聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition   作:水晶◆

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永遠ブルーからの例のテーマで古谷さんのナレーション


第4話 俺vs氷河&星矢 その3

 水晶聖闘士、なんて恐ろしい相手なんだ。

 本気を出したヤツの前には、オレの流星拳も、氷河のダイヤモンドダストさえもまるで通用しない。

 このままオレたちは負けてしまうのか。

 

 絶体絶命の危機に、氷河は決死の覚悟を決める。

 待てよ氷河、お前だけに良い恰好はさせないぜ。

 オレとお前で力を合わせて、絶対にヤツを倒すんだ。

 

 燃え上がる小宇宙が奇跡を起こす。

 

 そして、水晶聖闘士の口から語られる恐るべき真実とは。

 

 次回、聖闘士星矢。

 

「青銅聖闘士抹殺指令!」

 

 君は、小宇宙を感じた事があるか。

 

 

 

 

 

 第4話 「青銅聖闘士抹殺指令!」の裏で考える生存戦略

 

 

 

 

 

「だからこそ、オレがここで先生を止めると言っています! あなたに教えられた全てをもって!!」

 

 氷河のその宣言に応えるように、水晶聖闘士の射貫くような鋭い眼差しが二人に向けられる。

 水晶聖闘士の身体から立ち上る強大な小宇宙が圧力を伴って大気を、大地を震わせる。

 

「……良い気迫だ。だが、私を止めると言ったか? 私とお前の戦力差をまだ正しく理解できんのか? 理解した上での、それがお前の答えであるのならば――死ぬしかないな、氷河よ」

 

 覚悟を決めていた氷河でさえ、思わず後ずさりそうになる程の重圧。

 果たして氷河は、折れるものかと更に闘志を燃やす。

 

「だとしても――このまま、ただでやられるつもりはありません!」

 

 青と白。

 互いに向かい合い、己の小宇宙を高め合う師と弟子。

 

「待てよ氷河。お前ばかりに良い恰好はさせないぜ?」

 

 そこに、もう一つの白が加わる。

 星矢だ。

 星矢の手が氷河の肩を掴み、庇うように前に出た。

 

「星矢!? 何をしている、早くこの場から――」

 

「逃げろって? 悪いが逃げるってのは性に合わないんだ。それに、そんなことを許す相手かどうかは、氷河、お前の方がよく分かっているんじゃないのか?」

 

「それは――」

 

「それに、オレはまだ全てを出し切っちゃいない。オレは、オレの心の小宇宙が燃え続ける限り戦う! どこまでも前に進んでやるのさ!! やろうぜ氷河、オレとお前で!」

 

「フッ、そうだったな。星矢、お前は、昔から頑固者で――人の言うことを聞かない奴だったな」

 

「へっ、よく言うぜ。さあ、水晶聖闘士! 見ての通りで悪いが、二対一でやらせてもらうぜ!」

 

 

 

 二人のやり取りを黙って見ていた水晶聖闘士が――笑みを浮かべた。

 

「――そうだ、それで良い。先程お前が見せた覚悟は蛮勇に過ぎん。ならばこそ、一思いに葬ってやることが慈悲かとも思ったが……」

 

 それは、二人を嘲笑うようなものではなく、氷河のよく知る、親しみを、温かさを感じさせるものだった。

 

「……先生?」

 

 だが、それも一瞬の事。

 二人の前に立つ水晶聖闘士からの圧力は未だ衰えることはなく。

 

「勇気を得て私の前に立つのならば、私も相応の覚悟をもって相手をせねばなるまい。聖闘士として、な」

 

 そして、告げられた言葉の衝撃は、そんな思いを吹き飛ばす程のものであったのだから。

 

「この程度を乗り越えられないようであれば、例え一時この場を逃れられたとて、お前たちに未来は無いと言う事だ。聞け、氷河、そしてペガサスよ。聖域からの命を伝える」

 

 

 

 ――聖衣を与えられながら、地上の愛と平和を守る女神(アテナ)の聖闘士としての本分を忘れ、銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)等と言う戯れに現を抜かし私闘を繰り広げた。

 ――聖闘士の掟を破ったお前たち青銅聖闘士の称号と聖衣をアテナの名のもとにはく奪し――聖域の全てをもって葬るものとする。

 

 

 

 ―――

 ―――――…

 

 さて、どうにかここまで状況を持って来れたな。

 氷河が殿になるとか言い出した時にはどうしようかと焦ったが、ナイスだ星矢。

 いや、別にあそこで切り上げてもよかったんだが、あのままだと二人の成長には繋がらず、むしろ精神的には悪影響しか残さない事ぐらいは想像できる。

 我ながらまどろっこしい事をやっているなとは思うが、曰く有り気に重要な情報を小出しにしつつ、このまま“敵になった師匠が実は”的なムーブを貫こう。

 

「な、なんだよそれは!? そりゃあ確かに、オレが聖衣を授けられた時に教皇や魔鈴さんからもその辺りの注意はされたけど……だからって、俺たち全員を葬るって!?」

 

 星矢の言いたい事も分かる。葬る、ってのは確かに行き過ぎだとは思う。だが、私利私欲で好き勝手にやらかす聖闘士なんて、一般人からすれば自走式核弾頭みたいな物だからな?

