聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition   作:水晶◆

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ペガサスファンタジーからの例の音楽と田中さんのナレーション


第18話 原作知識が足を引っ張る

 デスマスクの積尸気冥界波によって、冥府の入口黄泉比良で目覚めた水晶聖闘士とエルダ。

 彼らは、そこで捕らわれていた聖アカデミーの少女たちの魂を解放する事に成功し、邪神エリスの配下である邪精霊のリーダー格アテを倒すのであった。

 

 日本では、教皇の命により銀河戦争の裏側に潜む何者かの陰謀を明らかにするためとして送り込まれた二人の白銀聖闘士ユアンとゲオルクが。

 そして、城戸沙織の捕縛の命を受けた聖闘少女カティアが、グラードコロッセオを襲撃したが、孔雀星座のマユラの力により沙織と翔子たちを取り逃がしてしまう。

 しかし、教皇からの別命を受けていた魚座の黄金聖闘士アフロディーテが沙織たちの前に現れ、翔子の抵抗も空しく、沙織は聖域へと連れ去られてしまった。

 

 突如として現れた巨大な二つの小宇宙のぶつかり合いに異変を感じ取った紫龍たちは、一方を紫龍と瞬が、もう一方を氷河が確認すべく二手に分かれて行動を開始する。

 コロッセオへと向かった紫龍と瞬は、そこでマユラと対峙するユアンたちの姿を見付けたが、聖闘士の掟を破った制裁としてユアンたちから攻撃を仕掛けられた。

 

 氷河は、星矢とミスティの戦いの小宇宙を感じた海岸に到着したが、そこに二人の姿は無かった。

 捜索を続ける氷河であったが、ミスティの小宇宙を追って来た白銀聖闘士バベルと遭遇し、青銅聖闘士への制裁のために複数名の白銀聖闘士が動いている事を知る。

 バベルを撃退した氷河はコロッセオへと向かうのであった。

 

 一方、彗星拳を受けて海底へと沈んだミスティを救った星矢は、彼の口から魔鈴がコロッセオに向かったとの情報を得る。

 急ぎ向かおうとする星矢であったが、そこに白銀聖闘士アステリオンとモーゼスが現れ行く手を塞がれてしまう。

 アステリオンの能力により魔鈴の裏切りを知られて焦る星矢であったが、ミスティの助力を得たことでモーゼスとの戦いに専念し、ミスティもまたアステリオンとの戦いに専念するのであった。

 

 

 

 

 

 さて。

 デスマスクの力であの辛気臭い黄泉比良坂から戻ってきたのは良いんだが……。

 

 若干、頭痛のする頭を振って後ろを見る。

 デスマスクと意識を取り戻したエルダが、何やら「聖闘士として――」や「苦渋の決断を――」とか、聖闘士の在り方だの何だのと語り合っていたようだが。

 今は二人して黙り込み、鋭い視線を空に向けていた。

 

 嫌々ながら上を見る。

 大小無数の黒い靄が、散り散りになってこの場から離れようとしている。

 放って置いてもロクな事にならないのは重々承知。

 

 とりあえず――。

 

「――ピュリフィケイション・レイ」

 

 弾けて混ざれ――的に、突き出した拳をグッと握ってみれば、拡散した光が黒い靄を一掃した。

 

「……何てデタラメな」

 

 デスマスクの呆れを含んだ声が聞こえるが、正直俺も驚いている。

 ……なんでもやってみるもんだ。

 

「じゃ、アタシはこの辺をぶらついてくるわ」

 

 ゴキブリって一匹見付けたら百匹はいるって言うし、ね。

 そう言って歩き出すデスマスクを見送る。

 意味は分かるが、気の滅入る例えをするな。

 

「いいのか?」

 

 エルダが俺にそう聞いてくるが、まずは主語を述べなさい。

 

「一人で行かせて、という意味なら問題はない。むしろ、邪魔になりかねん」

 

「あなたでも、そうなのか?」

 

 戦力的な意味でなら、全くそんな気はない。

 しかし、あれは、恐らくデスマスクなりの気遣いだ。

 アイツの向かった方向には、俺たちが倒した少女たちの遺体がある。

 

「さて、な。そんな事より、目の前の問題を解決する方が先ではないのか?」

 

「あ、ああ。うん、そうだ、な……」

 

 意識を取り戻した生徒たちが、倒れた生徒に駆け寄っている。意識を取り戻したことを抱き合って喜ぶ者もいれば、俯いて涙を流す者もいた。

 エルダか向かった先にはミトと呼ばれた少女がいる。彼女は起き上がろうとしているので、どうやら助けられはしたようだが……。

 

 どうしたって間に合わなかった者もいる。

 せめてもの救いがあるとするなら、あの時、光に包まれた彼女たちの表情は穏やかだったことか。

 

 来世があるなら、せめて争いとは無縁の人生を送って貰いたいとも思うが――待てよ?

