聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition 作:水晶◆
エンディングは争い死にゆく者たちに祝福を。
田中さんのナレーションはお休み。
次回予告は古谷さん。
五感を超えた第六感、いわゆる霊感や超能力と呼ばれる感覚に至っている以上、小宇宙に目覚めている聖闘士は世間一般で言うところの超能力者である、とも言える。
とは言え、その能力には先天的な素質も大きく。
超○ロックやエスパー○美のように、誰も彼もがテレキネシスによって自在に空を飛んだり、瞬間移動によって好きな所に現れたり、透視や念写、予知と言った能力を扱えるわけではない。
さて、話を戻して聖闘士である。
黄金伝説的に例えるなら、小宇宙は割り振り可能なステータスポイントであり、戦闘時にはそのポイントを力や速さ、精神に振り分けていると思ってもらえればいい。
そして、音速を超えるスピードや、空を引き裂き大地を割ると言ったスキルを発動するには、各ステータスに小宇宙ポイントを規定値以上振り分ける必要がある。
ここに、先の先天的な素質が絡んでくる。
聖闘士には共通の基本となるスキルツリーが存在し、各個人によってその先が大きく異なる。この異なる部分が資質と思ってもらえればいい。
得意な分野ではスキルを発動するためのポイントが少ない、ステータスの上昇値が大きい、と言った具合に、その効果には個人差はあるが基本的にはプラスに働く。
強大な小宇宙を持つ者であれば、より多くのポイントを振れる訳だ。死に掛けようがどうしようが、とりあえず小宇宙を燃やせば何とかなるのはこの為だ。
ちなみに、これは俺の想像でしかないが、星矢たちはこの小宇宙ポイントがアテナの加護で毎ターン回復していると思われる。むしろ増加していると思われる。
再び話を戻す。
ぶっちゃけ、聖闘士の第六感に関するスキルツリーは超人○ックやエス○ー魔美よりも、かなりX○MEN寄りなのだ。
物理的な破壊に特化していると言うか、殺られる前にヤレ的な。
……脳筋なのだ。
だからこそ、ムウやシャカの特異性が際立つと言うか。
自分でやってみたから分かるが、戦闘中に短距離テレポートなんてやってられない。
やれないことはないが、そんな事にリソースを割くぐらいなら、光速の拳をぶっ放している。
……脳筋だな。
まあ、何が言いたいのかだが……長距離テレポートは二度とやらない。
全身で風を感じ、視界に映る夜空と、都心の明かりを見つめながら、俺はそう誓った。
なお、俺氏現在、東京湾上空を自由落下中。
長距離テレポートはやりたくないが、超能力自体の訓練はやった方が良いと実感しているところだ。
――――――――
―――――
――…
そもそも、知覚圏外に飛ぶのは環境や状況により“石の中にいる”になりかねないし、非常に高い空間的な座標を認識し把握する能力が求められるのだ。
それに、俺は日本へ行くとは言ったが、飛行機を使って普通に行くつもりだったんだ。
一分一秒を争うような、そんな悲壮感を漂わせたつもりは無かったのに……。
それをあのオネエ、何を勘違いしたのか「アタシが手伝えばアッと言う間よ?」なんて言いおってからに。
長距離テレポートの最大のネックであり、面倒くさい座標認識を任せられると、それにホイホイ乗った俺も悪かったが。
お互い聖衣を外して元のラフな格好に戻り、後始末をエルダに任せてテレポート開始。
どこ○もドア的なあっという間に向こう側、ではなく、光の回廊を通り抜けるようなイメージをしてもらえれば分かり易いか。
で、だ。
ここであのオネエがやらかしやがった。
まず、出現場所が東京湾――上空。
ああ、スイスとは時差があるからこっちはもう夕方なんだなと、薄暗くなり始めた空を見てしんみりする。
落下しながら。
人間は空を飛ぶようにはできてないんだよ!
次。
沿岸と、都心部でぶつかり合う複数の小宇宙を感知。
「妙ね、こんなところで? 青銅の坊やたちが野外で銀河戦争、ってわけでもなさそうね。アタシはあっちに行くわ。向こうはクーちゃんがお願いね」
東京タワーで落ち合いましょう、とオネエは再びテレポート。
自由落下中の俺を放って。
いや、何とかできるけど。何とかするけど!
どうにも、あのオネエから俺って過大評価されてないか?
