どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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出来ました。


第73話

今日は『JPTトラスト』に向けて『タントテンポ』からの荷物が届く日だ。

頭目がテッドからリアリナに代わって初の仕事という事で、気合いも入っているのだろう。

そのためか、護送パイロットはジャスレイの見知った顔だった。

 

「あっ、オジサ〜〜ン!!ひっさしぶりだねぇ〜♪」

 

ドックの無重力を利用して笑顔で突っ込んでくるユハナをジャスレイはひょいと躱して声をかける。

 

「おうユハナ、お前さんが今回の荷物の護送についたのか」

「むぅ〜…オジサン、相変わらずいけずぅ〜…」

 

壁までたどり着いたユハナはぷくぅ〜と頬を膨らませて恨めしげにそう言うが、何かを思い出したのか「まぁいいや」とパッと表情を明るくする。

 

「ねぇねぇそう言えばオジサン。アタシね〜…」

「ユハナ!!一人で行くなとあれほど…」

 

そう言うなり、彼女の兄、サンポが現れる。

するとユハナはげぇ〜…と言う顔をして

 

「げ、サンポ…ごめ〜ん」

「まったくお前ってヤツは…すみませんジャスレイさん」

 

以前の時のようにペコリと頭を下げるサンポ。

 

「いや、かまいやしねぇよ。しっかしなんでお前さんらほどのパイロットが荷物の護送なんぞについてんだ?」

 

確かに荷物の護送は重要な仕事ではあるが、雇い主の護衛を務めるくらい腕利きの兄妹がやるほどかというとそうでも無いだろう。

それこそ、ある程度以上に信頼できて腕の立つパイロットなら極論誰でもいい。

そして、タントテンポならばその辺の人材も確保は出来ているだろう。

 

「お嬢の命令でねぇ〜。最近はここらも物騒らしいし」

「まずオレらを派遣して危険のほどを確認しつつ、今後の判断材料にしようってことらしいです」

 

ユハナは相変わらずへらへらしているが、サンポは真剣な目をしている。

 

「『夜明け』の連中か…」

 

ジャスレイはそれを聞いて頭を抱える仕草を見せる。

 

「はい。どうにも最近は特に動きが活発化しているらしく…」

「そそ。ジャンマルコから直々にお願いされたんだよ〜?スゴいでしょ〜」

「おう、そりゃあスゴいな。長旅だったろ?部屋も部下に用意してもらってあるから、そこで疲れを癒してくれ。それと、機体はそのままドックに入れとけ。テイワズ(ウチ)の整備班は優秀だからな」

「えぇ〜…アタシはオジサンの家に泊まりたいなぁ〜?」

「オレの?やめとけやめとけ、散らかりっぱなしでとてもじゃあねぇが、他人様に見せられるような状態じゃあねぇからな」

 

それを聞くなり、ユハナはニンマリとイタズラっぽく笑う。

 

「じゃあ、しょうがないからアタシが掃除したげる〜♪」

「ユハナ…」

 

サンポはその言葉に悩ましげに頭を抱える。

 

「そしてあわよくば既成事実を…ぐふふ…」

「オイ、本音漏れてんぞ」

 

目をギラギラさせながらそんなことを言うユハナ。それを見て再び頭を下げるサンポ。

 

「すみませんジャスレイさん…」

「いや、強かな女は嫌いじゃあねぇよ?少なくとも、分かりやすく下心隠してすり寄って来るような連中よりは遥かに印象はいいさ」

 

そう、フォローするように言うジャスレイに、サンポは何やらホッとした様子だ。

 

「それじゃあ、オジサン。ドックにアタシの機体入れてくるね〜♪」

 

当のユハナも好感触と捉えたのか、ご機嫌で自身の機体の方へと戻っていく。

 

「…それじゃあ、オレも失礼します」

「おう。積荷の確認はお前さんらがひと段落ついてからでかまわねぇよ」

「いえ、そこまで気を回していただくわけには…」

「いいんだよ。良い仕事するにゃあ、疲れた状態じゃあキツイだろ?」

「ありがとうございます…」

 

サンポは控えめにそう言って再び頭を下げると、彼もまた自身の機体の方へと向かって行った。

 

□□□□□□□□

 

さてと、荷物の確認の前にちょいとばかし休憩でも…ってうん?あそこでチョイチョイと手招きしてるのは…。

 

「オジサンオジサン」

「うん?ユハナか。どうした?」

「ふふ〜ん…まぁ着いて来ればわかるよ〜♪」

 

そう言うユハナちゃん。

こっちは、ドックの方か?

 

「オヤジ、オレらもついてったほうが…」

「いや、あの娘っ子はふざけてるようで頭はいい。少なくともここで問題を起こしてどうなるかわからねぇほど馬鹿じゃあねぇさ」

 

実際、人目も多いし怪しいことをすれば真っ先に疑われる立場なのは百も承知だろうし…。

何よりあの子、お兄ちゃん子っぽいから、サンポくんの不利になるようなことはしないだろうし。

なんとか部下に納得してもらい、ユハナちゃんの後を追ってみる。

行き先は思った通り整備ドックだ。

そして、そこでオレが見たものは…。

 

「おぉ…コイツは…」

「どうどう?スゴいでしょ〜?」

 

黒いガンダムフレームかぁ…。

整備班が目を輝かせながら仕事してるし、見間違いじゃあ無さそうだ。

とは言え、アニメじゃあ見たことが無い機体だなぁ…。

いやまぁ、アニメ一期だけで全部出し切ったとは思って無かったけどもさ。

 

「オメェが自慢したかったのって、もしかしてコイツのことか?」

「ふっふ〜ん。ガンダムウヴァル。ロザーリオのオッサンに譲ってもらったんだよ〜♪」

 

まぁ確かに、リアリナ嬢の許可も降りてるんだろうし、ガンダムフレームを任されるってことはそれだけパイロットとしての技量を買われてるって事だろうからスゴいことなんだが…。

それとどうでもいいけどロザーリオはオッサン呼びなのか。

 

「これでオジサンに相応しい女に一歩近づいたかな〜?」

 

えぇ〜?まだ諦めてなかったのこの子。

わざとらしくチラチラこっち見て来てるし…。

そして、その手に持った書類は…はいはい武装やら何やらの諸経費ね。

 

「別に乗ってる機体が何かでそいつがどんな奴かなんぞ判断はしねぇよ…心配はしてもな」

 

まぁ、量産機でも強い奴は強いし。

オレはたぶんガンダムフレームになんぞ乗ったらカモられる自信しかねぇし。

 

「え〜?オジサン心配してくれるんだ〜?」

「そりゃあそうだろ」

「即答なんだ〜」

 

なんでそこでニヤニヤを深めるんだ?

まぁ…ただでさえ、『夜明けの地平線団』みたいに、ある程度以上の勢力にとっちゃあガンダムフレームはその希少性と高性能ぶりから、商品としても戦力としても魅力的に映るもんで、だからこそ鹵獲されるリスクもある。

っていうか、連中はそれがメシの種みたいなとこあるし…。

ましてやパイロットがこんな若い子だもんなぁ…。

オジサン、心配になっても仕方ないと思うんだ。

 

「ま、ダイジョーブダイジョーブ。サンポもいるし」

 

ううん…こう言うところは子どもだなぁ〜…。

いやまぁ、腕利きではあるんだろうけどもさ…。

 

「それになんかあったらオジサンが助けてくれるもんね〜」

「できりゃあ、そうならねぇことを祈るよ」

 

ホント、フリーダムだなぁこの子。




ハクリ兄妹再登場回でした。

ウヴァルカッコいいんだこれが。
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