聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition   作:水晶◆

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オープニングはペガサスファンタジー。
田中さんのナレーションといつものテーマはお休み。
エンディングは永遠ブルー。


第19話 暗黒四天王復活

「ここを通してもらうぞモーゼス! ペガサス流星拳――ッ!!」

 

「フッ、死にぞこないの拳など、何百発放たれようとも――な、なにぃ!?」

 

 無駄なこと、と。

 迫りくる星矢の拳を見切り、余裕を持って構えていたモーゼスの身体に突き刺さる幾つもの衝撃。

 

「馬鹿な!? 白銀聖闘士であるオレにすら見切れぬほどの拳が紛れて――ぐあっ!!」

 

 白銀聖衣が破損するほどの威力に、モーゼスの身体が宙を舞う!

 

「モーゼス!?」

 

 その光景に驚いたのはモーゼスだけではない。

 傍目に見ていたアステリオンも驚愕の表情を浮かべる。

 

「おっと、星矢の邪魔はさせんぞアステリオン」

 

「クッ、ミスティ!」

 

「星矢は、仮にもこのミスティを破った男よ。ただの青銅と同じとでも思っていたのか?」

 

 そうはさせんと、ミスティがアステリオンの行く手を阻むように立ち塞がり、その両手を構えた。

 

「わたしと星矢を分断したつもりだったのかもしれんが、逆に分断されたのはお前たちの方となったな」

 

「……成るほど。お前の言う通り、オレたちの見立てが甘かった、それは認めよう。だが――」

 

「うわっ!? こ、コイツ!!」

 

 ミスティの背後から、星矢の驚愕の声が上がる。

 そこでは、モーゼスの振り抜かれた剛腕をかろうじて避ける星矢の姿があった。

 モーゼスの纏う白銀聖衣には確かな破損があり、その下の身体には負傷の痕も見える。

 しかし、モーゼスの闘志に、小宇宙に揺らぎはない。

 むしろ、その小宇宙はより熱く燃え上がろうとしていた。

 

「――それは、お前も同じことだ。あまりモーゼスを、我々を甘く見るなよミスティ」

 

 

 

 ――――――――

 ―――――

 ――…

 

「モーゼス、その拳は囮だ! 本命は下からの――」

 

「おう!! さあ、捕まえたぞ星矢ッ!」

 

「ぐあっ! く、くそ……っ!!」

 

 モーゼスよりもパワーで劣る星矢は、自身の速度を生かしてモーゼスを翻弄していたが、それもアステリオンの指示が飛ぶようになる迄であった。

 星矢の繰り出す攻撃の全てが防がれ、躱され、阻止され――そして、今、その腕をモーゼスに掴み取られている。

 

「――ッ!? しまった、星矢!」

 

「おっと、行かせんぞミスティ! フッ、先程とは情況が一転したな?」

 

「……まさか、ここまで読んでいたとでも言うのかアステリオン」

 

「フフフッ、まさか。しかし、お前たちが分断してくれたおかげとも言える。わたしとお前、星矢、そしてモーゼス。この並びであればこそよ。

 おかげで、わたしはお前たちの動きの全てを見通しながら、モーゼスにそれを伝える事が出来たのだからな。

 教えておこう、わたしのサトリの法は、決して目の前の相手にだけ作用するものではないと。そして――」

 

 ――これで終わりだ。

 

 

 

「さあ、星矢! このモーゼスの拳を受けてみろ!!」

 

「ミスティ! お前のその鉄壁の防御も、この猟犬座(わたし)のスピードの前には無意味よ!!」

 

 

 

 モーゼスが、星矢の身体を遥か上空へと向かって放り上げた!

 吹き上げられる潮のように、白鯨モーゼスに星矢が翻弄される。

 

「な、なんだ!? この投げ技は……か、身体が動かない! う、受け身が取れない――!!」

 

「死ね、星矢――ッ!」

 

 

 

 アステリオンがミスティへと駆け出し、その眼前て跳躍する!

 

「ミスティ、いかな強固な防壁であろうとも、お前のそれは全方位からの攻撃を防ぐことは不可能!」

 

「アステリオンの身体が、無数に分かれた――これは!」

 

「さらばだミスティ!」

 

 

 

 モーゼスの突き上げた拳が、受け身の取れない星矢に迫り!

 無数に分かれたアステリオンの蹴りが、全方位からミスティに向かって迫る!

