どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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ちと物足りなかったので鉄華団サイド補足します。


第57話

その日地球に於いて、重大な出来事が起きていた。

 

「おい!!ギャラルホルンの連中、引いて行くぞ!!」

 

モビルワーカーのハッチを開け、そう叫ぶのは鉄華団副団長ユージン・セブンスターク。

 

「やった!!オレ達勝ったんだ!!」

「見たか!!ギャラルホルンめ!!」

 

続々と喜びに震える声が上がるが…。

 

「お前ら!!まだ仕事は終わっちゃあいねぇぞ!!」

 

そう言うのは鉄華団団長、オルガ・イツカ。

 

「今のうちに蒔苗先生を送り届けねぇと、連中今度は援軍連れて戻って来るかも知れねぇ!!そうなりゃあ今回の作戦もパァになんだぞ!!」

 

その一喝にハッとなった鉄華団一同は、先ほどの浮き足だった空気も引き締まり、再び作戦行動に戻る。

用意された列車に乗り、一行は一路エドモントンへ。

 

今度は警戒体制を維持したまま、代わる代わる番を立てる。

そして、車両のひとつに、策士組が集まり今後の方針について話し合っていた。

 

「ビスケット、あのギャラルホルンの連中来ると思うか?」

 

まずはオルガがそう問いかける。

 

「そうだね。三日月のおかげで機体の損傷が激しいとはいえ、あの執念深さだ。用心に越した事はないと思うよ」

「チャドとライドも同じ意見か?」

「ええ。引いた理由が明確にわからない以上、安心しきるにはまだ早いかと」

「だね。ただ、モビルスーツのインナーフレームは現場の応急処置で修理してもすぐに動けるようにはならないと思うよ。いわば人体で言う骨が折れてる状態だからね。一度装甲を外して本格的に修理をするなら…普通は一機だけで、数週間はかけるモンだからなぁ…。もちろん、フレームの種類にもよるけどさ」

「なるほどなぁ…。そんな悠長にはしてられない…か」

 

かと言ってほぼ無傷な機体をかき集め、ニコイチ、サンコイチで修理したとしてもせいぜい二〜三機が限度だろう。

そうなれば、後は単純なモビルスーツそれ自体の性能の勝負になる。

 

「賭けってレベルじゃあないね」

「だが…あの隊長のめんどくささは実際目にしてるからね」

 

団員達は各々で暖をとり、雪の中を進む列車の窓の外を警戒する。

普通なら見たことのない銀世界に心躍らせるものなのだろうが、今の鉄華団にとってこれは自分達の体温を奪う敵であり、敵からの視認を妨害してくれる味方だ。

 

「オジキが資金をたくさん用意してくれててよかったぜ…」

「うん。そのおかげでオレ達は寒さの中でも暖をとれて、飢えずに生きられる」

 

オルガ達が今回の依頼に当たって、用意したものは多い。

携帯食料や、暖房具が買えたのも、あの宴の時にある程度まとめてもらえたからだ。

 

クーデリアとアトラは一時的でも緊張感から解放されたためか、昼の戦闘が終わってから列車に移動して、今は毛布にくるまって寝ている。

クーデリアと同じく護衛対象の蒔苗氏も同様、一番安全な車両で休んでいる。

 

「さてと…こっからが正念場だなぁ」

 

気合い十分という様子のオルガを見るや

 

「オルガは三日月のところにいってあげて」

 

と、ビスケットは優しく言う。

 

「え、でも、いいのか?」

「いつ敵が来るとも知れない状況なんだ。作戦を伝える意味でも、オルガは三日月といた方がいい」

「……分かった。恩に着るぜ!!」

 

そう言うなり、オルガは三日月の所へ走って行った。

 

「でもいいの?」

 

オルガの背中が見えなくなって、すぐに疑問を口に出したのはライドだ。

 

「オルガは最近、オレ達とばかり話してるからねぇ〜」

 

ビスケットはそれで少し物寂しさを感じているのだろうと予測しているようだ。

 

「そういやぁ、あの二人、CGSに来るより前からの付き合いだったっけ?」

「ああ。しかし…」

「うん。三日月も、少しずつだけれど変わっていってるような…そんな気がするんだ。それが良いことなのか悪いことなのかはわからないけど…」

 

夜はふける。

 

鉄華団と、その護衛対象の二人を乗せて。

 

一路、エドモントンへ。

 




気持ち短めに。

一応アインくんは出すつもりです。

カルタ様は…どないしよ。

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