どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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フラウロスとレギンレイズジュリア…そしてキマリスヴィダールにバエルと…楽しみすぎますねぇ。


第48話

月を出発した『黄金のジャスレイ号』は、特に大きなトラブルも無く地球へとたどり着くことに成功した。

 

「チャド・チャダーン、只今帰還しました!!」

「同じくライド・マッス!!帰還しました!!」

 

背筋をピシッと伸ばしてそう言うのが意外と様になっている様子に、鉄華団のメンバー達は何やら驚いた様子だ。

二人が仲間達に囲まれてアレコレ質問の嵐を受けている間、先に到着していたのだろう『タービンズ』の代表、名瀬・タービンと、『鉄華団』団長オルガ・イツカに声をかけ、そちらへの挨拶も済ませる。

 

「名瀬、相変わらず仕事が早ぇなぁ〜」

「まぁ、兄貴の頼みだからな」

 

そう即答する名瀬に対し、ジャスレイは嬉しそうに返す。

 

「嬉しいこと言ってくれるねぇ〜。鉄華団の面々もお疲れさん。大変だったなぁ〜」

「いえ…オレらが自分たちで引き受けた依頼なんで…」

「そう固くならんでいいさ。オレは要件済んだらいったん歳星に帰っからよ。オヤジに色々と報告しねぇとだからなぁ…」

「まぁ、今くらいは羽根伸ばしてもいいんじゃあねぇですかい?」

 

名瀬がジャスレイを労うようにそう言う。

 

「ま、後進の仕事の邪魔だけはするつもりはねぇからよ。一・二泊して部下達の疲れとったら…うん?」

 

チラリ…とジャスレイの視界の端に見慣れた影が写る。

 

「おっ?おぉ〜!!久しぶりだなぁ()()()()ぁ〜」

 

そして、それが目に入ったのだろうジャスレイは鉄華団の二隻のうち一隻の船を見るや、その片方…鉄華団に譲った方の船の装甲をバシバシと懐かしむように軽く叩く。

形状こそ随分とコンパクトになりはしたが、それでも長年苦楽を共にして来た船だ。ジャスレイには一目で分かる。

心なしかその名を聞いた周囲の『JPTトラスト』のメンバーも涙目になっている様子だ。

なお、ブルワーズから接収したと言うもう一隻の船は、ここにくる途中盾として活用したようで、影も形も無い。

 

「コイツのこと、大事にしてくれてるみてぇでオレは嬉しいぜぇ?」

 

驚く鉄華団に向かいニッと笑う。

オルガは急に礼を言われてなんと言ったら良いのか分からないと言った風で

 

かろうじて「は、はぁ…どもです…」とだけ返せていた。

 

「それでこそ、アレを任せられるってぇモンさ」

 

そのセリフとちょうど同時くらいにジャスレイの部下達がその荷物を載せたトラックに乗ってやって来た。

 

「お…オジキ!?」

「なんだなんだぁ!?」

「任せるって…なんかくれんのかなぁ?」

 

トラックから慎重に降ろされるなにやら大きな荷物に集まる鉄華団一同を脇目に、ジャスレイはその贈り物に被せていたシーツをバサリと取り外す。

 

「兄貴…まさか、ソレ完成させてたのか?」

「おうよ。名付けてγナノラミネートアックス…ってぇとこかね。お前さんらへの餞別にと思ってよ」

 

名瀬はそれを見るなり、驚きの声を上げる。

 

「ま、完成つっても急造もいいとこの試作品止まりだがな。そのための予備三本もあるのさ」

「そりゃあまた…」

 

なんと言ったものか…と苦笑している名瀬。

 

しかし、それも無理からぬこと。

三百年前の失われていた技術を、ジャスレイの研究費投資と『JPTトラスト』の総力をもってかき集めた文献のゴリ押しで成功させたのだから。

 

