どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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太閤立○伝5 Switchで出てたの知らなかったです。

DL版でやっていきます。


第44話

その日、しばらく使われてていなかったプライベート回線に通信が入る。

それに出る男…ラスタルは懐かしさを噛み締めると同時に髪と髭を軽く整え、毅然と格好を正して護衛の兵にも外で待機するよう命じる。

 

そして、勿体ぶるように少しだけ間を開けると意を決したように回線を開いた。

 

「よう。元気そうで何よりだ」

 

果たして、目の前の画面に映った相手は思った通りの男だった。

 

「手間ぁかけさせたな」

 

それが何のことか、問うまでもない。

 

「驚いたな」

 

ラスタルはとぼけること無く率直に思ったことを伝える。

 

「あん?」

 

その言葉に相手…ジャスレイは顔を顰める。

 

「お前のことだから、てっきりあの男の身柄を寄越せと乗り込んで来るかと思ったが」

「フン。そこまで馬鹿じゃあねぇつもりだよ」 

 

ジャスレイもまた、そんなことかと鼻を鳴らす。

 

「オレだって越えちゃあいけねぇ領分を勝手に踏み越えて駄々こねて、目に見える面倒な揉め事を起こすほど短慮じゃあねぇつもりだよ。だが…」

「だが…なんだ?」

「一つ聞かせろ。あのクラーセンって野郎…何で泳がせてた?」

「………」

 

沈黙。

 

「ダンマリは無しだぞ?」

 

念を押すように、問い詰めるように、そう聞く。

 

「こちらとしても、あの男は以前よりマークしてはいた。いたのだが…」

「あいつの証拠処理能力の高さを甘くみてたと?」

 

それには答えず、ラスタルは続ける。

 

「今回、あの男の足跡を見つけられたのは本当にたまたまだった」

 

何せ、まさかジャスレイに彼の協力者が噛み付く事態になるなど流石のラスタルでも予想だにできなかったのだ。

ただ、そのおかげもあって裏で暗躍していたろう彼の影が少しばかり浮き彫りになった。

そして、その千載一遇の機会を棒に振るラスタルでは無い。

決して安くは無い金を払って月に潜入させていた最も有力な情報屋数名に、騒ぎに乗じて密かに動くよう依頼し、それをどこで聞いていたのか、ブブリオの側にいたナナオからも話を持ちかけられ、それを了承した。

結果、彼女が大物を釣って来たわけだが。

 

「元々こちらでは黒い噂の絶えなかった男だ。…お前が相手だから言うが、実のところギャラルホルン傘下の家も、幾つかヤツとその一味と思しき連中の餌食になっていてな。ならば、あれ以上あの男を放置していたらそれこそギャラルホルンの名折れ。年寄り連中が過去に一度つけた結論は変えられずとも、せめて黒幕を法をくぐり抜けた先で処分するのはお前たちの言うところの通すべき当然のスジだろう?」

「要するにオレは釣り餌にされたってぇわけかよ!?」

「結果としてそうなっただけだ。それに…」

「それに何だよ?」

「お前はあの程度では死なんさ」

「嬉しくねぇ信頼のされ方だなぁオイ!!」

 

だが、先の証言に加えてラスタルの言葉によって疑念のいくつかは解消される。

まずロザーリオがジャスレイ相手に焦ったこと。これがクラーセンにとってのケチのつきはじめなのは間違いない。

その対応が遅れたのも、ラスタルが裏で幾らかの手引きをしていたから、と考えれば合点もいく。

 

「ま、この借りはいつか返すからよ、首を長くして待ってな」

「勘違いするな。私はアリアンロッド艦隊を預かる者としての責務を果たしたに過ぎん。まぁ…お前たちのことがなければクラーセンの尻尾は掴めなかったのでな。こちらとしてもその点は感謝してやってもいいが」

 

あくまで上から目線な物言いに、ジャスレイもムッとして返す。

 

「カァ〜!!感謝の言葉くれぇ言うのも受け取るのも素直に出来ねぇのかオメェは!!」

「当たり前だ。私にも立場というものがある」

「オレだってそれなりに立場があるっつぅの!!そもそもこれプライベートの回線だろうが!!ヘンな見栄張ってるんじゃあねぇよ!!」

「公私共に優れてこそ、セブンスターズ当主としての…」

「もうそういう談義はいいわ!!この石頭!!」

 

そういうなり、ジャスレイは勢いよく通信を切ったのだった。

 

□□□□□□□□

 

黄金のジャスレイ号内の通信室、通信を切ったオレは椅子に体重を預ける。

 

ったく…。

せっかくリアリナ嬢に無茶言って一人にしてもらったってェのに、格好も何もつきゃあしねぇなぁ…。

まぁ欲しい情報や合点のいくことも幾らかはあったし、他にもなんかあるようなら仕事ってことでそっちの回線に連絡も来るだろうし。

 

「ま、昔っからそういうところはあるヤツだったがねぇ…」

 

まぁ、イオクくんの手前そこまで揉めるわけにはいかんし…。

 

いい格好しぃはお互い様だよなぁ…。

 

「オヤジィィ!!」

 

うおう!?いきなりドア開けるのビックリするんだけど!?

 

「おう?すまねぇな。心配になるまで待たせちまったか?ちょうどいま通信も終わったとこだぜ?」

「それは、別に構わねぇですけど…あっ!!ロザーリオの野郎が目ェ覚ましましたよ!!」

 

…タイミングもいいなぁ。

 

「にしても、ナナオのヤツ…ホンット、油断なんねぇなぁ…」

 

やっぱ女って怖いわぁ…。




でも…コレって6は出ないよって事なんですかねぇ…。

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