聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition 作:水晶◆
ND最終章開始に合わせて再開。
短いですがカミュ戦です。
※2024年6月11日 次回予告追加
※2024年6月15日 あらすじ追加
この世に邪悪がはびこる時、必ずや現れるという希望の闘士――聖闘士。
星矢たちが傷付いた身体を癒す中、氷河はグラードコロッセオにてもう一人の師とも呼べる聖闘士と対峙する。
その聖闘士の名はカミュ。聖闘士の最高位、黄金聖衣を身に纏う水瓶座のカミュ。
カミュの口から水晶聖闘士の抹殺こそがその目的であると告げられた氷河は、二人の戦いを止めるべくカミュに戦いを挑んだ。
一方、氷河とカミュを探す水晶聖闘士もまたコロッセオへと辿り着くが、そこで彼が見たものはカミュによって打ち倒された氷河の姿であった。
凍気によって思う通りに動かない身体をどうにか氷壁へと預けた氷河は、目の前で相対する二人の師の姿を食い入るように見つめるていた。
「おれは、二人の戦いを、と、止められなかった……。せ、先生……」
二人の身体から立ち昇る小宇宙は、今まさに臨界を迎えようとしていた。
「――やはり一連の元凶は貴様か」
「|Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas?《ブラジルの一羽の蝶の羽ばたきが、テキサスで竜巻を引き起こすか?》
バタフライ効果というやつだな。
私の行動がそうだと言われれば、そうだと答えよう。違うと言われれば、違うと答えよう。
思想、行動、生き様。
大なり小なり、善きにしろ、悪しきにしろ。生きていれば、いや、死してなお、か。人は人に影響を与え続けるもの」
「……詭弁を」
「理屈だ、カミュ。
そもそも、こういった事は、お前の方がらしい分野だからな。
諸悪の根源、そこまでは言わぬが、お前は今の聖域を、教皇に対して何も感じないのか?
己の中でそうであると結論が出ている以上、事ここに至っては俺が、いや、私が何を言ったところでお前は納得するまい?
それでも、あえて言わせてもらうならば――」
――俺は私だ、カミュよ。
「アテナの聖闘士として、
そう口にした水晶聖闘士の表情は、その眼差しは、闘争の場には似つかわしくない程に穏やかなものであった。
対するカミュは、ほんの僅かにその眉をひそめると「……そうか」と呟き瞑目する。
十秒か、二十秒か。
静寂が辺りを包む。
氷河には二人の会話の意図することは分からない。
ただ、二人の間には余人には測り知れぬ繫がりのようなものが確かにあり、この静寂を妨げてはいけないという事だけは分かる。
「……変わらぬ、と。今もなお、お前はアテナの聖闘士であると。そう言うのだな、クヴァルツ。
ならば、もはや何も言うまい。お前の頑固さは知っている」
その静寂を先に破ったのはカミュ。
一つ息を吐くと、開かれた両の目が、その視線が、水晶聖闘士を射抜く。
その視線に憎悪は無い。
「祭壇星座の聖衣を身に纏おうとも、私はお前が水晶聖闘士である事を知っている。
なぜお前がその聖衣を身に纏っているのか。
だが、いかなる理由があろうとも、水晶聖闘士が聖域に対して反旗を翻したのは事実。
アテナの聖闘士として、このまま
既に教皇からも勅命は下されているのだ。
ならば、この手でお前を討つことこそが――」
第26話FE この手でお前を討つことこそが、このカミュのせめてもの慈悲よ
はい。そういう事で始まりました。
最強の一角、水瓶座の黄金聖闘士カミュさんとのバトルです。
解説席の俺氏、今の状況を一言。
俺氏、置いてけぼり過ぎて、この展開について行けないんですけど?
何と言うか。
うん、何と言うべきか。
お前らもっとちゃんと会話しろよ!!(憤怒)
お互い分かっているぞ、みたいな前提で話を進めていたでしょう?
なんかよく分からんが、なんかいい感じに和解しそうな流れになってたじゃん!?
「――この手でお前を討つことこそが、このカミュのせめてもの慈悲よ」
なんでそう変な方向にばかり思い切りがいいのよ!!