 

「カイトススパウティングボンバー!!」

 

「ミリオンゴーストアタック!!」

 

「「ぐあぁあああああああああああ――!!」」

 

 

 

 砂浜に砕けた聖衣と、血飛沫を撒き散らし、星矢とミスティは崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 第19話 この場において何を優先すべきか。そこを違えるつもりはないのでな

 

 

 

 

 

「終わったな、モーゼス」

 

「……ああ、そうだなアステリオン」

 

「どうした、星矢にやられた傷が深いのであれば、魔鈴を追うのはバベルと合流してからでも……」

 

 倒れた星矢を眺めながら、どこか歯切れ悪そうなモーゼスの様子に、無理もないかとアステリオンは思う。

 星矢の戦闘力は明らかに自分たちの知る青銅の域を超えていた。

 自分の援護がなければ、あるいは、と考えてしまう程に。

 そもそも、白銀聖闘士に攻撃を当てる事すら並の青銅聖闘士に出来る事ではない。あまつさえ、星矢の拳は白銀聖衣を破壊したのだ。

 見えていないだけで、モーゼスの負ったダメージには相当なものがあるのでは、と。

 

「いや、ダメージはあるが、動けんほどでもない。それよりも、魔鈴が裏切ったと聞いて、少し思い出したのだ……」

 

「……思い出した?」

 

「アステリオン、お前は聞いたことがないか? 日本人でありながら、幼い魔鈴が、どうしてギリシアにまでやって来たのか、と」

 

「――ああ。そういえば、噂で聞いたことがあるな。確か、生き別れになった弟を探す為だったと思うが?」

 

「……同じ日本人同士ということで魔鈴は星矢の師になったと聞いたが、果たして本当にそれだけか、とな。

 言っては悪いが、聖域にいた頃の魔鈴を思い出してみろ? 弟子だからという理由だけで、聖域に背いてまで星矢を助けようとするようなタマか?」

 

 あのセメント冷血女だぞ?

 

「……言わんとすることは分かるがな。なら、モーゼス。お前はこう言いたいのか?」

 

 ――魔鈴が星矢の姉である、と。

 

「……かもしれん、と。そう思っただけよ」

 

「仮にそうだとして、オレたちのするべきことに変わりはない。掟を破った残りの青銅を粛清し、裏切った魔鈴に制裁を与える。それだけだ」

 

「ああ、そうだな。行くか――」

 

 行くかアステリオン。

 そう続けようとしたモーゼスが、踏み出した足を止めた。

 

「……ね、ねえさん……。そうだ……おれ、は……」

 

「――ッ!? 星矢!!」

 

 見れば、自身の足首を掴み、何事かを呟きながら、星矢が立ち上がろうとしている。

 

「まさか!? カイトススパウティングボンバーを受けて、立ち上がるつもりかッ!!」

 

「……姉さんに会うんだ……。どこに、いようとも……必ず、見つけ出すんだ……。オレは、こんなところで――」

 

 身に纏う聖衣は大破し、星矢の視線はその焦点も定まらない。

 しかし、その身体からは熱く燃え上がった小宇宙が立ち昇る!

 

「――死んでいられるかッ!」

 

「不死身かっ!? 星矢ぁッ!!」

 

 

 

「……フッ、フフフ……」

 

「――ミスティッ!!」

 

 そして、それと同じことがアステリオンの目の前でも起こっていた。

 

「……おかしなものだと思ってな。あれ程、傷を負う事を忌避し、痛みから逃げていたこのわたしが……。

 これ程の痛手を受けて、まだ立ち上がろうとしている」

 

 来ると分かっている傷みであれば、存外耐えられるものなのだな、と。

 そう言ってミスティが続ける。

 

「わたしの防御の弱点など、今更言われるまでもなく知っている。しかし、星矢は――正面から破って見せたぞ?」

 

「ミスティ――お前は……」

 

 ふらつきながらも、フフッと笑う。

 その姿に、アステリオンは、初めてミスティという聖闘士に恐ろしさを感じていた。

 それは、これまでのミスティからは与えられることがなかった感覚であった。

 

「さあ、続きをやろうか、アステリオン」

 

「――よかろう! もはや一切の容赦はせん!!」

 

 

 

 対峙する者同士が、お互いに極限まで小宇宙を燃やし合う。

 この戦いを見る者があれば、決着はどちらかの死か、あるいは両者か。

 そこまで行かねば終わらないと、誰もが理解するであろう。

 

 そして、この決着は――

 

「う!?」

 

「何!!」

 

「この小宇宙は!?」

 

「この感じは!?」

 

 ミスティが、アステリオンが、モーゼスが、そして星矢が。

 それぞれが、対峙する相手から意識を外してしまう程の衝撃によって、この場の誰もが想像しえなかったカタチへと終息する事となる。

 

 

 

「フフッ、大きな小宇宙同士のぶつかり合いを感じて来てみれば。これはまた、随分と愉快な状況になっているではないか?」

 

「地上に迫る危機を放って置いて、何をしているのかと思えば……身内同士の潰し合いとは。これでは、まだ我らの方が纏まりがあるのではないのかな?」

 

「フン、違いない」

 

 暗黒の聖衣を纏った者たちの登場によって。

 

 

 

「お、お前は……お前たちは……、殺生谷の戦いで死んだはずの――」

 

「ここは、久しぶりだな、とでも言うべきかな? 星矢(ペガサス)よ」

 

