聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition 作:水晶◆
基本的にかなり頭の悪い馬鹿話です。
※2022年5月2日
「カバー裏の馬鹿話」シリーズとして分けました。
コミックスの巻末とか、カバー裏に描かれるような、メタな話や、世界観ぶち壊しな話です。
さて。
ひょっとして、この目の前に広がる崩壊した聖アカデミーの後始末って、俺たちがやらないといけないのか?
ちょっと、誰か土建屋さん呼んで来て!
いや、確かグラード財団が絡んでいると資料にあったな。
定時連絡なりなんなりはしているだろうから、それが途絶えたとなれば……。
とは言え、ここは結構な僻地だからな。さすがに直ぐ、という訳には行かないか。
頭を振って後ろを見る。
オネエと意識を取り戻したエルダが、何やら「聖闘士として――」や「苦渋の決断を――」とか「わたしも一緒に――」とか何だのと語り合っていたようだが。
二人して黙り込み、鋭い視線を空に向けていた。
それにつられて上を見る。
大小無数の黒い靄が、散り散りになってこの場から離れようとしていた。
とりあえず
弾けて混ざれ――的に、突き出した拳をグッと握ってみれば、あら不思議。拡散メガ○子砲のごとく拡がった光が、黒い靄を一掃した。
……なんでもやってみるもんだ。
右を見る。
崩れた瓦礫の中から、幾つもの苦悶に満ちた少女の声。それを助けようと、傷付いた生徒たちが懸命に手を動かしている。
とりあえず、目についた大きな瓦礫をサイコキネシスで取り除く。下手に動かすと連鎖的に崩れそうなので、慎重に。
オネエも手伝いなさい。
しかし、まるで命がけの積み木崩しだ。なお、賭けられたのは他人の命。
……吐きそう。
左を見る。
意識を取り戻した生徒たちが、倒れた生徒に駆け寄っている。意識を取り戻したことを抱き合って喜ぶ者もいれば、俯いて涙を流す者もいた。
エルダか向かった先にはミトと呼ばれた少女がいる。彼女は起き上がろうとしているので、どうやら助けられはしたようだが……。
どうしたって間に合わなかった者もいる。
せめてもの救いがあるとするなら、あの時、光に包まれた彼女たちの表情は穏やかだったことか。
来世があるなら、争いとは無縁の人生を――って、待てよ?
まさか、コキュートスで氷漬けなんてことはないだろうな?
正式な聖闘士ではないし、冥王もまだ眠っているはずだから大丈夫だとは思うが。
意外と、
「……あのね、クーちゃん?
あ~、それもそうか。覚悟ガンギマリな奴らはともかく、若い奴らや雑兵たちの士気に大きく係わるもんな。
何せ、死後の安寧を求めて裏切ろうとした聖闘士もいたぐらいだ。
「……だから、何でそんなこと知っているのよ……」
とにかく、トリアージスペースを用意するために、近場の瓦礫の山を消し飛ばす。
せっかく助けられた命だ。やれるとこまではやっておかないとな。
これで何かあったら、寝覚めが悪いってモンじゃないからな。
「ま、いいわ。でも、やれるとこまでって、具体的にはどうするつもり? そりゃあ、アタシも簡単な応急処置ぐらいなら……。
あ! ひょっとして、杯座の聖闘士が現れたとか!? 伝えられる能力が正しければ、癒しの力があるって話だし」
いや、さすがに都合良くそんな知り合いはいない。
そもそも、杯座の聖闘士がクローズアップされたのも最近、って表現もアレだが、少なくともこの時間軸に、その存在は確認されていなかった。
そう言えば、いわゆるヒーラー役がいないんだよな、初期シリーズの星矢って。
まあ、寝てればいつの間にか治るような奴らばっかりだし、基本短期決戦でもあるからな。
話が逸れたな。
なにはともあれ、だ。ここに水晶聖衣があれば、もう少し自信を持って言えるんだが、無い物ねだりをしても仕方がない。
「……何もしないよりマシな程度には、やってみせるさ」
第XX話 カバー裏のノリで語られる幕間(幻朧魔皇拳)
今更ながらに考える。
全ては一つの塊から始まり、
故に、この世界に存在する全て、地上の生物や、空に浮かぶ星や銀河も、小宇宙の一つであると。
そして、聖闘士とは、自己の体内にある心の小宇宙を爆発させることで、超人的な力を生み出す存在なのだと。
少なくともこの世界における、聖闘士の常識としてはこうだ。
うむ、分からん!
いや、言いたいことは何となく分かる。
実際に、小宇宙を感じ、それを燃やして戦ったりしているのだから。
とはいえ、扱っているからと、その仕組みを理解しているのかは別な問題であって。
テレビがどうやって映っているのか、とか、どうして飛行機が空を飛ぶのか、と同じだ。仕組みを理解していなくても操作を理解していれば使える訳だ。
生命の力。いわゆる気やオーラと呼ばれるものだが、そういうモノか、と聞かれれば首を傾げながらも頷きはするだろう。
だが、そうなると五感を失ったり、傷付き倒れるたびに、つまり生命の力が弱まっている状態であるのに、小宇宙を増大させて立ち上がる現象の説明にはならない。
そいつらがおかしいだけ、と言われればそれまでなんだが。
そもそもが、小宇宙を燃やすって何だ?
