どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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リナシメント…買えなかった…orz

まぁでも、マルコシアス買えたから…。


第32話

ブブリオ・インシンナはかねてよりの約束に思いを馳せていた。

 

「ダディ?どうしたんですか、こんな時間に?」

「おう、すまねぇなブブリオ。遅くに呼びつけちまってよ」

「いえ…それは構いませんが…」

 

行きつけの店のバーカウンターに腰掛けるダディ・テッドに、ブブリオは困惑しつつも愛用の杖を立て掛け、隣に腰掛けながら言う。

夜もふけ、稼ぎ時だと言うのに客は自分達だけ。

店側も、気心の知れた寡黙な店主ただひとり。

要は二人の貸切状態だ。

 

ダディ・テッドが喉を湿らせるためにグラスを持ち上げると、カラン…とウイスキーの入ったグラスが小さく鳴る。

 

「マスター。こいつにも同じやつを」

「…かしこまりました」

 

普段の陽気なダディとは打って変わった様子に、ブブリオは困惑しながらも、出された酒をチビチビと呑む。

 

「…それで、わざわざ店を貸し切ってまで話したい要件とは?」

 

その問いかけから十分経ったか、二十分経ったか…。

しばらくの時間が空き、ポツリポツリとテッドは話し出す。

 

「もし、オレになんかあったらよ…」

「なんか…とは?」

 

不吉な予感がブブリオの頭をよぎる。

それが間違いであってほしいと切に祈るように、あるいは、その不安を誤魔化すようにダディに問いかける。

 

「この界隈でなんかっつったら死ぬか、それに等しい状態に決まってんだろ?」

「それは…」

 

困惑に、言葉が詰まる。

こんな弱々しいダディを見るのは、如何な相談役のブブリオとてはじめてのことだった。

 

「オレになんかあったら…ある男を頼れ」

「ある男…ですか?」

 

テッドは、周囲を見回し安堵の表情を浮かべるや

 

「ジャスレイ・ドノミコルスさ。知ってんだろ?」

「ジャスレイさん…ですか?」

 

その名は地球圏にまで響く大組織テイワズの、それもNo.2の名だった。

 

「確かに、私も過去何度かお世話になりましたが…」

「おう、オレもさ。だがなぁ、オレはそれ以上に…」

 

懐かしむように、勿体ぶるように、一拍置くと

 

「アイツのことは、親友だと思ってるのさ」

 

自然と、そう言っていた。

 

「…たしか、二十年来のご友人でしたね」

「そうだな」

「それで、なぜ突然そのようなことを?」

「…オレへの反対派がよ。日に日に力をつけてってるって噂を耳にしてな。頼れるスジに確認取ったら…」

「本当だったと」

 

テッド・モルガトンという男は比較的穏健的な人物として知られる。

過激な行動をすると周囲の反感を買いやすいが、過激にやるばかりが周囲の反感を買うわけでは無い。

逆に穏健的なやり方でも、それはそれで不満というのは溜まり、いずれは噴き出すものだ。

だからこそ、テッドは常々その調整に配慮していた。

 

「ダディが、その調整を見誤るなど…」

「ああ、だが知っちまったもんは仕方ねぇ。オレもオレで動いちゃあいるが、どうにもな…」

 

テッドは、ボトルで出てきたウイスキーを自分で注ぎ、あおる。

 

「では、幹部をお集めにならないのも…」

「おう。そん中に扇動してるヤツがいるかもしれねぇからな。表立っては出来ねぇのさ」

 

その言葉に、自分は信頼されている嬉しさと、外の人間を頼ることへの不満、そして身内への不信感が募る。

 

「もちろん。お前さんにも不満はあんだろう。だからこそ、見定めて欲しいのさ。オレの友人をな。そんで、お前さんがダメだと判断したその時は…」

「…その時は?」

 

ゴクリ、と固唾を飲む。

酒を飲んでいたせいか、喉も渇く。

ブブリオは一度、チェイサーに頼んだ水を飲むと、再びテッドと向き合う。

 

「テイワズとの関係を絶ってもかまわねぇよ」

「…よろしいのですか?」

 

たらり、と嫌な汗がブブリオの背中をつたう。

 

「オレが許す。逆にそれ以外なら…」

「タントテンポを、テイワズの影響下に置いても…問題はないと?」

「ま、元々距離もあるんだしよ。最悪傘下になったって滅多なことじゃあ手を出しちゃあこねぇだろうよ。それにアイツは元々、よその方針に口はださねぇタチだしよ。乗っ取りの心配もほぼねぇんなら、バックとしちゃあこの上ねぇだろ?」

 

なるほど。魅力的な話だが、しかし懸念点もある。ブブリオはそれを問う。

 

「しかし、ギャラルホルンは…」

「いんや、アイツらは文句を言っちゃあこねぇよ」

 

元より、圏外圏からの輸入はテイワズ頼みなうえ、多くの信奉者を組織内にも抱えるジャスレイという男に睨まれたくは無い。

それに、後ろ暗い取引のあれやこれやだって、マクマードに弱みとして、その手に握られてしまっている。

結局、見て見ぬふりを決め込むしか無いわけだ。

むしろ、月のいち企業を影響下に置くくらいで済むならあちらとしても御の字なくらいだろう。

 

「事実上の身売りにはなっちまうだろうが、ま、ジャスの野郎なら上手いことやってくれんだろう」

「さては、初めから丸投げするつもりですか?」

 

いつの間にやら、いつもの調子を取り戻したダディに、ブブリオは苦笑しながらそう言う。

 

「お嬢様には…」

「言うな。少なくとも、オレが生きてる内は…な」

 

………………………………

 

「さて、皆様方。これより幹部会に御案内致します」

「おう。頼むぜ?ブブリオ」

「……ええ。お任せを」

 

ブブリオはジャスレイのその言い方に、知らず知らず、ダディの面影を重ねてしまっていた。

 




ブブリオのちょっとした過去回想でした。
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