いや、確かに氷河をボコしてくれた件でカミュを一発ぶん殴ろうとは思ったけど!?
くそっ、なんて時代だ!
さすが王道の少年バトル漫画。殴り合わなきゃ始まらないってか?
力こそパワー。
暴力です。暴力は全てを解決するのです。
ッシャオラ!
やったらぁあ!!
正直、勝てる気はせん!
だが、負ける気もせん!
つまり、なんとかなるということだ!!(お目目ぐるぐる)
「ならば、私もこの拳で応えよう! 受けろカミュ! ダイヤモンドダスト!」
「ダイヤモンドダスト!」
極寒の凍気がカミュに迫る。
「やはり、そう来るか」
先に放たれたグランカリツォーという技に驚きはしたが、それでも互いの手の内は把握している。
水晶聖闘士が放ったのは、原子運動を低下させることで生み出された凍気を放出する、カミュの修めた氷の闘法における基本の技。
お互いが得意とする技だ。
基本の技ではあるが、熟練の者が放てばそれは十二分に必殺の拳となる。
「ダイヤモンドダスト」
カミュの放った凍気と水晶聖闘士の放った凍気がぶつかり合う。
聖域においては正規の聖闘士とは認められなかったが故に、その実力についてどこか下に見られることの多かった水晶聖闘士であるが、カミュは違う。
その実力を、その脅威を誰よりも正しく理解したうえで戦うのだ。
聖闘士の最高位たる黄金聖闘士は伊達ではない。
青銅聖闘士と白銀聖闘士との実力差以上に、黄金聖闘士とは特別なのだ。
それ故に、この結果は当然のものであった。
ぶつかり合う凍気と凍気。
拮抗したのは僅かに一瞬。
押し返したのはカミュ。
押し返されたのは水晶聖闘士。
「せ、先生ーーッ!!」
叫ぶ氷河の脳裏に浮かぶのは、氷と化して砕け散る水晶聖闘士の姿。
その予想は正しく――誤りでもあった。
氷河とカミュの知る水晶聖闘士のままであれば、そうであった。
しかし、今、彼らの前にいるのは――そうではない。
「何っ!?」
カミュの目が驚愕に見開かれる。
迫りくる凍気を前にして、水晶聖闘士が既に身構えていたのだ。
「まさか――」
水晶聖闘士とカミュの視線が交わる。
ニヤリと水晶聖闘士が笑みを浮かべたように見えた。
こうなる事は分かっていた、とも言いたげに。
「ダイヤモンドダストは誘い! お前の狙いはこの連撃か!!」
如何に黄金聖闘士とはいえ、人間である以上は何らかの行動を起こせば相応の隙は生まれてしまう。
その隙をつけるような者がいないだけだ。
ならば、その隙をつける者がいれば?
ギャラクシアンウォーズでは廬山昇龍覇を放った紫龍がその隙を星矢につかれて敗北している。
腰だめに構えられた水晶聖闘士の右拳には力が宿っていた。
振り上げられた拳が全てを呑み込む凍気の渦を生み出す。
ロシア語で冷たい竜巻を意味するその技は――
「ホーロドニースメルチ!!」
カミュが水晶聖闘士の力量を理解していたように、水晶聖闘士もまたカミュの力量は理解している。
それ故に、この結果は当然のものであった。
「クヴァルツ!? お前は――ぐぅッ――!?」
その日、多くの人がグラードコロッセオから天へと向かい、巨大な柱のような何かが立ち昇るのを見たという。
しかし、翌朝にはその痕跡の一切が認められなかったこともあり、数日もしないうちに人々の話題からは忘れ去られたのであった。
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水晶聖闘士の必殺の一撃が水瓶座の黄金聖闘士カミュに届いた。
そうさ。例え相手が黄金聖闘士であっても、悪の手先となったならばオレ達は負けるわけにはいかないんだ!
だけど、どうしたんだ?
水晶聖闘士の様子がおかしいぞ?
戦いは終わったんじゃなかったのか?
次回、聖闘士星矢
「煌めけ! 我が小宇宙よ! 水と氷の魔術師」
君は、小宇宙を感じた事があるか。
to be continued……?