聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition 作:水晶◆
エンディングは永遠ブルー。
短いですが、Aパートにはこれまでの総集編が挟まっていたと思って下さい。
実質Bパート。
伝えたいことはそれだけだと、愁いを帯びた瞳で夜空を見上げるアフロディーテ。
非常に絵になる光景だとは思うが、それを含めてイラっと来たのは俺の心が狭いからなのか、それとも器が小さいからか。
「……これは、何のつもりだ水晶聖闘士」
アフロディーテの苛立ちを隠そうともしない声色を向けられて、どうやら無意識下でやってしまっていたようだと気が付いた。
月明かりに照らされてキラキラと輝く氷の結晶が、幾つものリングとなってアフロディーテの身体を包み込んでいた。
というよりも、これは
デスマスクが「ワタシは分かっているわよ」とでも言いたげに、後方オネエ面でにやにやと笑っているのが無性に腹が立つが、己の心の小さを自覚した俺に精神的動揺は無いと知るがいい。
喰らえ、ダイヤモンドダスト(微小)。
「――!? 冷たっ! 寒ッ!?」
ふはははは。雨に打たれて濡れた衣服では寒かろう。
「何のつもりだ水晶聖闘士」
お、苛立ちに敵意が混ざり始めたか。
だが、悪いが気を使ってやれるほど、俺の方も余裕はない。
「まず一つ。アテナに伝えたいことがあるのならば、自分の口で伝えるのだな」
敷地内にいるんだから、その気になればいつでも会えるだろうが。
異次元空間内で沙織お嬢さんがアフロディーテを庇っていた様子から、少なくともお嬢さん自身に思うところは無いはずだ。敵対的な関係ではないのだろうと判断できる。
訪ねられても断わることは無いだろう。
コイツも口では見込み違いだった、とか、忠誠は教皇に、みたいな事を言っていたが、語っていた時のあの穏やかな、まるで眩しいものを見たという様な表情を見れば分かる。
どう見てもツンデレだ。この時間軸にそんな概念はまだ無いだろうが。
何にせよ、大方、直接顔を合わせると言い辛いとか、そんな程度のはずだ。
自分がするのが嫌なことを他人にさせようとは……。
僅かに目が泳いだぞテメー。俺でなきゃ見逃しちゃうね。
「二つ目。その程度の拘束を容易く破れぬ程に、自身が消耗していることを自覚しろ」
「……む」
「急ぎ聖域に戻る必要はないのだろう? それに、アテナを無事送り届けることが任務だと言っていたが、この状況だ。
アフターサービスぐらい付けてやっても罰は当たるまい」
実際、アフロディーテがそこまでする必要は無いが、ここは勢いで押し切ってしまおう。
そして、そのままなし崩し的にこちら側に組み込んでしまうのだ。
アニメの教皇は沸点が低かったし、実際、ここの教皇もオレの挑発にもえらい食い付いてきたからな。
メッセージを伝えたシャイナ達には意味不明だったかもしれんが。
『黄金の短剣が二度振り下ろせるとは思わぬことだ』
時間があれば、もう少し捻りの利いたモノを考えたかったんだが、我ながら絶妙な煽り文章だったとは思う。
「ヘークショイッ!! ……う~、覚えときなさいよアンタ。
ま、確かに。送り届けた先で襲撃されて、それを放って置いて無事送り届けたとは言えないわよねぇ」
「……ほう」
おお、
上手い事プライドをくすぐったのか、アフロディーテから「できらぁ!」的な勢いを感じるぞ。
この感じであれば、いきなり姿を消すことも無いかとカリツォーを解除。
すると、一昔前の……この時間軸なら今頃のか、ヤンキー宜しく額をゴリゴリとすり合わせながら黄金二人がメンチを切り始めた。
最初の方こそデスマスクがアフロディーテをアテナ側に引き込む様に誘導していたが、お互い不満が溜まっていたのだろう。
中盤からどんどんと話の趣旨とは関係の無いプライベートな内容へと変化して行き、ナルシスト野郎やオカマ野郎と言った罵り合いに移行。
音楽性の違いから解散するアーティストってこんな感じかと眺めながら、意識を周辺へと広げていく。
施設内には沙織お嬢さんと瞬、白銀聖闘士のゲオルクと聖闘少女の美衣。
星矢とミスティ、そしてバベルとアステリオンにモーゼス。
聖闘少女の翔子とシャオリン。
施設外では、襲撃に備えて聖衣を纏った氷河と紫龍、そして白銀聖闘士のユアンが警邏をしていた。
邪武たちは恐らくそれぞれの修行地で再修業を行っているはずだとして、一輝の姿が無いことが気になるが、まあいつもの兄さんムーブで瞬の危機には現れるだろう。
ちなみに、圧の強いマユラさんは、「悪いようにはしない」と沙織お嬢さんに告げて、ぐったりとした
しかし。
本当に、何がどうなってこうなっているのかがさっぱり分からんのだが。
本気で、やる事リストでも作るか。
まず、後ろで騒いでいる二人からはこれまでの経緯の確認だ。
そして、圧の強いマユラさんが居ない以上、沙織お嬢さんからは聖闘少女についても聞いておきたいし、麻森博士の存在についても確認しておきたい。
星矢の育った孤児院に行って絵梨衣がいるかを確認したいし……って、そういえば魔鈴さんはどこに行ったんだ?