 まさか、コキュートスで氷漬けなんてことはないだろうな?

 正式な聖闘士ではないし、冥王もまだ眠っているはずだから大丈夫だとは思うが。

 

 意外と、(アテナ)大好きなアルテミス辺りが手を回している可能性は……ないか?

 

 

 

 ――――――――

 ―――――

 ――…

 

「やはり、元を叩かないとキリがないのは事実だろう」

 

「やらないよりはマシ。なんでしょうけどね」

 

 崩れた瓦礫の中から、幾つもの苦悶に満ちた少女の声。それを助けようと、傷付いた生徒たちが懸命に手を動かしている。

 その場から離れるように指示を行い、目についた大きな瓦礫をサイコキネシスで取り除く。下手に動かすと連鎖的に崩れそうなので、慎重に。

 あの後、戻ってきたデスマスクと一緒に、自分たちにしか出来ない事を優先して開始した。

 まるで人間重機である。

 シベリアで氷のピラミッドの建造現場を見て、文明の利器を使えよと思いもしたが。

 しかし、まるで命がけの積み木崩しだ。なお、賭けられたのは他人の命。

 ……吐きそう。

 

「こうなると、エリスを倒したという報告の信憑性を疑いたくなるんだが?」

 

「そこは信用してもらっても結構よ、確かな筋だから。邪神はその依り代となった人間と共にこの地上から消失した。でも……何かしらの見落としがあるのは間違いないわね」

 

 見落とし、ね。

 たしか、劇場版ではどうだったか?

 邪霊云々で完全に別物だろうから、参考になるかは分からんが。

 

 星矢の育った孤児院にいた少女が器に選ばれて……。

 黄金の林檎を手にしたことで邪神エリスとして復活した。

 アテナを攫い、過去の聖闘士を蘇らせて自分の配下として、星矢たちに戦いを挑む。

 アテナの力を黄金の林檎が吸い取り、依り代となった少女の身体を捨て……。

 本体とも言える黄金の林檎を射手座の矢で撃たれて……。

 

「……まさか?」

 

「どうしたの、クーちゃん?」

 

「依り代と共に邪神はこの地上から消失した、そう言ったな?」

 

「ええ、報告にはそうあったわ。翼の生えた蛇と化した邪神の魂を、依り代となった少女が抑え込み、諸共に、と」

 

「その依り代の少女の名は?」

 

「え? ちょっと待ってよ、思い出すから――」

 

「絵梨衣――エリイと言う名前じゃなかったか?」

 

「……いや、そういう名前じゃなかったと思うけど」

 

 劇場版でのエリスの依り代となった少女の名は絵梨衣だった。

 邪霊云々もあって、劇場版とは違う前提で考えていたが、ひょっとして、ここから絵梨衣が依り代に選ばれるのか?

 

「デスマスク、悪いが後始末を任せたい」

 

「……何か心当たりがあるのね」

 

 アテの最期の言葉、ただの負け惜しみかと思っていたが。「お母様への供物」と、奴はそう言っていた。

 墓前に供える、そういう意味での供物と捉えていたが。例えば、弱ったエリスに力を与えるための供物、そういう意味であったなら?

 

「――日本へ向かう」

 

 確証も確信もない。

 見当違いをしている可能性もかなり高い。

 それでも確認する価値はあるはずだ。

 

 新たなエリスの依り代となる人物が存在することを。

 

 

 

 

 

 第18話 この一輝の、虎の尾を踏んで、ただで済むとは思わんことだ!!

 

 

 

 

 

 北アルプス。

 立山連峰――殺生谷。

 

 そこは、暗黒四天王を率いた一輝が星矢たちに対し、お互いの持つ射手座の黄金聖衣のパーツを賭けて決戦を挑んだ場所である。

 結果として、暗黒四天王は命を落とし、一輝は敗れた。

 黄金聖衣のパーツは、一度は全て星矢たちの物となったが、直後に現れたドクラテス一味によって頭部を除いたパーツの全てを奪われてしまっている。

 

 デスクイーン島より自分を信じて付いてきた配下と、権力の全てを失った一輝にとっては、まさに苦渋の地。

 そして、実弟である瞬と星矢たちとの絆を取り戻した再起の地。

 

 そこに聖衣箱を背負った一輝の姿があった。

 沙織から与えられた休息の日に、一輝は誰にも告げることなく一人この地へと訪れていたのだ。

 

 目指す場所は殺生谷の奥深く。

 そこには、暗黒四天王を弔った墓がある。

 

 

 

 切り立った崖も、草木の生い茂る道なき道も、夜の闇も、聖闘士にとってはさしたる障害にもならない。

 一輝が、それらを易々と乗り越えて進むこと暫く。

 木々の隙間から差し込む月の光が、四つの墓石を照らしている。

 

 何も知らない者が見れば、それは似た形の石が並んで立てられている様にしか見えないだろう。

 事実、墓石とはいえ、そこには名の一つも彫られてはいないのだから。

 

 だが、それでいいと一輝は思っている。

 名無しで良いのだ。

 死してなお、暗黒の名に縛られる必要などないのだと。

 

 そうして、墓石へと近付く一輝であったが――。

 

「――!? これは!!」

 

 突如駆け出すと、並び立つ墓石の前でその目を驚愕に開いた。

 

「星矢、紫龍、氷河、瞬――だと!? 馬鹿な、なぜあいつらの名前がこの墓石に刻まれているのだ?

