どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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久々のジャスおじサイドのお話です。


第55話

鉄華団がギャラルホルンと戦闘をしていた頃、ジャスレイの方にも動きがあった。

鉄華団へのフォローにひと安心してマクマードへの報告のため、『黄金のジャスレイ号』に乗る『JPTトラスト』の面々が木星圏へと船を進める帰り道、ちょうど圏外圏に入った頃にそれは起きた。

 

ザザッ…

 

ザザザッ…

 

「ん?」

「どうした?」

 

その異変に、最初に気がついたのは通信士だ。

 

「いや、いきなり通信に乱れが…」

 

そして、その原因が外部から通信がジャックされたことに気がついた。

 

「よォ〜、ジャスレイ・ドノミコルス。会いたかったぜぇ〜!?」

 

モニターに現れたのは、額に特徴的なタトゥーを入れた大男。

ギャラルホルンも手を焼く宇宙海賊の頭目。

 

「テメェは『夜明け』の…」

「何の用だ!?」

「オイオイオイオイオイ…オレはいまテメェらと話してるんじゃあねえ…テメェらの上司と話してんだ。すっこんでろ!!」

 

男…サンドバル・ロイターはジロリ…と睨んでそう言い放つも、それで引くジャスレイの部下では無い。

 

「そう言うわけにはいかんなぁ…」

「オヤジと話したけりゃあ、まずアポをとれやこの不作法者の唐変木が!!」

 

埒があかないと思ったのか、文句を言うジャスレイの部下たちをハン…と横目で見遣るなり、本題を切り出す。

 

「ジャスレイ、オメェはいつまでマクマードの老いぼれの犬なんぞやってる気なんだよ!?」

「……言いてぇことはそれだけか?ならどきな。邪魔だし迷惑だ」

 

ジャスレイはウンザリした表情でしっしっ、と手を払う。

 

「釣れねぇこと言うなよ。せっかくの感動の再会じゃあねぇかよ」

「いつ、オレがオメェに会いてぇって言ったよ?」

 

売り言葉に買い言葉。

ある意味でいつもの光景だ。

 

「何度も何度も言うがなぁ…ジャスレイ。オレはオメェを高く、高く、高ぁぁ〜〜く買ってるんだぜ?」

「そりゃあ結構なこったなぁ。こっちこそ何度も何度もいうがな、勧誘なら受けねぇよ」

 

呆れた表情でそう返されるも、サンドバルにこりた様子は無い。

 

「ニュース見たぜ。オレなら、オメェをあんな危険な目にあわせたりはしねぇ。ふんぞりがえって指示だけ出してりゃあ安泰な地位にしてやることだって可能だ。それに、オレとオメェが組みゃあ…それこそ敵無しだ!!デケェツラしてるギャラルホルンにひと泡もふた泡も吹かせることができる!!オレたちの誇りと、自由とが体制に鉄槌を下せるのだ!!」

 

興奮気味にそう言うサンドバルに対し、ジャスレイは

 

「アホか」

 

冷めた様子で短く、それだけ返す。

 

「危険を共有出来るからこそ、部下は上司を信頼してくれるんだよ」

「それは分かるぜ?オレだって船団を率いる立場なんだからよ」

 

一理ある、サンドバルはコクリと頷く。

 

「だがなぁ…世の中には適材適所ってぇのがあんだろう?オメェはあきらかに後方でどかっと腰を据えて支援をする方が向いてる…いや、そうすべき男だ。そんな奴がどうして前線に出張るのか…オレァ理解に苦しむねぇ…」

 

ヤレヤレと、わざとらしくため息をつくサンドバル。

こう言うところが食えないのだと、ジャスレイは心の底で舌打ちをする。

 

「オレはなぁ…ロイター。信条として自分より弱え奴ら…特に女子供に手ェ出すやつはクソ野郎だと思ってんのさ。それでどんだけの未来が潰えてきたか…想像すらしたくねぇ」

「あん?海賊相手に説法でもたれんのか?アウトローのオメェに、そんな資格があるとでも…」

「分かんねぇのか?オメェらはオレらより弱えって、これまで散々見逃してきてやったって、そう言ってんだよ」

 

そう言うなりジャスレイの纏う雰囲気が変わる。

 

「三度は言わねぇ。どけ、デカブツ。さっきの話だが、体制に一泡吹かせるって?仮に出来たとして、その後はどうするんだよ?大方、そん時にオレの首でも差し出す気だったんじゃあねぇのか?」

 

ジャスレイからじわり…と滲むような殺気が漏れ出す。

画面越しでも息が苦しくなるような、逃れられないような、そんな殺気が。

 

「ハッハ!!」

 

しかし、それを見るなりサンドバルは嬉しそうに笑う。

 

「そうだよ!!それだ!!その目だよ!!『圏外圏の虎』ァァァ!!牙も!!爪も!!鋭いまんま…いや、寧ろ増してんじゃあねぇかよ!!嬉しいねぇぇぇ!!」

「…勘違いすんじゃあねえぞ?オレはかつての野心も、望みも、とうの昔にオヤジに捧げてんのさ」

 

だから…邪魔ぁすんなや

 

ゴクリ…と生唾を飲む音が画面の向こうとこちら側の双方から聞こえてくる。

しばしの沈黙ののち、口を開いたのはサンドバルの方だった。

 

「いやいや…収穫だったなぁ!!腑抜けたと思ったオメェが、まるで健在なんだからよ!!」

 

ジャスレイの部下達が舌打ちをこぼすも、サンドバルの上機嫌は変わらず

 

「用事は済んだ。構ってもらえて楽しかったぜぇ…あばよ!!」

 

と、それだけ残して去っていった。

 

□□□□□□□□

 

サンドバル・ロイター…久しぶりにちょっかいかけて来たけど、相手にすんの疲れるんだよなぁ〜アイツ。

 

「ったく…オヤジに報告することが増えたじゃあねぇか」

「オヤジ…ありがとうございます」

 

んお?どしたんだ急に。

 

「なぁに、礼を言われるようなことでもねぇさ」

「しかし…アイツ、オヤジを差し出すって、そんなことをしたらどうなるか、考えが及ばないんですかねぇ?」

「いや、ヤツは海賊。混沌こそを望み、混乱を糧とする。だからその後のことなんぞ知ったこっちゃあねぇんだろうよ」

 

っていやぁ何やらカッコいい気もするが、要はただのハイエナ野郎だよなぁ。

しかも、それを誇りだ何だと言って悪びれねぇんだからタチが悪いったらねぇわ。

 

「ったく…きな臭くなってきやがったなぁ…」

 

これが、鉄華団…主人公勢力を抱え込んだから起きたことなのか、それ以外に要因があるのか…或いは、サンドバル…夜明けの地平線団に、何かしらの変化があったのか…。

 

ともあれ、様子見しかできねぇかねぇ〜。

 




次回は一応鉄華団サイドで予定してます。
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