どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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制服ごせんぞ、かわいいが過ぎる。

あ、新しいお話出来ました〜。


第35話

ロザーリオは床に転がされながらも、自身の運命をある意味で受け入れていた。

こうしている今、不意に目に映ったキラリと光るそれを、彼はぼうっと見つめる。

大方、クラーセンが雇った殺し屋だろう。とロザーリオは客観的にそして他人事のようになんとなくそう思っていた。

用済みになった上にこうして尋問までされた男が命惜しさに関係者の、そして協力者の名前を明かさない保証は無い。

自分でも同じ状況になったならそうするだろうし、それを見逃すほど彼も彼の協力者も甘くは無い。

そういう意味ではこの結末にも納得してもいた。

自分に相応しい裏切り者の末路として。

諦めながらも、後悔しながらも、ロザーリオはこれまでの人生を振り返って、かつてのボスの娘に質問を投げかけられた次の瞬間だった。

 

「ロザーリオ!!」

 

気がつけば、ひとりの男が自身を庇うようにして突き飛ばしていた。

狙撃手はサプレッサーを付けていたのだろう。

銃声はしなかった。

 

「オジキ!!」

「オヤジィィ!!」

「あの野郎…血祭りに上げて…」

 

血の気が増す周囲に、ジャスレイは冷静に言った。

 

「心配すんな。当たってねぇよ」

 

果たして、その言葉は真実だった。

ジャスレイがクイッと指差した方向を一同が見ると、芸術的なまでに先程ロザーリオが転がされていた所…更に言うなら頭部のあった辺りに銃弾が突き刺さっていた。

 

「警備班!!何やってた!!」

「いや!!あの距離、警備の外からだ!!」

 

周囲はざわつくがその後は数秒もせず、ジャスレイはじめ要人達の周りには人垣が出来上がり、その内の数人は無線で外部の警備班に連絡を取る。

先ほどのビルの屋上から、スコープの反射光はもう見えない。

狙撃手は仕事が失敗したと見るや逃げたようだ。

そこは流石プロと言ったところか。

鮮やかなまでに引き際を弁えている。

 

「落ち着け。こんくれぇの修羅場、テイワズが出来たばっかの頃なんぞゴロゴロあったぜ?」

 

ロザーリオを突き飛ばした拍子に落ちた帽子を拾い上げて、埃を払いながらそう話すジャスレイの声に震えはなく、それどころか心配そうに近寄って来たライドの頭を撫でる。その彼の恐るべき胆力に周囲が驚嘆する。

それと同時に理解できない、と言った表情を浮かべるロザーリオ。

 

「なぜ…オレを助けた?」 

 

それ故に、その問いかけは半ば必然のものだった。

 

「なぁに。単なるオレのわがままさ」

「わがままだぁ?」

 

予想外の解答に、呆気に取られて間の抜けた声を上げるロザーリオ。

 

「こんな稼業だ。命を狙われるなんぞオレもオメェも日常茶飯事だろうさ。だがなぁ…」

 

遠い目をして、そして過去を噛み締めるように目を閉じて、ジャスレイは言う。

 

「オレはオレの見知った顔が…理不尽に死ぬのが嫌なだけだよ」

「…なら、なおのこと余計なお世話だ。オレは殺されて当然のことをした。理不尽でもなんでもねぇ…ただの自業自得だろうよ。今、オレに出来るせめてもの償いの、邪魔をするな」

「あん?償いだぁ?」

 

そのロザーリオの言葉に、ジャスレイはピクリと反応したかと思うと、ロザーリオにズカズカと歩み寄る。

 

「ふざけんじゃあねぇぞ!!テッドもバカならオメェもバカか!?」

 

そして、ジャスレイはその胸ぐらを掴んでいた。

 

「悪いことしました。けど死んで償って、はいお終いですってか!?アア!?いいトシこいた野郎が、一番ラクな道選んでんじゃあねぇよ!!」

「……」

 

その言葉…いや、怒声に図星を突かれたのか、ロザーリオは気まずそうに黙る。

 

「ロザーリオ、オメェはテッドがオレの事ばっか話してたってつったよな?だがオレにはなぁ…会う度にお前らのことをいっつも自慢げに話してくれてたよ。そんなスゲェお前が、オレの…オレなんぞのためによ…」

 

俯き、うめくように言う。

 

「テメェの人生棒に振ってんじゃあ…ねぇよ…」

 

ジャスレイが胸ぐらを掴む手が緩むが、それを見たロザーリオは、息苦しさが止まることは無かったと言う。

 

□□□□□□□□

 

あっぶねぇぇぇ!!

死ぬかと思った!!

死ぬかと思った!!

 

いやまぁね?修羅場慣れしてんのはホントだけどさ?

だからってまた修羅場に飛び込みたいわけじゃあ無いよ!?

それに…。

 

「ロザーリオ、テメェ、償う気があるってんならこれからの働きで償いやがれ!!」

 

いやもうホント!!

今キミくらいの有能に死なれると困るの!!

主にオレの財布が!!

大がつくくらいの前提の計算が崩れちゃうから!!

 

「少なくとも、テメェに変われる人材が育つまでは、馬車馬のように働くんだな!!償うってんならそれが最低条件だろうが!!」

「しかし…いいのか、オジキ?」

「かまいやしねぇさ。リアリナ嬢も、それでいいか?」

「ええ。元々、命まで取る気は無かったから。おじ様に助けられちゃったわね」

「ま、貴重な経験ができたな?」

「もう…心臓が止まるかと思ったわよ…」

 

まぁ、今日頭目になったばっかの若い子にゃあキツイわなぁ〜…。

 

「こればっかりは慣れるっきゃねぇさ」

「…そうね」

 

素直な子だなぁ〜…。

いい頭目になるな。うんうん。




リコくん声といい、話し方といい、予想通りすぎてびっくりしました。

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