聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition 作:水晶◆
少し短いです。
グラード財団が設立した私立流星学園中等部に通う活発な少女――翔子。
ある日、中庭で友人と昼食を取っていた彼女は、周りの生徒たちが次々と眠りに落ちる異常事態に遭遇する。
周囲に漂う甘い香気を感じ取り、警戒する翔子を「闇のエデンへ共に行きましょう」と言って謎の女性が襲い掛かった。
危機に瀕した翔子を救ったのは、五年ぶりに再会した姉――響子。
彼女は五年間の修行を終え、子馬座の聖衣を身に纏い、アテナ――城戸沙織に仕える聖闘少女となって日本に戻ってきたのだ。
沙織と、聖闘少女である美衣、そして姉響子から語られる女神と聖闘士、そして聖闘少女という存在。
現実を受け止めきれない翔子であったが、姉との再会の喜びと、城戸邸での語らいの時によって、その心は満たされていた。
しかし、そこに翔子を狙った謎の女性が再び現れ、翔子こそがこの時代の争いの神エリスの器である事を告げる。
翔子を守るべく戦う響子と美衣であったが、エリスの配下である邪精霊ドリアードの前に劣勢を強いられた。
そして、遂には翔子が捕らわれ、闇のエデンへと連れ去られそうになったその時、翔子を庇った響子がエリスの器として連れ去られてしまう。
残された子馬座の聖衣を前に、翔子は姉を救うために聖闘少女となることを決意し、沙織の要請を受けた白銀聖闘士孔雀座パーヴォのマユラに師事することとなった。
邪神復活を阻止するため、闇のエデンに囚われた姉響子を救うために、翔子は邪神エリスに戦いを挑む。
一方、聖域からも邪神復活の阻止のために動く者がいた。
黄金聖闘士蠍座スコーピオンのミロである。彼は、五年前に邪神エリス復活の兆しに立ち会い、それを阻止していたのだ。
エリスの依り代と呼ばれた幼い姉妹――響子と翔子に、「運命に立ち向かう覚悟があるならば強くなれ」と言い残し。
その前に、黄金聖闘士に並ぶ実力を持つと言われた白銀聖闘士オリオン座のリゲルが邪霊士となって立ち塞がる。
多くの者たちの思惑が交差する中、翔子とミロ、美衣とリゲルの目の間で遂にエリスは復活を果たし――
――そして、響子の犠牲によってエリスは消滅し、邪神の脅威は去ったのである。
それは、銀河戦争が始まる数日前の物語であった。
―――
―――――…
元はギャグ漫画として始まったのに、いつの間にやらちょこちょこと挟んでいたシリアス展開が人気となって、ついにはそっちがメインになってしまった作品の場合。
ギャグ時代からいた登場人物たちには過酷な試練が待ち受ける。
シリアスの波に乗れる人物はまだいい。しかし、あまりにもギャグ寄りだった人物は、その存在を徐々にフェードアウトされてしまうのだ。
そう――この、俺のように!
ってぐらい、しんどかった五老峰での戦いが終わり。
俺は今、銀の髪を金色に染め、慣れないサングラスで変装しながら、背中に他人様の聖衣箱を背負ってスイスのアルプス地方に居たりする。
大佐ではない、大尉だよ? そんな気持ち。
さて、目的地とされる場所までもう少しかと、俺は改めて周囲を見渡した。
森と湖に囲まれた空気の澄んだ綺麗な場所ですね。自然しかない山の中と言う。
荒んだ心が洗われるようだ。これまでの内心を知る者がいれば笑われるようだ。
これがネイチャーリラクゼーションか。背負わされた責任に、俺の心は全くもって休まらない。
そう、文字通り、この背に負わされた
水晶聖衣? 奴は死んだよ。
と言うのは冗談で。
アーレス(真)様との戦いの後、敵は聖域に在りと紫龍を日本へと送った俺は、本来の目的――コネ作りのために、改めて老師に面会を申し込んだ。
そこで、俺は夢という形で最悪の未来――来るべき戦いを前に、聖闘士同士の争いの果てに、聖域はその戦力の多くを失う事になる――を予見したと前置きして、これまでの経緯を伝えたわけだ。
聖域には能力の強弱やその精度は置いておくとしても、少なからず未来視の能力を持った者が存在する事もあって、この点はそれ程疑われる事はなかった。
この際に、予見したと語った話の中にあんな展開はなかった事もあって、当てにし過ぎるのもマズいと、老師からは他言は無用とされたのは俺的に丁度良い。
この後、仮に「どうして教えてくれなかったんだ!」イベントが発生しても、口止めされていたと言い訳出来るからな。
自己保身に抜かりはないぜ?
まあ、そうはならないように、どうにか上手く立ち回りたいと思ったからこそ、色々やりつつ老師の下へと向かったんだが……。
向かったんだが!
「水晶聖闘士よ、お主に託したい物があるのじゃ」
とか言われて、ひょっとして
いや、自分が身に纏うなんて一切考えていないからな。
見えたのさ、俺の目の前に輝かしい生存戦略の道が!