恐らくは、ビッグバンを起こすためのトリガーなのだと思う。
限界まで小宇宙を燃やす事で、爆発を起こし、己の内なる小宇宙をより大きく拡げるのだ。
小宇宙を高めるとはこういう事であり、より小宇宙を大きく拡げられた者が勝つ、と。存在力同士のぶつけ合いとでも表現しようか。
青銅聖闘士と白銀聖闘士との違いは、きっとどこまで小宇宙を燃やせるか、という点なのではなかろうか。
そして、爆発まで持って行けるのが黄金聖闘士なのだろう。黄金聖闘士と白銀の、天と地の差はそこだ。
生簀で泳ぐ魚と、大海に解き放たれた魚……。えらくしょぼい例えで、途端に大したことがなさそうに感じるが。
いや、内気功と外気功、的な概念か?
もしくはその両者の合わせ技。
己以外からも力を得るのが黄金聖闘士?
そして、世界に対して超常の力を揮えるのは、自分も世界と同じ存在であるから?
遥かに巨大な、無限にも等しい世界という小宇宙に対して干渉し、己の小宇宙を同化させて力を引っ張り出している?
世界に呑まれないためには強靭な、揺るぎない個、我が求められ……。
……そうか。
宇宙のすべてが……うん、分かってきたぞ……。
空間と時間と俺との関係は……。
宇宙とは――。
小宇宙とは――――。
ゲッターとは――――――。
―――――――――――――――ドワォ。
「スト―――プッ!! ちょっと!! 戻って来なさいクーちゃん!! アンタ一体何と戦う気なの!?」
ハッ!?
俺は一体何を?
全宇宙の根源に手が届きそうだったような、進化の意味に到達できたような、遥か彼方の明後日の方向にすっ飛んで行ったような。
確か、トリアージスペースに負傷者である生徒たちを並べて、パワーストーンとしての水晶の側面の一つでもあるヒーリングを行っていたはずだが。
ちなみに、老師の腰痛相手に効果は実証済みだ!
「どんだけ小宇宙を高めてるのよ! いくら何でもやり過ぎよ!? 見なさい! この娘たちを!!」
何だと?
まさか、失敗したのか!?
老師の腰痛には成功したんだぞ!
「やり過ぎだッ、って言ってるでしょうが! 乙女がしていい表情じゃないわよコレ!!」
さすがのアタシも不憫過ぎてドン引きよ!
そう言ってオネエが俺の頭を叩いてくる。
痛い。
何をするか貴様。
やり過ぎってことは、失敗したわけではないんだろう?
「一体何を――」
そんなに騒ぐのやらと、視線を向けたのだが――。
「……見ろと言われて、目隠しをされると何も見えないのだが?」
ただでさえ、このマスクのせいで視界が悪いというのに。
それに――。
「……耳まで塞がれると。さすがにどうしようもないとは思わないか?」
一体誰だ?
ん、エルダと……ミト?
結構な深手だと思ったんだが、どうやら動けるぐらいには回復したようだな。
ああ、別に礼は不要だ。
結局は自分自身のためだからな。
それで、だ。
見ろ、オネエ。
ちゃんとヒーリングは成功しているじゃないか。
さすがは先生。思い付きを実行できるハイスペックさに感謝だな。
だから、この手を退けてもらえないだろうか。
いや、視覚や聴覚が封じられても触覚や嗅覚で大体のことは把握できるから、そこまで困る事もないんだが。
おい、なぜ鼻まで覆い隠そうとする。窒息させて殺す気か?
ん?
後生だから?
武士の情け?
……ああ、猫にマタタビ与え過ぎたような感じね。察した。
……これは、後で土下座案件かな?
しかし、おかしいな。
軽い擦り傷程度であれば治せるが、大きな怪我等であれば痛みを和らげる程度で即効性もない。
あくまでも、自然治癒力を増幅させる程度の効果のハズなんだが。
薬も過ぎれば毒となる、というが。
真面目に考察する必要があるかもしれん。
「……ハァ。アンタたち、そこの馬鹿を向こうへ連れて行きなさい。こっちはアタシが何とかしておくわ」
『……これが天下の黄金聖闘士のお仕事? 色んな意味で泣けて――うわ、オッサンもいるじゃない!?』
おい、わざわざテレパシー使ってまで嫌味を言うな……って。
そりゃあ、仮にも教育施設だし、グラード財団も噛んでいるならオッサンの一人や二人はいるだろう?
……地獄絵図かな?
少しだけ、オネエに優しく接してあげよう。
ところで君たち。
一応、あのオネエも生物学的には俺と同じ男にカテゴリーされるんだが、そこは良いのか?
その、彼女たちの尊厳的に。
あ、良いんだ。
……そう。
続かない……!
あったかもしれない、なかったかもしれない。
そんな、カバー裏の馬鹿話。
アフロディーテさんの今後についてのアンケートです。期間は短いですが参考にさせて頂きます。
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