 いや、それだけではない!! これは――」

 

 墓石の裏側、暗黒四天王の遺体を埋めたその場所が、掘り起こされていたのだ。

 

「いったい、何者が……。死者の墓を暴くなど――む? 違う、外からというよりも、むしろ内側から崩されたような……」

 

 しばらく、その場で立ち尽くしていた一輝であったが、やがて肩を震わせると――

 

「フッ、フフフッ、フハハハハハハ――ッ!!」

 

 大声で笑い始めた。

 知る者が見れば、その笑いはデスクイーン島を支配した時の、修羅に堕ちた一輝の見せていた笑いであった。

 

「クククッ、どこのどいつの仕業か知らんが、随分と舐めた真似をしてくれるじゃあないかッ!

 この一輝の、虎の尾を踏んで、ただで済むとは思わんことだ!!」

 

 怒りの炎を纏った鳳凰が、今、天へと向かい飛翔した。

 

 

 

 ―――

 ―――――…

 

 石造りの神殿内を一歩外に出れば、そこは草木に満ちた自然あふれる緑の世界。

 お気に入りの熊のぬいぐるみをパートナーに、花弁を撒き散らしながら、エモニが楽しそうにくるくると庭園内を踊っていた。

 

「あら?」

 

 感じた気配に視線を向ければ、神殿内からこちらに歩み寄る同胞の姿を捉えた。

 長い髪で目元を隠した彼女は、アテとは違いエモニに優しいので好きだ。

 

「デュスノミア? あなたも起きていたのね。でも、争いの大樹(ウテルス)では見かけなかったわ。どこに行っていたの?」

 

「あら、エモニ。お久しぶりネ。久しぶりの目覚めだから、分け身を使って地上を散歩していたのヨ」

 

 アナタだってしているでしょウ?

 そう言うと、駆け寄ってきたエモニを抱きとめたデュスノミアは、よしよしとその頭を撫でてやる。

 

「ん~、だって退屈なんですもの。アテったら酷いのよ? 自分は好き勝手に地上に分け身を送っているくせに、駄目だ駄目だって」

 

「そう。それは、酷いわネ。……フォノスは?」

 

 ひとしきり頭を撫でられて満足したのか、エモニがデュスノミアからゆっくりと離れたが、フォノスの名を聞いた彼女は、いかにも怒っていますと頬を膨らませた。

 

「知らない! どうせアテと一緒に好き勝手しているんだわ」

 

 その様子に、すっとしゃがみ込んだデュスノミアは、エモニと目線を合わせる。

 

「……なら、ワタシと一緒に地上の様子でも見ましょうか。ちょっと面白いモノも見付けたから、退屈しのぎには丁度良いでしょウ?」

 

「え、なになに? デュスノミアも地上で面白いおもちゃを見付けたの?」

 

「アテには内緒ヨ?」

 

「うんうん! それじゃあ行きましょう、楽しみね!」

 

 満面の笑みを浮かべて、エモニがデュスノミアの手を掴む。

 

 

 

 神殿内へと歩いて行く二人の姿を、物陰から一人の男が眺めていた。

 本来、その身に纏っていた美しい白銀の輝きは、今は不気味な赤黒い輝きを放つ鎧となっている。

 感情を排したような、冷たさを湛えた双眸は、やがて静かに閉じられると、彼自身も神殿内へとその姿を消して行った。

 

 響子、と。呟かれた彼の声を聴いた者はいない。

 

 無人となった庭園には、色とりどりの花々が咲き乱れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白銀聖闘士たちと戦うオレたちの前に、暗黒の鎧に身を包んだ戦士たちが再び現れる。

 そんな、お前たちは死んだはず!?

 

 以前とは比べ物にならない程の力を見せる奴らを前に、俺たちにとって頼もしい援軍が現れた!

 

 次回、聖闘士星矢

 

「光を覆う闇! 逆襲の暗黒聖闘士」

 

 君は、小宇宙を感じた事があるか。

 

 

 

 

 

 to be continued……?

 

アフロディーテさんの今後についてのアンケートです。期間は短いですが参考にさせて頂きます。

  • 聖域に戻る(アフロさん)
  • 沙織の護衛(デロア・テフィさん)
  • 沙織の護衛(アフロさん)
  • 星座カーストに負けるな!
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