す行為でしか無い。

それほどにマクマードという男は張っている網を広く、深くまで周到に巡らせる人物だ。ナメてかかれる相手ではない。

少なくともその犯人くらいすぐに突き止める。

そして、苛烈な報復をするのだ。

「そこまではわかんねぇがな。ま、せっかくの招待だ。断るなんざ礼儀知らずのすることさ」

そう言うと、ジャスレイは「よっこいせ」と椅子から立ち上がる。

元より仁義に厚いことで有名なジャスレイだ。

ここで動かないのはそれこそ汚名だろう。

「手土産が必要だな」

そう言って立ち上がり、バサリとすっかりトレードマークとなったトレンチコートを肩にかけると、出立の準備をはじめるのだった。

 

□□□□□□□□

 

ヤッベー!!ヤッベー!!

確かあの辺ってオレの財源のだいたい…%くらい!?

流石に損切り出来る数値じゃねぇっての!!

「手土産って…いったい何を?」

疑問を投げかけてくる部下にオレは努めて冷静に答える。

「ま、色々さ。それと前に闇市で買ったパーツ類あったろ?」

「ええ、そんなに高くも無かったからって…」

ホントはミカくんへのお土産のつもりだったけど…マルコの兄貴からの話だと、どっから手に入れたのか近くにタントテンポ側の味方らしきガンダムフレームも確認してるみたいだし。

ブルワーズもグシオンに装甲付けてたし、それとおんなじ感じでつけらんないかなぁ〜って叩き売りしてたのをいくつか仕入れたんだけど、渡す機会逃しちゃったしなぁ〜…。

「それと、何人かにも連絡が必要だな。名瀬のヤツには入れるとして…」

残す言葉が文字通り遺言になんなきゃいいけどなぁ…。とほほ。




月鋼おもしろいですね。
贅沢を言えばもうちょい続いて欲しかった…。

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