普通の聖闘士なら、このまま落下して即死だからな?
とにかく、ある程度の高度を保てば石の中にいる事もないだろうと、都心部に向かってテレポートをしようと意識を集中させ――ノイズの様な反応に気を取られたのが拙かったのか。
俺がいたのは石の中ではなく――銀河の中に方眼紙のマス目のような天地が広がる、どこからどう見ても
幸い、出口らしき空間の切れ目が近くに見えたので、そこまで取り乱しはしなかったのだが――。
――黄金の杖を手にした少女と、意識を失っているのかその少女に支えられながら黄金の鎧を身に纏った者が、俺の目の前を流されて行く。
……。
…………。
………………。
思わずサングラスを外して二度見する。
は?
あの特徴的なデザインの黄金の杖って、もしかしなくても
え?
あの特徴的なデザインの黄金の鎧って、もしかしなくても
ちょっとまてぇえええええええええええええ!?
え?
あの少女って、もしかしなくても
で、あの黄金聖闘士はアフロディーテ!?
あ、城戸沙織(推定)と目が合った。
目を見開いてびっくりしてますねぇ。沙織お嬢さん(当確)のこの表情はかなりレアかもしれん……。
――って、俺もビックリだよ!!
何で!?
ワケわかんない!!
意味わかんない!!
何、この、何!?
誰か説明してくれよぉおーー! デデデデッ! ロリウェー!!
しかもお二人さん、どんどん流されて出口らしき空間の切れ目から離れているんですけど!?
そっちに行っても、遥か彼方の夢は探せないから!!
こっちに引き寄せ――って、重ッ!!
聖闘士が重いって感じるって、並じゃないぞ!?
……いや、お嬢さんが重いってわけじゃないから。
あ、やば。
アホなこと考えていたら、俺も引き寄せられている!?
こーゆー時こそ出番だろ! 来い
来るワケないよね! 知ってた!!
ああ!? 出口の切れ目が――閉じかけている!?
やべぇええええええええええ!!
こんなワケの分からんとこで終われるか!!
燃えろ俺の小宇宙――ッ!!
第20話 後編
この世界で目覚めてから、一二を争う程に焦ったかもしれん。
というか、何この無駄に濃い一日は。まだ一日終わってないけど。
沙織お嬢さんとアフロディーテをどうにか引き寄せた俺は、二人を連れて異次元空間から脱出することに成功した。
人間、死ぬ気になれば意外と何とでもなるもんだ。
何とでもならん状況が今なんだが。
空間の切れ目から脱出した先は、どうやらグラードコロッセオの観客席らしい。
沙織お嬢さんがそう言っていたから間違いはないだろう。
気付けば雨が降り出していたが……おや、ドームが閉まって――って、モニタールームにいるのは辰巳か?
……禿げてる方だな。
で、ホントに、何この状況。
確かに、焦っていた事もあって、無駄に小宇宙を高めまくって爆発させたことは認めよう。
そりゃあ、ビックリするのも分かる。
分かるけど、俺の気持ちも分かって欲しい。
「あの小宇宙の感じは……貴方は、まさか!?」
「沙織お嬢さん! 無事だったんですね!!」
紫龍に瞬がいる。
良かった。瞬はアニメ基準っぽいな。
「……」
そして、何やら無言でこちらを睨み付けていると思われる、女性聖闘士さん。
全身の包帯に着崩した着物、目元を隠した仮面って、どんだけ属性盛ってるの?
あなたが抱き抱えている女性聖闘士は仮面着けてないけど大丈夫? ちゃんと生きてる?
素顔を見たって、ここにいる全員を殺しに回ったりしないよね?
アニメで鋼鉄聖闘士が退場したのはジュネの素顔を見たからだ、って面白い考察があったけど。
そういえば、エルダも仮面を着けてなかったが……。
デスマスクには懐いていたように見えたが……ってことは、俺は殺されるの?
いや、でも特にそんなそぶりは無かったしな。
Ωのユナみたいに吹っ切れた系だったのか?
さらに、見知らぬ白銀聖闘士が二人。
若い男の方は左腕の盾が特徴的な聖衣を纏っていることから、おそらく盾座の聖闘士。
もう一人の、顎髭を生やした男は、恐らく
胸に十字をあしらったパーツがあるから、十字に関する聖闘士――南十字星辺りか。
どっちも劇場版ではエリス配下の聖闘士だったが、その容姿はどう見ても違う。
モブかどうかは常に顔で決まるこの世界。それを基準に考えれば、少なくともあの二人はモブではない。
「な、何者だ貴様はッ!! それに、お前は――城戸沙織!!」
で、どうしてギガース参謀長がここにいる?
