どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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ジャスおじサイドが書きたくなったので、一話はさませて…。


第62話

パチン…パチン…。

 

静寂な室内で、交互に石を置く音が響く。

碁盤を挟んで対局しているのはジャスレイの見様見真似でやっているニナと、テイワズの首領、マクマード・バリストンのふたり。

そして、先程までマクマードと対局していたジャスレイが義娘の初対局の様子を見守っている。

戦況は白…マクマードがやや優勢といったところ。

そもそもこの囲碁自体が仕事の合間の息抜きであることと、相手が初心者の子どもと言う事もあり、マクマード側はそれなりに加減もしているが、一方でニナは真剣な表情を浮かべている。

 

「っ…ここ!」

 

パチンっ…

 

「うぉっ?ニナ、よく気付いたなぁ…」

「ふふん…」

 

その一手を見て、お茶を飲もうと持ち上げたカップを手に驚いているジャスレイを傍目に、ニナは誇るようにマクマードの用意したカンノーリを頬張る。

 

「ほぉ…なかなかやるようだな」

 

とは言え、その後は熟練の打ち方を見せたマクマードが勝利し、ニナはその悔しさからか囲碁の本を読み込んでいるところだが。

 

「それで…どう思う?」

 

実の孫娘のように可愛がっているニナが本に集中している間に、マクマードは対面のソファに腰掛けるジャスレイに問いかける。

二、三世間話を挟んで、マクマードが切り出す。

 

「うん?何がだ?」

「今鉄華団が相手取ってるだろうイシュー家の跡取り娘さ」

「ああ…それか…」

 

地球外縁軌道統制統合艦隊の隊長を務めるカルタ・イシュー。

セブンスターズの一角を担うイシュー家の一人娘。

とかくプライドが高く、年寄り連中の傀儡となることを良しとしない反骨精神の持ち主。

そんな性格故か、ほぼ干されているような現状にある。

セブンスターズの動向とは、どれだけ隠そうとしてもわかる人間にはわかるもの。

地面に落ちているスズメの羽根と大鳳の羽根が同じはずも無く、ミミズの這いずった跡よりも大蛇のそれの方が目立つのは必然。

ことに、ジャスレイが手にしていたギャラルホルン内部からの情報からその人となりは、ともすれば危うさすらあることに気づいていた。

というか、少なくともあの場からジャスレイが居なくなればすぐさま鉄華団を追いかけるだろうことが分かるくらいには自身の使命感に忠実だ。

まぁその後のナナオの策で一度は離れるだろうが、壊れたモビルスーツに鞭打って鉄華団の乗る列車を遮二無二追いかけるのは些か骨だ。

であれば、まず何かしらのアクションを仕掛けるだろうことは想像に難くない。

それも、ある程度の妥協を含んだ形で。

 

「良くも悪くも世間知らずで正義感の強えお嬢さんってとこか。危ういねぇ…」

 

ジャスレイは一度どこかのお嬢さんを思い浮かべるも「だが…」と続ける。

 

「だが?」

「だからこそ、鉄華団連中の初交渉の相手にゃあ持ってこいだろうさ」

 

ニヤリ、と笑みを浮かべるジャスレイに、マクマードは呆れた様子で

 

「おめぇ…最初っからそのつもりだったのか?」

「名瀬に提案された時にちょいと思いついてな。まぁ、アイツらには少しでも成長してもらわねぇと。その名瀬も報われねぇだろう?」

 

名瀬自身は自分のメンツを気にするタチではないが、しかしだからこそ兄貴分として顔を立ててやりたくもなる。

まして今は同じく子を持つ親なのだから。

ジャスレイはおもむろに隣に座って本を読むニナの頭をくしゃりと撫でる。

余程集中しているのか、それとも気付いた上で放置しているのか、ニナはそれを払いのけようとはしない。

 

「アイツらが成長してくれりゃあ、その分オレもラクさせてもらえるしなぁ。特にライドとチャドはあの二人の勉強の成果を色んな側面から見せてもらわねぇと」

 

武器とは銃火器やモビルスーツだけでは無く、戦いとは何も銃弾や干戈を交えることだけをいうのではない。

知恵や弁舌もまた戦場に於いては立派な武器であり、交渉もまた組織をまわす上で必要な戦いなのだ。

そのことに、鉄華団は気づかねばならない。

そうでなければ、待っているのは中身のないゴム風船のように膨張した末の破裂といった末路だからだ。

 

「ったく…分かってるだろうが、あんま贔屓し過ぎんなよ?」

 

念のため釘を刺すマクマードにジャスレイは頷く。

 

「おう。心配してくれてありがとうなぁ、オヤジ」

 

そう言うと、ジャスレイは改めてお茶を口にしたのだった。

 

□□□□□□□□

 

よしよし…色々と手ェ回した結果、ビスケットくんも生きてくれてるだろうし、側にはライドくんにチャドくんもいる。

鉄華団のブレーキ役…と言うか軍師?が増えた以上、オルガくんも急に進み続けるマンにはならない…はずだ。

 

「ニナ、面白ぇか?」

 

そう言うなりニナは本を読みながら

 

「ん…いろいろしってて…損はない」

 

と返してくる。

この知識への貪欲さは本当に凄いと思うなぁ。

そう思いつつ、カンノーリを食べようと皿に手を伸ばすが…。

 

「しばらくオメェの分はねぇって言ったろ?」

 

そんなことを言われ、皿ごとカンノーリをヒョイと持ち上げられてしまった。

くぅ…マジメ腐った表情でそんなこと…いや、まぁオレが全面的に悪いんだけどもさ…。

 

「じゃす。自業自得」

 

…相変わらずウチの娘が冷たいんだが。




ドラグーンについて詳しい方々、わざわざありがとうございます。
いやぁ…己の無知さがお恥ずかしい限りです。

それとマクマードのオヤジ、なんとなく囲碁出来たらカッコいいだろうなぁって。勝手なイメージですはい。
囲碁に関してもど素人です。はい。
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