どの道○される男   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができましたです〜。


第93話

「よろしいのですか?せっかくのガンダムフレームをこのような場で…」

 

ギャラルホルン、ファリド隊の旗艦にある司令室の扉の前でシミュレーターによる訓練に向かうシクラーゼを見送り、なかなか動こうとしないマクギリスに、彼の腹心…石動・カミーチェが声をかける。

 

「石動、優れたモビルスーツには優れたパイロットが乗ってこそ価値があるというものだろう?仮に彼がガンダムフレームに乗っていたからと言って、それを理由に糾弾するなど、如何なラスタル・エリオンとてしないし、出来ないさ。アレは元よりセブンスターズのどの家のものでもないのだから」

 

石動はその言葉に目を細める。

 

「で…あれば、やはりバエルを?」

「私はね、石動…正直言ってどちらでもいいと思っているのさ。あくまで傍観者でいるのも、或いは己が手で改革を成すのも」

 

マクギリスは見送った時のまま、扉の外を見て黄昏れるようにそう言う。

 

「失敗した時のことは仰らないのですか?」

 

意地の悪い質問だが、しかし石動は聞かずにはいられない。

この上官はそういった言葉をこそ常に望んでいるからだ。

 

「なに…いつの世も革命には成功か死しかない。かつての歴史を紐解けば、そんなことは分かりきっているだろうさ。そして、革命を成した英雄こそ罰せられるべき次の悪となり得ることもな」

 

狡兎死して走狗煮らる。

偉大なるアグニカ・カイエルの子孫やそれを自称する家が現存しないのは、つまるところそういうことだろう。

 

「だからこそ、ガエリオ殿は巻き込めない…と?」

 

その言葉にマクギリスは昔馴染みの顔を浮かべ、困ったように笑む。

 

「或いは、身勝手で恥知らずなことだが…そうなった時には心のどこかで彼に止めてほしいのかもしれんね。私は」

 

アグニカ・カイエルへの憧れは青年となった今もなお色濃く、心に焼き付いている。

或いは、辛く苦しかった幼少の頃の記憶を、鮮烈な英雄譚で塗り替えたかっただけなのかもしれない。

 

なまじマクギリス自身がパイロットとしても優秀だからこそ、シクラーゼに共感する所もあったのかもと、思うところもある。

 

迷いは未だ晴れず、しかし、少し立ち止まることの大切さもまた知った。

 

「ジャスレイ殿なら何と答えるのかな?」

 

ラスタル・エリオンの走狗となるわけでは無いが、しかし、ある程度の結果も出さなければならないのは事実。

 

あの時ラスタルを呼び止めない選択もあったが、そうすると却って不信感を与えてしまいかねず、そうなればそれこそ蛇の如く執拗にこちらの隠したい証拠を探し出し、突きつけてくるだろう。

それこそ証拠をでっち上げ、捏造してでも。

 

ならば、あちらに自分は子どものようなところのある人間と思わせ、表向き従順なフリをしていれば少なくとも当面の間は問題は無い。

どのように動こうとも、多少怪しまれはするだろうが…それも貴族故の後ろ暗さ故のことと、余程のことがなければ深く追求される事もないだろう。

 

ラスタル・エリオンは政戦両略に長けた傑物だ。

調べれば調べるほどそれは分かる。

今後も騙すにせよ、或いはおだてて後ろ盾にするにせよ生半可では駄目だ。

 

少なくともこの場で実力を示さねばそれこそずっと使い捨てで終わる。

 

「ご報告です!!」

 

その言葉と同時に若い兵士がやって来る。

服装を見るに、所属はアリアンロッドだろう。

 

「うん、頼む」

「ハッ!!エリオン公はじめ、アリアンロッド艦隊は未だ準備に時間がかかるため、貴官らに先行していただきたいとのこと!!」

 

教科書に載せていいだろう綺麗な敬礼をして、そう告げる伝令兵。

通信で直接いって来るのでは無く、わざわざ人を遣わしたということは本当に準備で手一杯なのか、それとも……。

 

「なるほど…」

 

マクギリスは顎に手を当て数秒思考し、再び兵士に視線を向ける。

 

「了解した。任せて欲しいとエリオン公に伝えてくれるか」

「ハッ!!失礼致します!!」

 

伝令兵はお手本のような敬礼をして、そのままデッキを後にする。

 

「…さて、この一戦で時代は変わるのか、或いは…」

 

小さくそう呟くマクギリスの口角は少し上がっており……。

 

「皆、聞こえていたな!!出航の準備を整えろ!!」

 

デッキの部下達に指示を出す様は良くか悪くか、とてもセブンスターズらしい在り様であった。

 

 

少々時はズレて、木星圏某所…。

 

圏外圏の宇宙の闇の中で、ユーゴー数機とここいらではなかなか見ない珍しい機体が隊列を組んで飛んでいる。

彼らは昨今圏外圏を賑やかす『夜明けの地平線団』所属の部隊だ。

 

「しっかし、まさか本当に火星くんだりにこんないいモンが眠ってるたぁなぁ…あのタヌキ親父め、一体どこまで調べてあんだ?」

「まぁいいだろ?こうしてオレらのトコに来てくれたんだ。大事にしようぜぇ?」

 

ユーゴーでない機体のパイロットは上機嫌な様子で鼻歌まじりに操縦桿をコンコンと軽く叩く。

 

「それに阿頼耶識ナシでもこの性能…頼もしいを通り越して恐ろしいまであるな」

「ま、どの道正攻法じゃあ勝てねぇんだ。禁じられた兵器でも悪魔の力でも何でも借りますかね」

「おーおー、コエーコエー。せいぜい無駄撃ちすんじゃあねぇぞ?」

「わぁってらぁ〜、わざわざこの弾作んのと、それを悟らせねぇためにあっちへこっちへ忙しかったんだからよ…」

 

隊員隊はおどけた様子でそんな冗談を言い合う。

 

「っと…目標発見」

 

彼らが無駄口を叩いている間に、モビルスーツの特注レーダーに反応が複数。

 

「いたいたぁ…巡回船とその護衛艦、かなりの数集まってたってぇのは本当らしいなぁ」

 

モビルスーツの小回りと、そしてある兵装の射程ゆえに、部隊は艦船のレーダー外で一度動きを止める。

 

「よぉ〜し…連中の下に回れ、気取られんなよぉ…」

「はいはい…わぁってますよぉ〜っと…」

 

隊長と思しき男の指揮のもと、モビルスーツの大きく円を描く様にして艦隊の下へと入り込む。

 

そして、隊長パイロットは自分たちの親玉に連絡を入れる。

 

「よぉ〜サンドバルのおやっさん。所定の位置についたぜぇ?」

 

「おう。それじゃあ指示通りにな」

 

「くくく…圏外圏の最大勢力の、それも主力格にケンカ売るって、燃えるなぁ〜」

 

「厄祭戦の伝説…とくと見せてもらおうか」

 

そして、その日放たれた槍は、圏外圏での最大規模の戦闘が開始される狼煙となったのだった。




齟齬があったら申し訳ない…。
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