どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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日間一位になってました。

見た時えっ?てなりました。

読んでくださるみなさんありがとうございます。


第9話

「お待ちしておりました。ジャスレイさん」

「おう。また世話んなるぜ」

今日はジャスレイが乗る船の定期点検の日である。

ドックに付けて乗組員を降ろし、後はテイワズ腕利きの整備スタッフに任せる。

この船はこれまで幾多の修羅場をくぐり抜けて来た影響で、所々傷や補修跡が目立つ。

「しっかし、我が船ながらよく持ってるもんだよなぁ」

ジャスレイはそう言いつつ、船の傷痕に触れる。

この船が数々のナワバリ争いや各種イザコザで生き延びて来たのは、ひとえに歴戦の部下たちの操縦技能に加え、ジャスレイ自身の命懸けの指揮も合わさり、追い込まれた時に異様に執念深く粘り強さを見せると言うのが大きく、して来た無茶も一度や二度では足りないほどだ。

それはある種、味方にも敵にも恵まれていたというのもあるだろうが。

「ところどころガタが来てるようなら乗り換えも検討しねぇとだなぁ…」

ジャスレイは点検を任せているスタッフから受け取ったおおまかな資料に目を通しながらそんなことを考える。

「で、でもオヤジ…この船にゃオレたちの思い出が…」

部下の一人が名残惜しそうにそう言う。

「馬鹿野郎。それでオメェらに危険が迫ってみろ。泣くぞオレは」

「オヤジぃぃぃ!!」

「あーあーもう。だからってオメェらが泣くほどのことかねぇ」

言いながら、ジャスレイが何かいい船は無いかと裏市場を覗いてみると何と鹵獲されたギャラルホルンのハーフビーク級戦艦が売りに出されていると言う。

これはギャラルホルン宇宙艦隊の主力艦もつとめる船で、堅牢さが知られており、滅多に出回るものでは無い。幸い状態も悪くは無さそうだ。

もちろんそのまま使おうものならばギャラルホルン連中に睨まれることは必然。

故に幾らかの改造案も添付されていた。

「ふむ。前装甲を堅固にする突撃仕様に全体的な装甲を増設した防御仕様。モビルスーツを搭載するためのペイロードの増設…」

「へぇー、結構充実してるんすねぇ」

「ま、流石に全部乗せみたくやり過ぎたら却って機能性に支障が出そうではあるがねぇ」

「難しいっすねぇ…」

「まぁすぐに買い換えるわけじゃあねぇしな。何なら名前も含めてオメェらも考えてくれや。オメェらが乗る船でもあるんだからよ」

「はい!!任して下さいよオヤジ!!」

その返事を聞いたジャスレイは、後を任せて次の仕事に赴いたのだった。

 

□□□□□□□□

 

点検を頼んでから数日が経った頃のこと。

オレは本格的に船の買い替えを考えていた。

まぁ、船自体も旧式になりつつあったしちょうどいい機会だし。

既にオレやクルーの主な私物や武器弾薬といった荷物はいつでも降ろせるようにはなっている。

後は改造案をどうするかだなぁ。

そんなことを思っていたら部屋の扉がノックされた。

「オウ、入んな」

オレが入室を促すと、数名の部下が入って来る。

何でも新しい船に関して一つ案があるというので、それを今日聞くことになっていたのだ。

「オヤジ!!こんな名前はどうすかね?」

部屋に入って来た数人の部下の内、一人が代表としてこちらに紙を渡して来る。

「どら、見せてみろ」

まぁ、確かに乗り換えるにしても、船の名前も決めかねてたし、丁度いいやーなんて思ったのが運の尽きだったよね。

ピラッとめくると、そこには…。

『黄金のジャスレイ号』

ご丁寧にイメージ図まで添付されとる!!

……………金ピカやん!!

うわぁ〜ゴージャス〜って無いわ…これだけは無いわ。

これはアレかね?ツッコミ待ちってやつなのかねコレは?

チラリと子分たちの顔を見る。

相変わらず晴れやかな表情だ。

しかし、心なしかみんな目もとが腫れぼったいような…。

「どうですかね?オヤジ?」

「オレたち、オヤジのために足りねぇ頭でカッコイイ名前を寝ずに考えたんです」

「まぁ、オヤジのセンスにゃあ及ばねぇとは思うが…できれば…」

「塗装は任してください!!」

うん…。

忠誠が重いんだけど!!

これあれじゃん!!断ったら完全に悪者になるやつじゃん!!

いやまぁ、テイワズ所属の時点であながち間違いでも無いけどもさぁ…。

でもコレは…。

この名前とか色が載るんだろ?色んな資料に…。

たっぷり十分は悩んだか。

オレは不安そうな部下たちに結論を告げる。

「い、イカすじゃねぇか!!」

「オヤジぃぃぃぃ!!」

あ〜もう。また泣く〜〜。

「良かったなぁ。頑張った甲斐があったなぁ!!」

イメージ図とにらめっこするオレの後ろでお祭り騒ぎを始める子分たち。

うん……。まぁいいけど。

「ただ、徹夜はやめな。オメェらの気持ちは嬉しいが、それで仕事中に怪我でもされちゃあオレが悲しむ」

埋め合わせって大変なんだぞ〜。さすがに分かれ〜。

「スンマセンオヤジぃぃぃぃ!!」

いやまぁ、そんな素直に謝られちゃあこれ以上追求も出来んて…。

オレのためって気持ちは素直に嬉しいしさぁ…。

だからオレは間違ってない…と思いたいなぁ〜〜……。

なお、その後船のことを報告した際、案の定と言うべきかオヤジに爆笑されたのは言うまでも無い。




これからもマイペースにやっていきたいです。

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