どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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久々にランキング三位、嬉しくなったので投稿です。


第24話

ジャンマルコの自室では張り詰めた空気が支配する。

 

「…それで?オレがお前らのバックについたとして、それでお嬢さんが晴れて頭目になったとして…それで一体何するつもりだ?或いは、オレに何の得がある?」

 

問いを投げかけるジャンマルコの視線は鷹の如く鋭い。

 

「それはもちろん、父さんの仕事を引き継いで、頭目に恥じない働きを…」

「それを、どうするのかって聞いたんだがね?」

「うぐぅ…」

「それに仕事と言っても色々あるぞ?書類整理に取引先へのあいさつ、根回し。特に月でやってくならギャラルホルン相手に下手に出る必要がある」

「うっ…」

「景気がいい時も、悪い時も上に立つ者としての舵取りを忘れず、投げ出さず逃げ出さず、時として非情な判断も必要だ。さらに幹部や部下達の軋轢の調整に…」

「わ、分かったわ。ちょっと待って…」

「……………」

 

リアリナは額に右手を当て、左手をジャンマルコに向けてストップのジェスチャーをする。

 

少し踏み込むだけで容易くボロが出る。

尤も、これは先代の過保護による経験不足に端を発するモノだろうから当人を責めてどうなる訳でもない。

だが…。

 

「ハァ、悪かったよ。思えば世間知らずのお嬢さんにこのテの話は酷だったか」

「謝ってるの?バカにしてるの?」

「いや?別に?」

 

だが、今回見せたこの行動力は目を見張るものがある。

これが無知から来る無謀なのか、それとも肝が据わっている大器だからか。

いずれにせよ、確かめるよりほか無いだろう。

 

「それじゃあ、提案だ。こんなんはどうだ?」

 

数時間後、ハンガー

 

「で、オレらのどっちかが戦う事になったってこと?」

「おう。頼めるかい?」

 

ジャスレイはハンガー内でライドのその問いかけに頷きながら、そう答える。

なお、チャドは本人の希望により座学の最中だ。

 

「何でも、ジャン坊が言うところじゃ、本人の器はそのツレの力量によって測ることができるってんでなぁ。お前さんらの鍛錬にもちょうど良いってんで、お嬢さんいなくなった後にちいっと呼ばれてな」

 

実際、これからの事を考えればこの経験があるとないとではかなり大きい。

敵として相対した際のガンダムフレームの動きやパイロットのクセ、強さのほどを知る事ができるし、何よりライドやチャドにとってガンダムフレームとは、味方のそれしか知らない。

故に、その危険性やいい意味での緊張感を得るためにも必須だろうと、ジャンマルコに呼ばれた時にジャスレイは提案し、そしてその約束に漕ぎ着けた。

近接武器のみ使用可能で、殺し合いではないと前もって明言している以上、ある程度の力を示せればよし。

無論、それで手を抜き、無様に敗北するようならそこまでだったと言うだけのことだが。

 

「でも、いいの?」

 

ライドは不安そうに言う。

 

「うん?何がだ?」

「だって…もし負けるようなことがあったら…オジキの顔に、泥…塗るんじゃ…」

 

俯き、拳をぎゅっと握って、震える。

ジャスレイはそっと近づくとしゃがんで視線を合わせて頭にポンっと手を置き、なだめる。

 

「いいんだよ。それを考えんのはオレらの仕事さ。それにお前さんが勝っても負けてもいいのさ。それは別にお前さんらがどうでもいい存在だってことじゃあねぇ。大事なのは、お前さんらが成長したって事実なんだからよ」

 

「オジキぃ…」

「おぅ。さっ、シミュレーターで訓練でもしとけ」

「うん!!」

 

ぐしぐしと溢れた涙を拭うと、ライドは再び百錬のコクピットに向かうのだった。

 

□□□□□□□□

 

「あっ!!そうだ!!オジキ〜!!」

 

うん?まだなんかあるのかね?ライドくん。忘れモン?はねぇか。

 

「オジキって、なんでケッコンしないの〜?」

「うん?どうしたいきなり」

 

うわぁお。キミもかい!!

 

「なんか〜…ユハナの姉ちゃんがさっき言ってたのを小耳に挟んでさ」

 

あぁ〜…。なるほどねぇ〜…。

 

「なぁに。単純な話さ」

 

オレはハンガーの手すりに寄りかかり、目の前の百錬を見てたそがれながら言う。

 

「オレはなぁ、女を幸せに出来ねぇ男なのさ」

「ふ〜ん…なんで?」

「ま、オレ自身がヤクザ稼業で散財野郎だからってぇのと、あんまり家にいてやれねぇからさ。旦那としちゃあサイテーだろ?」

「ん〜…そう言うもんかなぁ〜?」

「そう言うモンさ。少なくともオレはな。参考にはすんなよ〜?」

「うん。じゃあそうする」

 

…なんか納得されちゃったんですけど。

ま、いいけどさぁ〜…。

 

実際、ニナも歳星に置いてく時ちょっとぐずったけど、最後は納得してくれたし…。

ん?あれ?もしかしてオレ、親としてもヤバイ!?

 

「まぁ、だからって訳じゃあねぇがな。オレはよ、ライド。心っっ底!!名瀬・タービンって野郎を尊敬してんのさ!!」

「え?アニキを?オジキが?」

 

そりゃあそうよ。

さて、このまま名瀬ニキの話題にシフトしようか。

 

「そうともよ!!アイツはスッゲェぞ!!しっかりモンで、人間出来てて、仕事もソツなくこなしてよ。その上で、女一人泣かせてねぇ!!オレとは…」

 

やばい、言ってて泣きそう。

ちょっと後ろ向こ。

 

「…オジキ?」

 

「オレとは…大違いなんだよ…」

 

ああ〜、情けなくって涙出るわぁ〜。

 

「すまねぇな。今のは…」

「…うん。黙ってるよ」

 

ホント、いい大人が泣いたって言いふらさないでよねー?

 




何度でも言いたい。

読んでくれてありがとう!!
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