バルバトスのMG…買おっかなぁ〜…。
タントテンポ本部のあるアバランチコロニーのドックにつけた『黄金のジャスレイ号』船内に、ジャスレイ・ドノミコルスの声が響く。
「そんじゃあオメェら、出発準備は出来たかぁ?」
「もちろんですぜオヤジ!!」
「いつでも出られまさぁ!!」
「抜かりはありませんや!!」
部下達は我先にと言葉を返し、それにジャスレイは満足げに頷く。
そうして、ジャスレイが『黄金のジャスレイ号』の入り口で諸々の確認も終えてドックの方を振り向くと、見送りに来たタントテンポの代表数名が名残惜しそうにしている。
他にも来たがっていた連中も居たようだが、時間的にいつもの数名だけでの挨拶になった。
「行かれるのですね…」
ヴォルコは、少しばかりくたびれた様子でそう言い、リアリナはまたもやブスッとした顔をする。
そしてアルジはその様子を苦笑しつつ、眺めていた。
「おう。わざわざ見送り感謝するぜ」
「別に、もうちょっといてくれても全然…」
「すまんな。こっちの都合でなぁ…ま、機会があればまた寄らせてもらうからよ」
ぐずるリアリナを宥めつつ、ニコニコとそんなことを言うジャスレイ。
「それによ。もしなんかトラブルが起きても、お前さんらなら問題無く切り抜けられるさ。自信持ちな」
「おじさま…」
「リアリナ嬢…なぁんか、いつもよりしおらしくねぇか?」
「シッ…これ以上お嬢の機嫌を損ねるようなこと言うな…」
アルジがこれ以上変なことを言う前に、ヴォルコはアルジを杖を持たない方の肘で制する。
「なんだよ?」とアルジが突っかかるも、ヴォルコは呆れたようにため息をひとつ。
いつものちょっとしたじゃれあいを一同が見守っていると、ジャンマルコが前に歩み出て確認するようにジャスレイに話しかける。
「オジキ、後のことは…」
「おう、任せた。頼りにしてるぜ?ジャン坊」
ニッと笑ってそう答えるジャスレイに、ジャンマルコも
「任されたぜ!!」
と、自信家な笑みで返す。
「え〜〜……オジサン行っちゃうの〜?」
「悪りぃなユハナ」
いつになく落ち込んだ様子のユハナにジャスレイは詫びを入れるが…。
「へへ〜ん。そんなに悪いと思うんならこの代金全部支払って〜♪」
いつの間に出したのか、ユハナはニッコリしつつ書類の束を見せつける。
「お前さんら兄妹への報酬分はもう滞りなく支払っただろ?ったく…ユハナもいつも通りで何よりだよ」
ジャスレイはつい帽子を抑えて、苦笑い。
「す…すみませんジャスレイさん…」
それに釣られるように謝罪の言葉を述べるサンポ。
もはやその流れはいつの間にやら一種の様式美になっていた。
「いや、しんみり見送られるよりはいつも通りの方がいいさ。互いに、ヘンに気取らねぇで済むからよ」
そうして、ジャスレイとタントテンポの面々が別れを惜しみつつ二、三談笑していると
「オジキ〜〜!!早く早く〜〜!!」
「こらライド…もう少し待つってことをだな…」
早く仲間に会いたいのか、急かすように船入り口に立つジャスレイに駆け寄るライド。
「オウ。もうちょいだけ待っててくれなぁ」
ジャスレイはライドの方を向いてしゃがむと、わしっと軽く頭を撫でる。
「そんじゃあ、オメェら達者でなぁ」
ジャスレイがすっくと立ち上がり、軽く手を挙げるのとほぼ同時、入り口のハッチが閉まりはじめる。
そうして、テイワズのNo.2を乗せた『黄金のジャスレイ号』は、一路地球へと舵を切るのだった。
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ふぅ〜…どっこいしょ。
さ〜て、こっからだぞ〜?
待ちに望んだ鉄華団との友好関係構築の鍵は。
ふっふっふっ…。
この時のために一体いくら出費がかさんだことか…。
鉄華団にだけすると不自然だからテイワズの傘下が増える度に資金援助をし…。
万が一にも人員に取りこぼしがあると嫌だから各地の『JPTトラスト』の支社やその倉庫に食料や物資目当てに忍び込む孤児達やチンピラの内、やる気のある子らをウチで抱え込んでイチから教育して…。
「ねぇねぇオジキ!!団長達、今のオレ達見てビックリするかなぁ〜〜!?」
いやぁ〜ライドくん。側から見ても分かるくらいワクワクしてるなぁ。
「おう。きっと立派になったって褒めてくれると思うぜ?」
「ヘヘッ、そうかなぁ〜」
「こらライド。あまり調子に乗って、痛い目見ても知らないぞ」
「そう言うチャドだってそわそわしてんじゃ〜ん」
「なっ…いやオレは…別に…」
年相応に仲良くケンカする二人を、部下達も微笑ましそうに見守ってるしなぁ…。
いやまぁ、ホント。
二人とも立派になってなぁ…。
本人の努力って大事ねやっぱ。
……三日月くんもお土産気に入ってくれるといいんだけどなぁ…。
まぁ、そんなこんなで月鋼編はここまでです。
まだまだイベントは盛りだくさんですが、全部やると地球の鉄華団に追いつけないからね。しょうがないね。
なお、月鋼のキャラ達は普通にちょいちょい再登場するとは思います。