 

 まあ、本命は聖域から十数年前に失われた射手座の黄金聖衣なワケだが。

 

 これ見よがしに行われる銀河戦争。

 世界有数の財団が今日まで隠し持っていて、しかも独自のルートで聖闘士を集めていた。

 答えを知っている俺はともかく、新教皇のアーレス様にとっては気が気ではないってとこなんだろう。色々と深読みもするわな。

 関係者全員を始末しようと考えるのも、分からなくもない。

 

「理由は今述べた通り。これは掟を破ったお前たちへの制裁なのだ」

 

 命を奪うことの是非はともかくとして、掟を破った聖闘士へ制裁を与えるってのは、聖域が動く理由としては真っ当なだけに、表立ってこの命令に異を唱える奴はいない。

 それだけに、この後に繰り広げられるであろう白銀聖闘士(シルバーセイント)との戦いは、星矢たちの成長を促したという意味では有用ではあったが、聖域としては真っ当な感性を持った多くの聖闘士をいたずらに消耗させただけなんだよな。

 

「制裁だと!? だったら! こんな訳の分からない物を作らせるために、多くの罪のない人々を攫って苦しめたお前たちは何なんだ!! それとも、これが聖域の、正義の行いだとでも言うつもりなのか!?」

 

 犠牲になるのを知っていて、防げた事を放って置くってのは、後味が悪すぎる。

 だからこそ、少しでもマシな方向に持って行く努力はするべきなんだろう。

 それが、結果的の俺の生存フラグに繋がると信じて。

 大丈夫なはずだ。

 何とでもなるはずだ。

 ……多分。

 なると、いいなぁ……。

 

 

 

 ――――――――

 ―――――

 ――…

 

「フッ、ペガサスよ。弱者が、敗者が、正義だの悪だのと語ったところで何の意味も無い。正義を語るのはいつの世も勝者のみ。私に正義を説いたければ、力をもって示すのだな!」

 

 そう言って振われた水晶聖闘士の拳が、オレと氷河の間に突き刺さる。

 咄嗟に飛び退いたオレと氷河だったが、おかげでヤツを挟み込む形となった。

 悔しいが、水晶聖闘士の言ったように、オレたちとヤツとの力の差は明白。小手先の技は通用しない。

 だったら、後先の事は考えない。最初っから全力全開でぶつかってやる!

 

「行くぞ! ペガサス――流星拳!!」

 

「大口を叩いておきながら、この期に及んでまだ流星拳に縋るか……」

 

 確かにそうだろうさ、何とでも言え。

 だけど、その余裕がいつまでも続くと思うなよ!

 お前の相手はオレだけじゃないんだぜ?

 

「ダイヤモンドダストーーッ!」

 

「むッ、氷河!」

 

 オレの拳は躱せても、氷河の拳が通じなくとも、この至近距離から放たれたダイヤモンドダストが生み出す凍気の波は躱せない。

 

「だが、この程度の凍気では、私の薄皮一枚を凍らせる程度に過ぎんぞ?」

 

 そうだろうさ。だけど、ほんの僅かでも……動きは止まる!

 

「おおおっ!! ペガサス流星拳ッ!!」

 

「くどいぞ、ペガサ――これは!? 私の足が凍り付いている!? まさか――ダイヤモンドダストは囮か!」

 

「凍結拳、あなたに教わった技です! いかに先生とは言え、360度全てを同時に対応することは出来ないようですね? 星矢の攻撃に集中するその一瞬、その時間が欲しかった!!」

 

 足を封じられては、さっきまでのようにオレの流星拳を躱すことは出来ない。

 ならば、きっと――

 

「回避を封じたところで、この防御壁を抜けねば意味はないぞ!」

 

 そう、フリージングウォールで防ぐしかない。

 これで、完全に水晶聖闘士の足は止まった。

 

 これは、賭けだった。

 防御ではなく、反撃を選択されていればそこで終わりだった。

 

 氷河は、よし、距離を取ったな。

 後は、オレがやって見せるだけだ。

 

「燃えろ、オレの小宇宙よ! 今こそ奇跡を起こせ!! ペガサス流星拳!!」

 

 短い間ではあったが、水晶聖闘士とのやり取りの中で幾つか気になったことがあった。

 そう、水晶聖闘士の行動や言動は――まるで、オレに指導をしていた魔鈴さんにそっくりだったんだ。

 思い出しても無茶苦茶なシゴキで、あの時のオレにはその意味がほとんど理解出来ていなかった。

 でも、そんなあの人の行動や言動の裏には、いつもオレを成長させるための何かが含まれていた事が今なら分かる。

 

 それがオレの勘違いであったのならば、オレたちはとっくに負けていたはずなんだ。

 そうなってはいない。

 つまりは――そういうことなんだ。

 

 理由は分からないし、本当はオレの思い過ごしなのかもしれない。

 

「な、何ッ!? フリージングウォールに亀裂が! これは、流星が一点に集まって――収束させているのか!?」

 

「水滴だって一か所に落ち続ければ、やがて石だって砕いて見せる! 水晶聖闘士! あなたの伝えてくれた通りに!!」

 

「フリージングウォールが――砕ける! お、おおおおおおおッ!?」

 

 やった!

