どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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オジキの過去。

そのひとつです。


第71話

マクギリスがジャスレイを知るきっかけは、彼がまだ幼少の頃のこと。

正確には、テイワズが名を挙げる少し前くらいか。

当時、圏外圏でも特に影響力を持つ一大勢力が若かりしジャスレイ率いる新進気鋭の組織『JPTトラスト』に敗北を喫した。

これを重く見た上層部は慌てふためいていた。

それと言うのも、その一大勢力と言うのが当時ギャラルホルンの圏外圏に於ける秘密裏の取引相手だったのだ。

しかしそれが倒された以上、ギャラルホルンの不祥事が表沙汰になるかもしれない。

それを恐れてか、ギャラルホルンのセブンスターズを牛耳る老人達はジャスレイに(サー)の位を与えてなんとか懐柔出来ないかと躍起になっていた。

ギャラルホルンとしては、格別の引き立てをするとことと引き換えに、後ろ暗い取引を黙ってもらう事と、それによってジャスレイに好印象を与え、あわよくば抱き込もうと言う算段もあった。

 

しかし、当のジャスレイは突如としてやって来た使者に対し不機嫌な様子。

訝る使者を前に、装甲艦『サカマタ』の甲板で戦闘員に守られるように囲まれながら言う。

 

「おう。そんなら年寄り連中が土下座しろや」

 

強気な姿勢を見せるジャスレイに、流石にトサカに来たのか、傲慢だの、王にでもなったつもりかだのと抗議の嵐が年寄り連中の使い達から飛び交う。が

 

「いつ、誰が、オレに対してそれをしろっつったよ」

 

その言葉に、ギャラルホルン側は困惑しきりな様子。

 

「オレが言ってんのはなぁ…テメェらの勝手な都合で振り回されて、テメェらがぶくぶく太ってた時に痩せて、弱って、無念の内に死んでいった子どもらの墓前に、詫び入れろってんだよ」

 

静かな物言い…しかし、そこには沸々と煮えたぎるような怒りが含まれていた。

 

確かにギャラルホルンは、交渉相手の勢力による搾取に見て見ぬ振りをしていた。

当時は特に無力な子どもへの扱いは今よりもっと酷かったらしい。

ヒューマンデブリとして売り買いされたり、夜の店で働かされるのは勿論、口に出すのも憚られるようなことの数々まで平然とされていたのだ。

ギャラルホルンは、それを知った上で何もしなかった。

有力者の多くが保身に走ったためだ。

 

「あの連中は最後の最後まで詫びなかった。だから連中の非道に知らぬふりを決め込んでたテメェらが代わりに詫びろ。話をすんなら…それからだろうがよ。違うか!?」

 

ギロリ…と数十の眼に睨まれた使者達は生きた心地がしなかっただろう。

 

結果、その交渉は決裂。

ただ、ギャラルホルンとしても結局は圏外圏の物資や独自の技術やらといった収入源を断たれる訳にもいかず、それから数年の後、結果としてだが『JPTトラスト』の手引きの元、テイワズと極秘裏に手を結ぶに至った。

武力行使や、マスコミによる印象操作をするには、圏外圏に住まう虐げられた人々にとって、彼はあまりにも英雄的でありすぎたのだ。

無論これは、表立って話される内容では無い。

当時、ファリド家の跡取り候補として育成されつつ、養父イズナリオの夜の相手までさせられていたが、ある時から、はたと後者が途絶えた期間があった。

気になり様子を見に行く。

いつものように、他の養子候補からの嫌がらせもあったが、それらが気にならないくらいには、その理由に興味があった。

 

「マフィア風情が…」

 

自室でそう毒づきつつも、弱った様子のイズナリオにマクギリスは疑問に思い、こっそりと泥のように眠る彼の手元の端末を覗き見た。

 

それが、当時の使者からの圏外圏での出来事の報告、もっと言えばその会見の録画であった。

そして、それに目を通した時に、ふとマクギリスの頭に疑問が湧いた。

 

「アグニカ・カイエルと、どちらがすごいのだろうか?」

 

それは、子どもならば誰でも抱くだろう純粋な疑問であり、彼がのちにジャスレイ派と呼ばれる一派とコンタクトを取るに、十分な理由だった。




次回、ジャスおじ視点に戻る予定です。

話の進みが遅くて申し訳ないです。
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