それこそ、海皇編での貴鬼のポジション!
窮地に追いやられた仲間の下へ、切り札を携えてさっそうと参上する俺!!
完璧だ。
これなら、俺は変な後ろめたさも感じることなく、変な恨みも買うことなく、やる事やっているという満足感も得られる!
そんな妄想を抱いてホイホイ着いて行った俺も悪かったが!
「あ奴の全力を受け止め、それを超えたのは儂ではなくお主よ。なればこそ、この聖衣をお主に預けたいのじゃ、この――」
悪かったんだが!!
「この――
いや、そ う は な ら ん や ろ!!
止めろよクソジジイ!
重過ぎるんだよ!!
誰か止めろよ! 誰も居ねえよ!? しまった、こんな事になるなら紫龍と一緒に日本に行けば良かった!!
第10話 どシリアスな後でもギャグパートが始まれば気持ちが切り替えられる生存戦略
はい。そんなこんなで、俺が今背負っているのは水晶聖衣ではなく、祭壇星座の聖衣箱なのであった。
Noと言えない悲しき日本人の性よ。
あの空気で断われるほど俺の心臓強くないから。
意外な事は、先生から拒絶の感覚を全く受けなかった事か。
中身熱血系としては、あの展開はむしろ望むところだったのかもしれん。
で、これまで頑張ってくれた水晶聖衣については「悪い事にはなりはせん」と言った老師の言葉を信じて預けてある。
多分、今頃はムウと連絡を取り合って、直しておいてくれていると思いたい。
とりあえず、このキリキリ痛む胃については後で薬でも買って飲むとして。
俺がここに居るのは役割分担によるものだ。
聖域関係は老師に任せ、俺は争いの神エリスについて対応する事にしたのだ。
老師から聞くところによると、実は銀河戦争が開催される少し前まで、聖域の一部ではエリス対策に動いていたらしい。
らしいというのも、聖域が本格的に対策に乗り出す前に、アテナと蠍座の黄金聖闘士ミロによってその脅威が払われたのだという。
元々、聖域とは距離を置いていた老師の下には解決した事案であるとして、その詳しい内容は伝えられなかったそうだ。
ミロが動いたのはともかく、銀河戦争前の城戸沙織にそんな力があったのか?
そもそもそんな時点からミロとアテナに接点があったのか? とか。色々と疑問が浮かんだのだが、それよりも俺の知らない脅威を放って置く方が怖い。
しかし、水晶聖闘士は聖域に反旗を示した裏切り者として既に各地に通達が回っているらしく、万が一にでもこれとエリス復活を紐付けられてしまうと面倒な事この上ない。
こうなると、祭壇星座の聖衣はある意味で渡りに船と言える。
実は、前教皇が亡くなっている今、祭壇星座の聖衣の持ち主がアーレス様と知る者は老師しかおらず、公的にはこの祭壇星座の聖衣は空位とされているのだ。
これがあれば、俺は老師から認められて聖衣を与えられた一白銀聖闘士として戦う事が出来る。
エリスの再度の復活を阻止するべく、聖域は老師にも協力要請を行い、そうして老師から送り込まれたのが俺――新たな祭壇星座の白銀聖闘士という訳だ。
エリス関係の詳しい知識がない俺では、聖域から与えられた指令書に従う事しか出来ないのがもどかしい。だが、当てもなく闇雲に動くよりはマシだろう。
しかし、まさか、裏切り者の聖闘士が異なる聖衣を身に纏い、自分の陣営側の人間として戦おうとするなど想像もつくまい。フフフッ。
緊急事態であると、教皇との顔合わせも後回しにされたのでさらにヨシ。これで、俺は俺の意思で教皇に出会える理由を手に入れた事になる。
あとは、少ない知人に出会ってもバレない様に、修行中の負傷だとでも言って仮面でもかぶれば問題なし。
風だ。
明らかに、風は今、俺に向かって吹いている!!
逆境の風がな!!
どうして、与えられた最初の任務地でこんなにヤバい気配を感じるのですか?
青空を急に雷雲が覆うなんておかし過ぎるでしょ!?
しかも、あの雷鳴鳴り響く場所には、確かグラード財団が設立した学園があったはず!
聖闘少女となるべく修練を積む少女たちの学び舎に、敵襲を知らせる警鐘が鳴り響く。
圧倒的な破壊の力を示してそこに現れたのは、黄金の輝きを纏った聖闘士――蟹座キャンサーのデスマスク。
正義を掲げる聖闘士であるはずの彼は、聖アカデミーの関係者全てを聖域への反逆者と見なし、一方的な攻撃を仕掛けてきた。
そこに、白銀の鎧に身を包んだ聖闘士が立ち塞がる。
次回、聖闘士星矢~
「その名はアーレス! 祭壇星座の白銀聖闘士」
ご期待ください。
to be continued……?
ちょっとしたアンケートです。デスマスクは…の続き。上から64、13、47
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マンモスあわれなヤツと言う、原作色強め
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冷酷、残忍な、セインティア色強め
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エピソードゼロな、ND色強め
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まさかの…