どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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ネ○フリでおすすめに出て来たぼっちざろっくにどハマり中…。

ちなみに虹夏推しです(聞かれてない)。


第91話

『夜明けの地平線団』その母艦に、ロイターは部下達と共に集まって、情報説明を受けていた。

 

「報告!!『JPTトラスト』本社に多数の艦隊が集合!!その数…三十隻を越えて、なお増えているとのこと!!」

「なんだって!?」

「クソっ…こっちはゴルドンの野郎からの資金援助が手切りにされたばっかだってぇのに…」

 

その報告に、艦内をざわめきが支配する。が……

 

「…静かにしろ」

 

一言で、その場の喧騒がピタリ…とやんだ。

 

「何のために、あんないけすかねぇ古狸と組んだと思ってる?遅かれ早かれ旨みが無くなりゃあ手切れされることなんぞ、元より百も承知よ。それに…準備は充分に整ったんだ。今更めそめそしてんじゃあねぇや」

 

どうせ金だけの関係なら、遠からず手切れになるのは見えきっている。

それならば初めからある程度は割り切って、騒ぎを鎮圧しようとこちらに向かってくるだろうギャラルホルンの初動を遅らせるための鼻薬になってくれさえすればそれでいい。

 

どの道、この規模の動きならばテイワズにもギャラルホルンにも気づかれてしまうのは必然なのだ。

ある程度割り切るのはむしろ当然だ。

 

周囲を見回し、部下達が落ち着きを取り戻したのを確認すると、ロイターは、ふぅ…とひと息つく。

 

「だが…流石はジャスレイ、その危機察知の嗅覚は依然健在か…それでこそだ…」

 

ロイターはグッ…と拳を握り、嬉しそうに笑みをこぼす。

 

「そうさ。虎であるオメェにゃあ安穏なんぞ必要ねェのさ…」

 

瞼をギュッと閉じ、かつての出来事を思い起こす。

 

…………………

 

それは、どこにでもある貧民街にある孤児院。

そこで一人の男と、少年が話をしていた。

 

「おれ、しょーらいはジャスのお手伝いする!!」

 

若き日のジャスレイにそう言うのは孤児の少年。

学業で優秀な成績をおさめ、既に圏外圏でも有名な企業の幹部社員の養子入りも決まっている。

 

「……………」

 

ジャスレイは無言で近づくと、少年の頬をぎゅむっとつねる。

 

「ひてててて…あにふんだよじゃす〜!!」

 

その子どもは突然のことに訳がわからず、ジタバタしながら疑問を投げかける。

 

「つねられて痛てェか?訳がわからなくて怖ェか?…だがなぁ、それがヤクザモンの日常ってヤツだ。もっと痛えし、もっと怖え思いだってする時もあらぁ」

「でも!!それでもおれは、ジャスの…」

 

そこまで言ったところでジャスレイは少年の頬から手をパッと話す。

 

「でももだってもありゃあしねぇさ。オレのとこに限らず、ヤクザモンってのはカタギでやってけねぇって連中の最後の砦なんだよ。わざわざテメェの選択肢狭めてどうするバカ」

 

愛情ゆえか、いつになく厳しい言葉をかけるジャスレイ。

少年も、子どもながらにそのことを分かっているからか、拳を握りしめこそすれ、それをジャスレイに向けることはしない。

 

「おれはただ…ジャスの役に、たちたくって…」

 

少年は俯き、地面を見つめる。

 

「ふぅ…」

 

ジャスレイは呆れたように、しかし優しく諭すように、できる限り噛み砕いて説明する。

 

「いいか?こっち側はな…生半可な憧れやら一時的な反骨心で足ィ踏み入れて良い世界じゃあねぇんだよ。スネに傷負うってのはなぁ…一生そこで生きてく覚悟があるからこそできることだ。悪りぃこた言わねえ…オメェはカタギで生きな」

 

「な」と今度は帽子を脱ぎ、しゃがんで視線を合わせ、いつもの笑顔で優しくポンポンと少年の頭を撫でる。

 

「それになぁ…仮にオメェがオレの弟なり部下になるんなら、今の話し方もできなくなっちまう。周りに示しがつかねぇからな。まぁ…今はよく考えな。なんかあれば、相談くれぇにゃあ乗ってやれるからよ」

 

ジャスレイは立ち上がりざま、少年にホレ、と一枚の紙を手渡すと帽子を被り直し、少年に背を向ける。

 

少年が手渡された紙に目を落とすと、それはジャスレイ自身の名刺だった。

 

ふざけんなよ…。

 

オレも連れて行けよ…。

オレが憧れたのはカタギじゃあねぇんだ。

道があるだと?ふざけんなよ…。

 

オレは…他でもねぇお前に!!憧れたんだよ!!

でなきゃあ、全部…全部全部クソ同然だ!!

なんのために勉強を頑張ったと思ってんだ?

誰のために努力をして来たと思ってんだ?

 

見ろよ…お前が向いてないって言った仕事で、オレは大組織のトップに立ったんだ…。

認めろよ…あの時、オレを連れて行くべきだったって…。

こっちを見ろよ…オレを認めろよ…!!

 

『買収屋』だなんて…みっともねぇ名で呼ばれるアンタを、オレは見たかぁねぇんだ…。

 

だから…圏外圏を再び混沌に落とすことに決めた…そうすりゃあきっと…。

 

思い出してくれんだろう?

 

…………………

 

「それで、どうするんで?」

 

部下の問いに、目を開けたロイターは答える。

 

「いいか。今回は鹵獲しようなんぞ考えんな。最初っから本気で潰す気で行く」

「では…()()も?」

「ああ…出し惜しみは無しだ。ハナっから全力で叩くぞ」

 

その目に、野心の火を灯して。




本編は本編でも、夜明けサイドでした…。

次回、ジャスおじサイド…の、はず…。
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