ちょっと短めですが、名瀬ニキサイドのお話です。
歳星にある『JPTトラスト』本社ビル内にて、ジャスレイの弟分である名瀬・タービンが和室の中を不安げにウロウロとしている。
「ちょっと名瀬〜?落ち着き無さすぎじゃない?」
「仕方がないよ。ジャスレイさんの力になりたくて来たのに、留守番を言い渡されたんじゃあね…」
そんな話をするのは、名瀬の妻のひとりであるラフタ・フランクランドと、そんな彼女をたしなめる同じく妻のアジー・グルミンだ。
「ったく…いくら心配だからって…いい加減シャキッとしないかい!!」
やがて、名瀬は痺れを切らしたアミダにバシィン!!と背中を叩かれる。
「お、おぉう!!す…すまねぇなぁ三人とも…」
いつに無く気弱というか、ヘンに緊張している名瀬に、アミダは呆れたように言う。
「ったく…兄貴との約束、忘れたのかい?」
「ああ…もちろん覚えてるさ…」
アレは、ジャスレイが出陣する少し前のこと…。
◇
「兄貴ィィ!!」
「名瀬」
船に乗ろうとするジャスレイを呼び止めた名瀬に、ジャスレイは優しく応じる。
「兄貴…」
「言いてぇこたぁなんと無くわかるが…」
「なら兄貴!!オレらも…」
連れて行ってくれ、と繋がるだろう言葉を、ジャスレイは手で遮る。
「馬鹿野郎。こいつはオレが….オレ達が売られたケンカだ。なら、オメェは最低限仕事をこなしてくれりゃあそれでいい」
たとえ、お義理の参加だとしてもタービンズのネームバリューは大きい。
それだけでも面目を保つには十分だと、言外にジャスレイは言っていた。
そしてそれは、決して名瀬達のことを軽んじたからで無いことも分かっていた。
「それに…どの道、オレかオメェのどっちかは歳星に残ってなくっちゃあならねぇ…だろ?」
不吉な言葉を紡ぐジャスレイに、思わず名瀬の顔色は曇る。
「そんな暗れぇ顔すんな。別にあんちくしょう相手に死んでやるつもりもねぇし、何よりゴルドンの野郎が何にもしてこねぇのが不気味でなぁ…オレが留守の間になんかねぇとも限らねぇ…分かるか?これはオメェだからこそ任せられる仕事だ」
そう言うと、ジャスレイは名瀬の肩に手を置き、穏やかに微笑む。
「オレの留守は任せたぜ?可愛い弟よ」
◇
「一応、マルコのオジキにも話を通してもらえてるからな。何か変化がありゃあすぐにでも分かるさ」
とは言え…今回の件にきな臭さを覚えているのは名瀬とて同じだ。
警備は十全。準備も万全に万全を期した。
しかしそれでも予測できない事態というのはやって来る。
「ご…ご報告!!所属不明の多数の小型船が、例の宙域に近づいていると…」
そしてその予感は…皮肉にも、的中してしまうこととなった。
次で百話…全然話が進まなくて申し訳ない…。