あと、ギガースたちとエリスの残党との動きの繋がりも調べておきたい。
暗黒聖衣が持ち出されている以上、デスクィーン島も調べる必要がある。
この辺はガイストたちに任せるとして。
あの場でギガースを追う事も考えたが、まさかの集団テレポートで逃げられるとは、この海のリ○クの目でもってしても見抜けなかった。
節穴だからしょうがないね。
まあ、一番怖かったのはコロッセオ周辺にまだ見えていない配下等を置かれて、アテナが言う事を聞かなければテロるぞ、とやられる事だったので。
それをしなかっただけ、ギガースには温情を与えても良いかな、という気にはなる。裏で何をやっているのかが分からん怖さがあるが。
エリスの、もしくはその配下からの力を受けておいて、まさか本気でアテナのために教皇打倒を目指しているとは――。
――有り得る線ではあったりする、か?
何せ、不和と争いの女神としては、上手く行こうが行くまいが、どう転んでも損はない。
それでギガースのやる気が増すのなら、むしろ喜んで力を与える可能性もある。
とは言え、それはあくまでもギガースがそうだというだけだ。奴が引き連れていたジャガーや暗黒四天王が「アテナのために!」等と言うのか、と。
ジャガー達の人となりは分からんが、少なくとも暗黒四天王はその理由では動かんだろう。一輝のためなら死ねる奴等だが――。
――まさか、一輝が捕らえられているとか、洗脳されて従っている、ってオチじゃないだろうな?
何?
まさか、この世界では、兄さんが捕らわれのアテナポジになるのか!?
……それなら放って置いても構わんだろう。
助けに行ったところでどうせ自力で脱出しているだろうし、下手すれば相手を倒して問題を解決している、までやりかねない。一輝にはそれぐらいの
何せ、星矢たちと戦って以降、成長を促せるような戦いなんてロクにないままシャカに挑んで相打ちに持って行った男だ。面構えが違う。
……瞬を抑える必要はあるが。
まあ、その辺は星矢たちが何とかするだろう。
あ、沙織お嬢さんがアテナである事を正式にカミングアウトすれば、このタイミングだと劇場版の神々の熱き戦いのフラグが立つのか?
いや、しかしアレが立つという事は、アニメでのアスガルド編が成り立たないワケで……。いや、展開次第では成り立たせることも出来るのか?
……教主ドルバルの存在次第だな。アスガルドについてはアラクネたちに調べさせるか。
アラクネで思い出したが、聖域からの白銀聖闘士の襲撃もあったか。
エリスの残党の動きに対応するために各地に出張っている可能性もあるが、ミスティ達が来た以上、原作通り襲撃に来る可能性は高い。
正直、油断さえしなければアルゴル以外は何とでも……。この状況で仕掛けてくるのか? 少なくとも同格の白銀がいる所に?
いや、ギガースの目線で見れば、これは教皇派の聖闘士の各個撃破のチャンスなのでは?
だとすれば、俺としては好きにやってくれと言いたいところだが、沙織お嬢さん的にはそれを黙って見過ごせるはずもないし、先生としてもそこは防ぎたい。
ひょっとすると、アイオリアが先行してくる可能性もあるのか?
星矢が入院中で沙織お嬢さんもここに居るとなれば、時系列はともかく、アイオリア襲撃時と状況は一致して――。
……。
…………。
………………。
やることが多過ぎる!
不確定要素も多過ぎる!!
情報量が多過ぎるんだよ!!!
これでまだ序盤って嘘でしょ!? 俺のキャパ超えているんですけど!?
まだ浮遊大陸すら出てねーよ!!
もうヤダ!
俺寝る!!
明日のことは、明日の俺がなんとかするさ!!
とりあえず、沙織お嬢さんを屋上に呼び出して、アフロディーテの退路を断っておくとしよう。
で。
なんで、俺に宛がわれた部屋の前にこれがあるんですかねぇ。
水瓶座の聖闘士カード。
to be continued……?
恐怖とは、まさしく(中の人の知らない)過去からやって来る……。