いや、この際、ギガースはどうでもいい。
問題は、その背後だ。
劇場版のエリスの配下であった
「……確か、
「ほう」
「フン……」
「ククッ」
「……フッ」
「フム、この時代で我らのことを知る者がいるとはな。いささか驚いたぞ?」
あ、思わず口に出してたか。
「そして、暗黒スワンに暗黒ドラゴンか。お前たち暗黒四天王も、そこにいる奴らと同じく既に死んだはずの人間であったと記憶しているが?」
「「……」」
「だんまり、か。ならば、聞ける者から話を聞こう。なあ、ギガース参謀長?」
どうしてお前がその場所に立っている?
それでは、まるでお前が奴らを率いているように見えるぞ?
それから、沙織お嬢さん。
その、あなたは何を知っているのですか、と目で訴えてくるのは止めて?
俺は何にも知らないの。
むしろ、これから教えてもらうから。
なのでアフロディーテ。
お前さんは上手い具合に座席に隠れているんだから、そのまま大人しく息を潜めておいて?
手に持った薔薇は仕舞おうね?
沙織お嬢さんが何も言わないから敵ではないと見なしているが、この時期の黄金聖闘士ってだけで俺からすれば信用度は皆無だからな?
逆の視点に立てば、俺って怪しすぎる事この上ないな。今更だが。
「……そ、その声は!? ま、まさか……貴様……水晶聖闘士かッ!!」
「私のことなど、この際どうでもいい!」
ギガースに変装を見破られたのはかなりショックなので認めてやらん。
そも、声で気付くって、どんだけ記憶に刻まれてるの先生ってば。
「今重要な事は、お前が死んだはずの者たちを従えていることと、その身に纏わり憑かせた闇の気配よ!」
あれだ。アラクネとかジャミールの亡霊とか、アーレス様やアテに感じたモノと同じ気配とニオイがする。
ってことは、その背後にはエリスの配下――あのゴスロリ娘のエモニだったか。あれか、あれに近しいいモノの介入があると考えるべきだな。
最悪は、絵梨衣に宿ったエリス本人の線もあるが。
とりあえず、この場所にいるとアフロディーテの視線が痛いので、安全も考慮して沙織お嬢さんを抱き抱えて紫龍の横に降り立つ。
そして、さりげなく瞬の方に沙織お嬢さんを押し付けることに成功。
立ち位置的に、ギガース率いる暗黒聖闘士と俺たち的な構図になった。相変わらず属性盛りまくった女性聖闘士さんの無言の圧がキツイ。
さて、ここからどうペラを回して情報を引き出してやろうかと考えていたら、紫龍が横から大まかな経緯を教えてくれた。
知っているのか紫龍!
それから瞬や二人の白銀も情報を加えてくれる。
へー、ふーん、ほー。
……。
…………。
………………。
知らねえよそんな流れは――ッ!!
聖闘少女って何!?
伝説の女性聖闘士って誰!? あ、圧の強い貴女の事ね。
沙織お嬢さんがアテナって――それは知ってる。
そこの白銀二人は、教皇から沙織お嬢さんを連れてくるように命じられて――さっきまでここで紫龍たちと戦っていた!?
暗黒聖闘士たちが突如現れたことで戦いは中断。
ギガース参謀長が出て来て、何やら語り始めたところでバカげた小宇宙を感じてそれも中断、と。
なるほど。
つまり、始まったばかりという事だな!
つまり、ここでコイツら纏めてぶっ飛ばしたら終わりって事だな!
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グラードコロッセオに現れた暗黒聖闘士たち。
彼らを率いるのは、聖域で参謀長の地位にあったギガースだった。
一触即発の空気の中で、ギガースの口から信じられない言葉が飛び出した。
オレたちと協力して、邪悪に支配された聖域をアテナの元に取り戻そうだって!?
ふざけるなよ!
今更そんな言葉か信じられるものか!
今度はいったい何を企んでいるんだ!!
次回、聖闘士星矢
「逆臣アーレスを討て!」
君は、小宇宙を感じた事があるか。
to be continued……?