どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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gw中色々回ったけど、辟邪が…辟邪がどこにも置いてない…(;ω;)


第36話

今回の狙撃を受け、タントテンポ内部は数日の間、厳戒態勢に入った。

あちらに雇われた殺し屋があの狙撃手一人だけとは限らないからだ。

その後数日の間、夜を徹しての警備体制に幹部達はピリピリしたり、不安げな様子ではあったが、最低限リアリナがダディ・テッドの跡を継ぐという話そのものが纏まったのは僥倖だった。

まぁ、それと言うのもジャスレイの提示したメリットの大きさからして当然と言えば当然の結果と言えるだろうが。

なお、ジャスレイに庇われてから放心状態のロザーリオは、彼自身の安全のためにも一度身柄をリアリナとジャンマルコ、そしてジャスレイの三者の意向によりジャンマルコの預かりとなった。

 

「も〜、今回ばかりはホントに心配したんだからねぇ〜?」

 

ジャスレイが今回の滞在用に用意したアバランチ1コロニーにあるホテルの一室にて、ユハナが珍しく怒った口調でそう言う。

 

「悪ぃな。だが言い訳させてもらえんなら、オレが位置的に一番あの野郎に近かったからよ。それにリアリナ嬢がヤツに聞き出してぇことだって少なくはねぇだろうし。今回の件の当事者で、尚且つ一番の重要参考人のアイツをむざむざ死なせることもあるめぇよ」

「あの時のオジサンは確かにカッコよかったけど…何のための護衛だと思ってんのさ〜」

「流石に驚き…いや、ヒヤッとしましたよ…」

 

子どものように…というか、ある意味年相応に頬を膨らませながらそういうユハナと、珍しく同意するように頷くサンポ。

周囲の部下達も幾らかは慣れているものの、大方は二人に賛同するような気まずい沈黙が広がる。

 

「ハッハッハ!!いやぁスマンスマン。あ、コーヒー取ってくれ」

 

これにはジャスレイも苦笑いしながら素直に謝る。

 

「オジサンが死んだら、誰がアタシらの報酬用意してくれるのさ〜?」

 

すぐそばにあったコーヒーを手渡しつつ、照れ隠しなのか本心なのか、よく分からない怒り方をするユハナにサンポは「ハァ…」とため息をひとつつく。

 

「いつものこととは言え、オヤジはもうちょい自分を大事にしてくだせぇや」

「そうですぜ。オレらが悲しむのはもちろんですがねぇ、万に一つでもオヤジが死んだりなんかしたら、木星圏…いや、圏外圏の経済が崩壊しかねませんぜ」

 

コーヒーを受け取ったジャスレイは、バツが悪そうな顔をして

 

「すまねぇなぁ。経済崩壊は…まぁ、大袈裟っつうか身内贔屓が過ぎるとは思うが…ま、オメェらを信頼してるからオレ自身ああやって無茶もできるってえモンさ。実際あの後も、その前だってオレが何をするより迅速に動いてくれたろう?これからも頼りにしてるぜ?」

 

そう言うなり、頭を下げて詫びるとニカッと笑う。

それは、ジャスレイからの嘘偽りない本心からの言葉だった。

付き合いの長い部下達はそれを分かるからこそ心配もするし信頼もできる。

そんなジャスレイの性質を反映してか、『JPTトラスト』という組織は上下でも、また横の身内同士でもギスギスすることはこれまでほとんど無かった。

 

「まぁ、オヤジらしくはあるっちゃあ…あるんだがねぇ…」

「おう。分かってくれるか?」

 

ズイッと賛同を求めるように前屈みになるジャスレイはどこか少年じみていて、思わず笑いそうになってしまう。

 

部下達から見て、どうにもジャスレイは自分が波乱の時代を生きたからこそ、その危険を知る自分が常に前に出なければと思っているフシがあるように思える。

所謂、背中で語るといった風に。

 

「オヤジが現場を大事にする人なんは分かりますがねぇ…」

 

それに加え、常に現場の危機感を意識して忘れないことも、部下達の視点に合わせる姿勢すら見えてくる。

 

「あまり無茶しねぇでくださいや。オヤジはこんなとこで死んで良い人じゃあねぇんですから」

 

部下からのいつになく真剣味のある言葉に、少し驚いた表情を見せるとジャスレイは再び微笑み

 

「あんがとよ」

 

と、それだけ返したのだった。

 

□□□□□□□□

 

あ〜…ノドかわいた…。

受け取ったコーヒー飲も…。

 

うん?ユハナちゃんがなにやらニヤニヤしてるんだが?

 

「どうした?」

「それアタシの特製だからさ〜。残さず飲んでくれると嬉しいなぁ〜♪」

 

え、特製?何その不穏な響き?

オレは不安になりつつ、部下達の方を見る。

 

「大丈夫ですオヤジ。毒やら下剤やらの変な薬は入ってませんから…」

「うん?なら問題はねぇか…」

 

そう言いつつ、オレはストローに口をつけ…。

 

にっっっが!!

ナニコレめっちゃ濃いんですけど〜!?

気合いで何とか吹かずに済んだ…。

 

「ソレ全部飲んだら許してあげる〜♪」

「ユハナ…」

 

えっなに、サンポくんもこのイタズラ知ってたの?

 

「な〜に?サンポも特に止めなかったじゃん?」

「いや流石に冗談かと…妹がすみません、ジャスレイさん…無理なら残して大丈夫ですから…」

 

うわぁ〜…すっごい申し訳なさそうにうなだれてる〜…。

真面目だなぁ。

 

「いや何、こんくれぇ濃い方がいい気付けにならぁ。ありがとよユハナ」

 

実際、話し合いも全部済んでるわけじゃあ無いしなぁ…。

ひと段落ついたら、今度こそロザーリオの処遇含めて色々決めないとだし…。

 

さて。

 

どうしよコレ(特濃コーヒー)。




クロ○レイズ、頑張るぞ!!

なお、投稿頻度…。

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