「暗黒ペガサス! そして暗黒アンドロメダ!?」

 

 星矢の驚きの声が海岸に響く。

 それもそのはず。

 星矢の前に現れた二人は、間違いなく星矢たちが倒した相手であったのだから。

 

「その黒い聖衣――そうか、貴様らが悪名高い暗黒聖闘士か」

 

「フェニックスの聖闘士によって制圧されたと聞いていたが……」

 

 暗黒聖闘士の由来と、これまで行われてきた数々の悪事を知るアステリオンとモーゼスが、暗黒聖闘士たちへと向かい合う。

 

「ん? どうした、身内同士での醜い争いを続けないのか? お互いに潰し合ってくれれば、それだけ我々が楽を出来て良いのだがな?」

 

 肩を竦めて、嘲笑うように告げる暗黒ペガサス。

 その言葉に対する返答は明白であった。

 

「正義であるべき聖闘士の力を、私利私欲のために使う貴様らのような相手と戦うことこそ、我らに与えられた使命よ」

 

「この場において何を優先すべきか。そこを違えるつもりはないのでな」

 

 モーゼスとアステリオンが、星矢とミスティを文字通り押し退けて前に出る。

 

「……モーゼス……」

 

「勘違いするなよ星矢。お前との決着はこいつらを叩きのめした後だ」

 

「お前も、だ。邪魔にならんところで、大人しく見ているんだなミスティ」

 

「アステリオン……」

 

「……フン」

 

「なんだ? 死にぞこないも纏めて全員で掛かってきてもかまわんのだぞ?」

 

 暗黒アンドロメダの言葉に、モーゼスが一歩踏み出し大地を揺らす。

 

「ほざけ! 暗黒聖闘士ごときに、我ら白銀聖闘士が遅れなど取るものかッ!!」

 

「お前たち二人の相手は、オレとモーゼスで十分よ」

 

 身構える二人の白銀聖闘士を前にして、暗黒聖闘士たちの様子に変化はない。

 確かに暗黒聖闘士たちは強かったが、それでも目の前の二人の白銀聖闘士に敵うかと聞かれれば否と答える。

 暗黒聖闘士たちも、相手の力量が感じ取れないわけがあるまいが。

 むしろ、余裕すら感じさせるその佇まいと、纏わり憑くような不快な感覚、鼻につく甘い香も相まって、星矢は言いようのない不安を感じていた。

 

「そうか、ならば――」

 

 暗黒ペガサスが一歩踏み出し、その拳をモーゼスに向ける。

 

「その判断が誤りであったと後悔しながら――」

 

 暗黒アンドロメダが、その手の黒い鎖をアステリオンへと向ける。

 

 

 

 ――ここで死ぬがいい。

 

 

 

 ―――

 ―――――…

 

 一方、グラードコロッセオでも対峙していた紫龍たちが戦いを止める程の異変が起きていた。

 

 暗黒の鎧に身を包んだ七人の聖闘士――暗黒聖闘士がその場に現れたのだ。

 

「おいおい、こりゃあ、一体何の冗談だ?」

 

 ユアンの視線の先には、暗黒の盾座の聖衣を纏った男が。

 

「さて、な。だが、明確な敵であると分かるだけ、やり易くなったと思うべきだろう」

 

 ゲオルクの視線の先には、暗黒の南十字星座の聖衣を纏った男が。

 

「矢座と琴座、そしてオリオン星座の暗黒聖闘士もいるか」

 

 意識を失ったカティアを抱えたマユラが呟き。

 

「そんな!? 彼らは――」

 

「ああ。これは一体どういう事なんだ……!?」

 

 驚きのあまり、声を詰まらせる瞬と紫龍の視線の先には、殺生谷で氷河が倒したはずの暗黒スワンと――

 

 

 

「……久しいな、紫龍よ」

 

「――なぜ、お前が生きているのだ? お前は確かに、この紫龍の命を救い、そして死んだはずだ――」

 

 ――答えろ! 暗黒ドラゴンよ!!

 

 

 

 晴れ渡っていたはずの夜空に、いつしか暗雲が立ち込めて。

 

 稲妻を伴って降り始めた雨が、新たな戦いの始まりを予感させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗黒四天王復活。

 それも、一輝すら知らない新たなる暗黒聖闘士と共にだ!

 混乱する俺たちに、さらなる衝撃の事実が告げられた。

 

 なんだって!? 沙織お嬢さんこそが、オレたち聖闘士が守るべきアテナだと!?

 

 次回、聖闘士星矢

 

「新たな敵! その名はエリスの聖闘士」

 

 君は、小宇宙を感じた事があるか。

 

 

 

 

 

 to be continued……?

 

アフロディーテさんの今後についてのアンケートです。期間は短いですが参考にさせて頂きます。

  • 聖域に戻る(アフロさん)
  • 沙織の護衛(デロア・テフィさん)
  • 沙織の護衛(アフロさん)
  • 星座カーストに負けるな!
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