どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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久々の短期での三話投稿。

来月にはアスタロトのHG再販あるみたいで今からワクワクしてます。


第25話

ハンガーにて、左右非対称の装甲をつけたガンダムフレームを見上げていたヴォルコ・ウォーレンに、ジャスレイは声をかける。

 

「おうヴォル坊、久しぶりだなぁ」

「あ…ジャスレイさん、お久しぶりです。来られてたんですね」

 

ハンガーで出会ったジャスレイに、ヴォルコ・ウォーレンはペコリと頭を下げる。

が、ジャスレイが手で制止するそぶりを見せると頭を上げた。

 

「ああ、なぁんかタイミングが合わなかったみてぇでなぁ。船を変えた事も含めて、もうちょい早く挨拶したかったんだが…」

「船?ああ…あの…お気遣いありがとうございます。ですが…」

「おい、ヴォルコー!!」

「ちっ…なんだ?野良犬」

 

突然に後ろから話しかけられたヴォルコがクルリと振り向くと、そこにはガンダム・アスタロトのパイロット、アルジ・ミラージがいた。

それに気づいたジャスレイが、問いを投げかける。

 

「おぅ。お前さんがコイツのパイロットかい?」

「…なりゆきですけどね」

「何でお前が答えるんだよ!?」

 

ヴォルコは先ほどと打って変わりすげない態度だが、アルジの反応から察するに、このやりとりは少なくとも彼らにとってはいつもの事なのだろう。 

それを指摘するほどジャスレイは無粋でも空気が読めない訳でも無い。

むしろ、微笑ましいものを見る目で見つめていた。

 

「誰が答えても同じだろう。それより挨拶しろ」

「あ、おう…」

 

アルジはジャスレイと向き合い、一息入れて挨拶する。

 

「オレはアルジ・ミラージ。一応リアリナ…嬢の護衛やってます」

 

取ってつけたような敬語。

それに、宴の席のオルガを重ねたのか、ジャスレイは更に微笑む。

 

「おう。そんじゃ、こっちも名乗るのが礼儀だな」

 

少し緊張していたアルジとは打って変わり、ジャスレイはゆったりとした姿勢で

 

「ジャスレイ・ドノミコルスだ。よろしく」

 

と軽く、朗らかに言う。

 

「しかし、意外でした。ダディ・テッドの親友の貴方がお嬢…リアリナ嬢を止めないなんて…」

 

改めてヴォルコはジャスレイに問いかける。

 

「そりゃあなぁ。テッドの野郎は愛娘に危険極まる稼業を継いで欲しくなかったらしいしなぁ。かと言って、若人の道を勝手に閉ざすのも大人のエゴってぇモンだろう?」

「そう…ですね…」

「だが…」

「?だが…なんです?」

 

そう言うジャスレイに二人の視線が集まる。

すると、ジャスレイは一拍置いて

 

「だが、だからこそ今回の件でそこの坊主…アルジが相応の力を示せりゃあ、オレはお前さんらの背を押そう…とは思ってるな」

「え…本当ですか!?」

「何だよ、このオッサンそんな偉いのか?」

 

アルジは、ジャスレイを指差してヴォルコにそう聞く。

 

「バカ!!この人は….」

「ハッハッハ!!まぁ偉いかどうかはともかく、それなりの力にゃなれると思うぞ」

 

ヴォルコが慌てて周囲を見回すが、当のジャスレイは気にした風でも無い。

それを見るや、ヴォルコはホッとしたように胸を撫で下ろす。

 

「しかし…良いんですか?百錬はテイワズ内でも44機しか生産できていないフレームでしょう?それに子どもを乗せてガンダムフレームと戦わせるなど…」

「お、そうそうオレもそれ聞きたかった。少ないのは知らなかったけど…強いのか?あのパイロット。さっき見た感じ、片方は分かんなかったけど、もう片方はオレより年下っぽかったし…」

「ま、それはやってからのお楽しみってヤツだな。ご褒美もあるぞ?」

 

勿体ぶるような、しかし楽しそうな、そんな様子だ。

 

「気張れよ。あの子も、お前さんらもまだ若いんだからよ」

「なんで、そこまで肩入れして来るんだ?」

「そうだなぁ…」

 

ジャスレイはアゴに手を当てて少し考えるそぶりを見せると

 

「別に、親代わりなんて大それた事言うつもりはねぇがよ。ダチの忘れ形見ってぇのは、可愛いモンなのさ」

 

ジャスレイは数人の見知った顔を思い浮かべ、気がつけば頬をかきながら嬉しそうに

 

「お前ら皆んな、生きててくれて良かったよ」

 

そう、言っていた。

 

□□□□□□□□

 

さて、頑張んなよってエールも送ったし、そろそろ部屋で休憩でも…。

 

「おじ様!!」

 

うん?なんか死角から思いっきり何者かが飛び出して…。

 

「おぉっと…もしかしてリアリナか?」

 

あっぶねぇ〜……もし仮に傷モノにしたらテッドに呪い殺される…。

って言うか、よく覚えてるもんだなぁ。

 

「はい。お久しぶりです」

「本当に、デカくなってなぁ…」

 

どーしよ。年頃だし、どっかしらホメといた方がいいよなぁ〜…。

 

「強く、優しく、気高い目だ。アイツに似たのかな?」

 

うん。我ながら結構絶妙なトコだよなぁ。

まんま容姿とか褒めたら変な目で見てるぅ〜なんて嫌〜な誤解されかねないし。

 

「立派になれたでしょうか?」

「ま、そうだなぁ。立ち居振る舞いは、正にどこに出しても恥ずかしくないレディのそれだろうよ」

 

よく知らんけど。

 

「おじ様…」

「だが、頭目になるんならもうちょい強かさも必要だな」

「うっ…精進します…」

「ハッハッハ!!まぁこればっかりは経験を積むしかねぇんだがよ」

 

さて、そろそろ良い頃合いかな。

 

「そんじゃ、オレはもうそろそろ部屋に戻ろうかねぇ」

「送りましょうか?」

 

おぉヴォルコくん。気がきくなぁ。

 

「いんや。お前さんらはリアリナ嬢の側にいてやんな。今、この娘に必要なのはお前さんらみてぇな味方なんだからよ。安心させてやんな」

「はい…お気遣い感謝します」

「おう。ま、気負いすぎんなよ」

 

ふぅ〜…やぁっと部屋に着いた…。

シャワーでも浴びて…。

 

「ヤッホーおじさ〜ん♪」

「………クッキーでも食うか?」

「食べる〜♪」




う〜ん。どっちに戦ってもらおっかなぁ〜…。

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