どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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なんかできた。


第3話

「ったく、なんて騒がしい連中だ!!」

酒場に入るなりジャスレイの部下はそう毒づく。

「まぁまぁいいじゃねぇかよ。若ぇ連中はああでねぇと」

そう言うとジャスレイは、バーカウンターに向かって歩く。

なお、保護した少女は酒が嫌いとのことで、車の中でしっかり者の部下に任せてある。

「よう」

見知った顔に声をかけるジャスレイ。

話しかけられたのに気がついた女性は振り返る。

「あら、ジャスレイさん」

「メリビット、元気してるか?」

「おかげさまで」

「隣、いいか?」

「どうぞ」

了承を得たところでジャスレイは腰掛ける。

「おう、オメェらも座れ」

隣の椅子を指差し腰掛けるよう促す。

「いいんですかい?」

「まぁまぁまぁ、とりあえず今日の仕事は終わったんだからよ」

「……またねずみ取り?」

訝しげな顔でメリビットと呼ばれた女性はそう言う。

「おぉよ」

「硝煙の匂い…まったく。相変わらずの現場主義ねぇ」

「そうなんすよ。オレらに任してくれって頼んでも部下だけ危険には晒せねぇって…」

「よせやい」

照れ隠しのようにジャスレイはバーテンにいつものを頼む。

「オメェらも好きなモン頼め」

そう言ってじっくりと酒がグラスに注がれる様を眺めるジャスレイ。

「ふふっ…」

その姿が、今か今かと好物を待ち続ける子供のようで、メリビットは不意に笑い声を漏らす。

「うん?どうした?」

特に不快感を感じさせない声で問いかける。

「ごめんなさい。気に障った?」

「いやいや、なんてこたぁねぇよ?」

「相変わらずですねぇ」

メリビットとジャスレイの会話に自然と入り込んでくるのはここのマスター。

ジャスレイからしても顔見知りだ。

「おっ、マスターじゃねぇか」

「すみませんねぇ。先程メリビットさんにもお伝えしましたが、火星からのお上りさんが来てまして…」

「ん。問題ねぇよ。むしろすまねぇなぁウチの弟共が…」

「えっ?ご兄弟なんですか?」

「いや、まだだが」

正確な日取りはマクマードから通達されていない。

が、近日中なのは確実だろう。

ジャスレイは懐から膨らんだ封筒を取り出して、バーカウンターに置く。

「迷惑料だ。とっといてくれ」

「あ、いや!そんなつもりじゃ!」

「オレの気がおさまらねぇのよ。もらってくれ」

「ですが……」

なおも受け取りを躊躇するマスター。

何もこのやりとりは一度や二度ではない。

それほどまでにこの男は義理堅く通っているし、また、マスターも真面目なのだ。

「じゃあアレだ。テイワズの野郎からぶんどったって自慢してやれ!!」

「テイワズのお膝元でそんなことできるわけないでしょうが!!」

「あだっ!!」

メリビットがツッコミながら後ろから頭を引っぱたき、パァンといい音が響く。

「変に律儀な方ですねぇ」

ムクリと起き上がりながらジャスレイは言う。

「こんな稼業だ。義理もんには義理で返すのが好きでね」

「それで?ちゃんと貯金は出来てるの?」

からかい気味にそう言うメリビット。

「おいおい勘弁してくれや…」

グサリと心に刺さったのか、誤魔化すようにグラスを煽るジャスレイ。

「ウチの船長もからかったんでしょ?お返しよ」

彼女はクスリと笑ってそう言う。

「名瀬のヤツ、泣きつくようなタマじゃねえだろうに…」

その様子を想像して、ジャスレイは苦笑いを浮かべる。

「えぇ、だから吐かせたの」

「ブッ!!」

その言葉に思わず噴き出すジャスレイ。

「女って怖えわ…」

汚れたカウンターをポケットから取り出したハンカチで拭きながらそうこぼす。

「まったくですな」

「おい、乗って来んのかよマスター」

「おや、いらぬ援護でしたか?」

「……いる」

そう言って、昔話やら仕事の話でもりあがったのだった。

「あぁ、そうそう紙とペンあるか?」

「?えぇ、お貸ししましょうか?」

「頼むよ」

マスターはカウンター裏からメモ帳と簡易的なボールペンを取り出す。

「どうぞ」

「悪りぃね」

サラサラサラッと軽く書き、キュポンとボールペンを蓋にはめる。

「んで、コイツを…」

先程の封筒の中に入れる。

「ほいっ」

「いや、ですから…」

「んじゃぁ奥さんか娘さんになんか買ってやんな」

そう言うと、この話はコレで終わりと言わんばかりに立ち上がる。

「オメェら、忘れもんすんなよ」

「へい!!オヤジ!!」

「んじゃぁなマスター。また来る」

「あ、ありがとうございました…」

「メリビットはどうする?」

「わたしはもうしばらく飲んでるわ」

「そうか。それじゃあな」

そう言うと、サッサと帰って行ってしまった。

「本当に、相変わらず……」

「風のような方ですねぇ……」

そう言ってマスターがカサッと取り出した紙には“この盗っ人に手を出すべからず J.D”と書かれていた。

 

□□□□□□□□□□

 

コソコソ…鉄華団連中に絡まれる前に帰らねーとなぁ〜。

まぁ、慣れねぇ酒でそれどころじゃねえか!!

って言うか、アレって確か名瀬・タービンがたまにはガス抜きも必要よ〜って言ったのが原因だよなぁ?

ってことは、それ教えたのオレなんですけど〜〜。

うわっはっは!!

ホントご迷惑おかけしましたマスター。

あ〜あとお土産もかってかねぇとなぁ〜。

出ないとあの子供、ま〜た悪態ついて来るだろうし。

世の親は偉大だねぇホント。

にしてもマスターといい、メリビットさんといい…、オレってそんなに威厳ないかねぇ…。

まぁいいけどさぁ…。

スネてねーし?




結構伸びてて嬉しいです。

気長に待っててもらえると嬉しいです。
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