どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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運良くhgザクIII改買えました〜。
やっぱりザクは緑が一番な気がする筆者です。




第68話

歳星のとある工廠。

厳重な管理のもと、粛々と用意が進められているそこには新型機の試作実験が執り行われていた。

 

「オーライ!!オーライ!!」

「その機材はこっちだ〜〜!!」

「手ェ挟まないようになぁ〜!!」

 

大掛かりな重機が動く中、ジャスレイは邪魔にならないようその様子を離れたところから護衛数名と興味深そうに見守る。

 

「いやぁ〜、『百錬』や『百里』のデータとジャスレイさんの出資のおかげで予定よりも早く完成しそうですよ」

 

ホクホク顔でジャスレイに話しかけるのはテイワズ所属の技術班班長を務める男。

彼もまた、ジャスレイとはそれなり以上に長い付き合いだ。

 

新しい機体は名を『辟邪』と言う。

元々は古代の神話に出てくると言う二本のツノを持ち、邪悪を退けるという動物であり、正にテイワズの守護者たるに相応しい名だ。

 

ジャスレイは先ほどの説明の折り、手元のタブレットに送信された資料に目を落とし、スペックや武装を実物と交互に見比べつつ確認する。

ヒットアンドアウェイから、近接戦まで幅広くイケる汎用性の高さ、肩と背中のスラスターによって実現される旋回性能と機動性。

ジャスレイはなるほど、と身内ながら凄まじい技術力に感服していた。

 

「ふぅむ…データを見るに機体性能は百錬と百里を更に洗練した感じだな。パッと見武装もクセがねぇし、取り回しもラクそうだ。少し前に見せてもらった『獅電』といい、相変わらず良い仕事だな」

 

ジャスレイは満足したように労いの言葉をかける。

 

「ええ。更に脚部のデータをご覧いただければお分かりになっていただけますが、ここを変形して更に機動戦を仕掛けることも出来るようになっております」

 

ニコニコと自慢の我が子を紹介するようにそう言う技術者。

嬉しそうな彼の様子に、ジャスレイも釣られて若干破顔する。

 

「そりゃあいいな。名瀬んとこのラフタあたりが好きそうだ」

 

実際、素人にはじゃじゃ馬の高機動機、百里を自在に乗り慣らす彼女なら諸手を挙げて喜びそうな情報だ。

 

「そうですねぇ。それでは生産の暁にはタービンズに先行して一機は回しましょうか」

 

ジャスレイの言わんとしたことを察したのか、そんなことを言う。

とは言え、これもただの身内贔屓ではなく、あくまでタービンズの実績を判断してのことだが。

なお話では、まず先行試作で三機〜五機が予定されているそうだ。

 

「おう。そうしてくれると助かるぜ」

「そして…こちらはごく一部の機体に限っての試作構想なんですが…」

「うん?」

 

ジャスレイは促されるまま、画面を次の資料へと移行。

極秘、と勿体ぶるように挟まれた赤いページを更にフリックすると……

 

「おぉ…ついに実用段階になったのか?」

 

そこには『γナノラミネートブレード(トビグチ)』の文字が。

 

「ええ、とは言っても…以前ジャスレイさんに解析を頼まれて作った武装の更に廉価版ではありますが…」

 

男は「申し訳ない」と言わんばかりに肩をすくめるが、ジャスレイはそれを責めるどころか

 

「いや、この性能なら充分すぎるさ」

 

と素直に称賛する。

 

「とは言えここに実物がない以上、まだまだ机上の空論ですが…」

「なぁに、構想があるだけでもすげぇってなモンさ」

 

何せ元々はガンダムフレームに採用されていたロストテクノロジー。

それを現代の技術で実用可能なところまで漕ぎ着けただけでもここの部署の優秀さはわかろうというもの。

 

「いやぁ〜、幸い鉄華団の所有する現物のガンダムフレームを整備班と調べることができましたので」

 

言って思い出したのか、彼は年甲斐もなく目を輝かせている。

 

「なるほどなぁ…」

 

ジャスレイはそんな彼の様子を見てウンウンと頷く。

用途や目的は違えど、やはりガンダムフレームは失われた技術の宝庫。

技術者として参考になる点は多々あるのだろう。

 

「ま、オレはそっちの話は素人だから悪りぃが丸投げさせてもらうさ」

「ハハ、ご期待に応えられるよう努力致します」

 

堅苦しい発言にジャスレイは苦笑する。

 

「別にそうまで畏まらなくってもよ…ただな。思うんだよ。こんだけの機体ならよ…」

「なら…なんですか?」

 

技術者は、ふと問いを投げかける。

するとジャスレイは資料の表示されるタブレットを見てポツリとこぼす。

 

「いや、阿頼耶識頼りじゃあなくてもこんだけの性能の機体が出来上がったんならよ…わざわざ若ぇ連中が無茶ァしなくっても良いってこったろ?それが嬉しくってなぁ…」

 

その彼の言う若い連中を想像し、そして思い至った技術者は

 

「……そうですねぇ」

 

と、しみじみ言ったのだった。

 

□□□□□□□□

 

ふぃ〜、テスト実験も見終わったし、用事も済んだ部外者は端っこで様子見でもさせてもらおうかなぁ。

にしても…スゴい機体見ちゃったなぁ〜。

ちょいちょい資金援助してた甲斐はあったかも。

とは言え、操縦してみた感じとかは流石にパイロットとしてはズブの素人のオレには正直よく分からないわけで。

その辺詳しく聞くためにも……。

 

「せっかくだしよ、このまま仕事終わりに呑みにでも行くか?」

「えっ?わ、私などが、いいんですか?」

 

あれ?なんかまずった?

とりあえずフォローしとかないと…。

 

「別に構いやしねぇよ。むしろ色々と教えてほしいことばかりでなぁ…」

 

流石に職場で仕事の話するよりは、酒の席に誘った方が色々と言いたいこと忌憚なく言えると思ったんだけどなぁ…。

それに、このテの話はやっぱり盛り上がるしなぁ〜!!

いやまぁ、オレは知識だとか操縦の方はからっきしダメなんだけどさぁ〜…。

でもこう言う専門家の話って聞くだけでも結構面白いモンだし…やっぱ迷惑だったかなぁ〜。

あんまり気を遣わせすぎるのも問題だし、どうしたもんかと悩んでいると…。

 

「オヤジィ!!客が来てますが…」

「うん?客?」

 

誰だろ。今日は特に来客の予定は…。

 

「あら?随分と楽しそうにしてるじゃない?」

 

ってこの声は…。

声のした方へ視線を動かすとそこには…。

 

「…ナナオか?」

 

え、なんでナナオちゃんがここにいんの?

 




Z系の可変機って、なんかロマンを感じる…。

メッサーラとかアッシマーとか…。

まぁどっちもガンプラ持ってないんですがね( ;∀;)

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