それをよくわかっていない様子の鉄華団一同はスゲェだのデケェだのとワイワイ騒いでいる。

そして、いつの間に来ていたのか興味深そうにまじまじと見つめる三日月・オーガス。

 

「別に復活ってほどでもねぇさ。ちゃんと使えば暴走こそしねぇが出力もいいとこオリジナルの七割ちょいくれぇだしよ。一度の戦闘での消耗も…一振り当たり十回耐えれば良い方で…まぁ消耗もデケェのさ」

 

ジャスレイは肩をすくめて不満げにそう言う。

 

「できりゃあ、もっと頑丈で安定してて、出力も出せるヤツを渡してやりたかったんだがねぇ…」

「いやぁ…これでも充分なんじゃあねぇのか?なぁオルガ?」

「えぇ、充分ありがてぇです。恩に着ます!!」

 

少なくとも普段使いならともかく、これだけでもいざという時の切り札としては十分に過ぎる。

モノもそうだが、深々と頭を下げるオルガにジャスレイの隣に立つ名瀬は苦笑するしか無かった。

 

そしてその晩。

ジャスレイが部下達に混じって食事を取っていたところを、懐かしい顔に会う。

 

「あっジャスレイさん!!ひっさしぶりだねぇ〜!!」

「ちょっとラフタ…」

「うん?ラフタにアジーか。久しぶりだなぁ」

「えへへ、だぁりんに言われて鉄華団のお手伝いにねー」

「流石に表立ってテイワズのモビルスーツってバレるとコトだからね。名前も漏影にして、見た目もリアクターの反応も別のパターンに変えて地上戦仕様にしてはあるけど」

 

アジーは説明のため、タブレットを片手にスペックを見せる。

 

「ほほ〜う。流石名瀬の野郎だ。宇宙戦を想定した機体を見事に地上戦仕様に切り替えて、百錬の使い勝手の良さも変えちゃあいねぇのか…」

「乗れないのによくわかるねぇ〜」

「ラフタ…」

 

嗜めようとするアジーを、ジャスレイはスッと片手で制する。

 

「いや、構いやしねぇさ。それ自体は事実だしよ。それに…」

「それに?」

「オレの大事な部下達が乗るかも知れねぇ機体の、その命を預かってくれるモンに対して、なんの知識もねぇんじゃあ…いざって時に困んだろう?」

「オヤジィィ…」

「一生着いて行きますぜ!!」

 

さらりと言われたその言葉に、部下達は改めて感極まっていたのだった。

 

□□□□□□□□

 

ふひ〜…。大気圏突破って、何度やっても緊張するんだよなぁ…。

尤も、信頼する部下達がミスするとか考えてないけどもさぁ…。

まぁ、渡すモンも渡せたし…後はオレは帰るだけ。

ギャラルホルン…っていうかラスタルのヤツも、オレが今ここにいる事は分かってるだろうから、ヘンに手ェ出しちゃあ来ねぇだろうし…。

一番警戒すべきカルタ・イシューの部隊も同じ理由で手をこまねいてる状況かねぇ。

図らずも二日ほど休暇みたいになったなぁ…。

もちろん、完全に気は抜けないだろうけども。

 

「さぁ〜て、そうと決まりゃあ久々に晩酌でも…」

「オジキィ〜!!」

 

うん?

 

「どうしたんだ?ライド…そんなに慌てて」

「あのさ…」

 

何やら真剣そうな眼差し。

ここで追い返すのも心象悪いよなぁ…。

 

「うん?」

「オジキの話…みんなにしてもいい!?」

 

へ?どゆこと?

 

 




もうちょっと宇宙の旅してても良かったかなぁ…なんて思いつつ、冗長なのもなぁ…と思い、地球に来てもらいました。

届け物の正体はγナノラミネートソードの廉価版みたいな感じですね。

ちなみにサカマタとはシャチの別名だそうです。

カッコよかったので、鉄華団に譲った船の名前にしてみました。
もし既出の名前だったら申し訳ない…。
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