どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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なんかどんどん楽しくなって来たぞぅ。


第5話

「では、今日のよき日に!!乾杯!!」

桜の舞い散る下で、乾杯の音頭を取るのはマクマード・バリストン。

今日は鉄華団が正式にテイワズの傘下に加わる日だ。

故に、出席者たちは各々立場ある人間ばかり。

そして堅苦しい儀式も終わり、今は皆が楽しみにしていた祝いの宴の時間だ。

「お〜う、お前ら呑んでるか?」

ジャスレイが各組織に回って挨拶に行くなり呼び止められる。

「アニキ!!」

「アニキィ!!」

「みんな!!アニキが来てくれたぞ!!」

「聞いてくださいやアニキ!!」

「おうおう。聞く聞く、逃げやしねぇから一人ずつ話してくれや」

むくつけき男たちが周囲に集まって来ても、ジャスレイは慌てた素振りもない。

そして、彼らの聞いて欲しいことというのも愚痴だったり、武勇伝だったり、相談事だったりと多岐に渡るが、ジャスレイはそのひとつひとつに親身になって答えていた。

やっと話が終わったと思えば、今度は宴会恒例の喧嘩が始まったりなんだりで仲裁に走ったりと多忙な時間を過ごして、結局ジャスレイが鉄華団の所に行けたのはそれから数時間が過ぎた頃だった。

「お〜う。名瀬に手ェ焼かせたってぇのはお前さんらかい?」

「アンタ誰?」

そして、ジャスレイに気付いて対応したのは料理に舌鼓を打っていた三日月・オーガスだ。

「テメェ!!オヤジ相手にアンタだと!?」 

あまりに無愛想な物言いに、ジャスレイの部下が憤るが、当のジャスレイがそれを静止する。

「まぁまぁ落ち着け。別に悪気があった訳じゃあねぇだろうよ。すまんなぁウチのモンが」

そう言って帽子をとり、改めて名乗る。

「ジャスレイ・ドノミコルスだ。団長さんはいるかい?」

「三日月・オーガス。オルガならあっちだけど」

三日月は名乗り返すと、片手で方向を指し示す。

「おう。ありがとよ」

「ん」

ジャスレイの目的の人物、オルガ・イツカは三日月に教えられた通りの方角にいた。

尤も、こんなことで嘘をつく理由も無いが。

「な。スゲェ人だろ?」

「え、えぇ…」

袴姿のオルガが何やら困惑した様子で名瀬・タービンと話している。

当然だが、彼らの周りには鉄華団の団員たちも居た。

「ジャスレイ・ドノミコルスだ」

ジャスレイは三日月にそうしたように、帽子を取って挨拶を交わす。

「あ、オルガ・イツカ…です。よろしくお願いします」

オルガは慣れない敬語に四苦八苦しながら、自己紹介をする。

「おうよろしく。まぁ、まずは一献。ジジィの酌で悪りぃがね」

「あ、いえ…ありがとうございます…」

オルガは恐る恐ると言った様子でお猪口を差し出す。

「まぁそう固くなんなや。しっかし、なかなかの男ぶりじゃねえかよ。実はさっきもなかなか気骨のあるヤツに会ってな」

「え?誰です?」

酌を受けながら何か粗相があったのかとオルガは若干焦った様子だ。

「三日月・オーガスってヤツなんだがな…あぁ、別にヘッドハンティングしようってんじゃあねぇさ」

そう言うと、ジャスレイは付き添いの部下に声をかける。

「アレ、出してもらえるか?」

「はいオヤジ」

返事をすると、部下は手にした荷物をオルガたちに見えるように置く。

「すまんね」

オルガたちの目の前に置かれたのはアタッシュケース。

そして、鍵を使って開けた中には…。

「うわぁ〜…」

「スッゲェ〜大金…」

「お前さんらのことはそこの名瀬から色々と聞いてるよ。阿頼耶識を使ってて、モビルワーカー乗りが多いんだろう?これでヘッドギアなり、ボディアーマーなり買うといい」

「えっ、でも…」

「な〜んかウラがありそうだよなぁ〜…」

ライド・マッスが脇から怪訝そうにそう言う。

「ライド!!失礼だぞ!!」

すると、隣にいたチャド・チャダーンがまずいと思い、珍しく声を荒げる。

「ご、ごめん…」

「ま、これは先行投資ってヤツさ。だから気にすんなって」

「せんこーとーし?」

難しい言葉に首をかしげるライド。

「ま、要はそれだけお前さんらに期待してるってことさ」

ライドの頭をポンポンしながらそう言うとジャスレイは鉄華団の面々に背を向ける。

「おっ、兄貴。もうオヤジのとこに行くんですかい?」

何やら名残惜しそうに話す名瀬に、鉄華団の面々は驚く。

「おう。これからのことをちょっとな。ろくに挨拶も出来んで申し訳ない」

振り返ったジャスレイはそう言って軽く会釈する。

「あ、いえ…恩に着ます」

オルガは戸惑いながらも頭を下げる。

「いいんだよ。若けぇのは周りに頼れば。でなきゃ、潰れて終わるぞぅ」

そう言うとジャスレイは再び背を向け、その場を後にしたのだった。

「デケェなぁ…」

去りゆく背中にそう言ったのは誰だったか。

或いはそれが鉄華団の総意だったのかも知れない。

 

□□□□□□

 

鉄華団のいる場所から離れたオレは心の中でガッツポーズしていた。

ふっふっふ…。やったったぜ!!

これで好感度アップは間違いないねぇ!!

最初は「何もオヤジが出向かずとも、向こうを呼びつけりゃあいいじゃねぇですか」なんて言われたりもしたが、そこはお得意の『仁義』でゴリ押したね。うん。

って言うか、鉄華団にだけそうするのは不自然だから、前々から他の組織にも同じようにしてたら、み〜んなアニキアニキって言うようになってなぁ…。

へへ…手痛い出費だったぜ…。

金額?聞かないでもらえると助かる。

「しかしオヤジ、相手はガキですよ?なのにあんなポンと…」

「だからこそさ」

「は?」

「身勝手な話だがなぁ、ああ言う連中見てると昔のお前ら見てるみたいでほっとけなくってよ」

その言葉を聞くなり、鼻をすする音が聞こえて来る。

「オヤジぃ…」

「ったく、まぁた泣くんか?オレの周りにゃ涙もろい連中ばっかだねぇ」

「スンマセン…」

「謝んじゃねぇよ。男にゃ涙が必要な時もあらぁな」

オレなんていっつも泣きてぇもんよ。わかるわかる。

ま、なんにせよ今回は挨拶程度。

後はまぁ、ちょっとでも学をつけてくれりゃあなぁ…。

そこも含めてオヤジに報告するかねぇ。

 




ここのジャスレイさんは鉄華団より過労に殺されそう(白目)
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