 オレの拳が遂に鉄壁のフリージングウォールを打ち砕いた!!

 

「今だッ! やれ、氷河ーーッ!!」

 

 両手を組み、頭上へと掲げた氷河。

 あの構えから繰り出される一撃こそが、ダイヤモンドダストを超える白鳥星座(キグナス)氷河の必殺拳。

 空中へと吹き飛ばされた水晶聖闘士に、あの一撃を防ぐ術は無い!

 

「先生! あなたから教わった全てをこの一撃に!! オーロラサンダー――アターーーーック!!」

 

 振り下ろされた氷河の両の拳から、ダイヤモンドダストを超えた、嵐の如き凄まじい凍気が放たれ――

 

 ――見事だ、氷河。

 

 水晶聖闘士を飲み込んで行った。

 

 

 

 

 

「……勝った、のか?」

 

 激しすぎる消耗に、星矢は仰向けに倒れたまま、どこか呆けたように呟いた。

 

「お前だけでも、オレだけでも勝てなかっただろう」

 

 その横では、座り込んだ氷河もまた、疲労を隠せぬ様子で、しかし、はっきりと答えた。

 

「オレたちの勝ちだ、星矢」

 

「……そうか……」

 

「ああ……」

 

「……」

 

「……なあ、星矢。水晶聖闘士は……先生は、強かったか?」

 

「…………ニ度とごめんだね」

 

「……そうか……」

 

「ああ……」

 

 聖衣に重みを感じる程の消耗に、二人はそのまましばし無言で過ごした。

 

 

 

 やがて、どちらからともなく立ち上がった二人は、申し合わせたかのように後方のピラミッドを見つめる。

 

「聖域の秘密基地、ね。何の目的かも分からないが、ロクなもんじゃなさそうだ」

 

「少なくとも、多少の被害には目をつむってでも守りたい物らしいな」

 

 これまでどこに隠れていたのか、二人の視界には、こちらに向かってくる数十二人近い武装した集団が映っていた。

 先程戦った男たちとは違い、全員が皮鎧のようなプロテクターを身に纏った無手の集団である。

 その集団に見覚えはないが、その服装や身に纏う雰囲気を星矢はよく知っていた。

 

「あいつらは、聖域の雑兵たちだな。さて、どうする氷河? 向こうはやる気満々みたいだぜ?」

 

「先生の言っていたことが真実であれば、今更何を言ったところでオレたちの立場は変わらないだろう。それに、聖域自体このような非道を容認している時点で、何かがおかしいと見るべきだ」

 

「じゃあ、やるのか?」

 

「……いや、話だけでも聞いてみる価値はあるかもしれん。まあ、そうなった時はそうなった時だ」

 

 

 

 ―――

 ―――――…

 

「――貴様ら! そこを動くな!! ギガース様の命により貴様らを拘束する。おかしな真似はするなよ? 少しでも抵抗するそぶりを見せれば、聖域に叛意を示したとして処刑する!」

 

 これが、対話の姿勢を見せた氷河を無視しての一方的な言葉である。

 雑兵の中から進み出たリーダ格の男の宣言に、星矢は眉を顰め、氷河は静かに周囲を見渡していた。

 

 自分たちを二重三重に囲んだ彼らからは、聖闘士を前にしながら不可解な程の余裕が見て取れる。

 仮に、これが水晶聖闘士との戦いにより、こちらの消耗が激しいと見た上であるとするのならば、その考えは甘過ぎると言わざるを得ない。

 少なくとも、雑兵程度が何十人集まったところで、相手にもなりはしない。それ程の差があるのだ。

 

(だとすれば、こいつ等のこの余裕には理由があるはず。それは――)

 

 一体なんだと、氷河が思考の海に沈もうとした時であった。

 

「ま、どっちにしろ、お前たちが迎える結末に変わりはないんだろうがね」

 

 雑兵たちの中から、仮面で素顔を覆い隠し、聖衣を身に纏った一人の女聖闘士が姿を現した。

 その姿を見た星矢の反応は驚愕の一言に尽きる。

 

「――シャイナさん!? どうしてアンタがこんな所に? それに、その姿は!!」

 

「水晶聖闘士から聞いてないのかい? お前たち青銅聖闘士には抹殺命令が下ってるのさ。まあ、今となってはそんなことはどうでもいい。

 キグナス、アンタには用は無い。大人しくしているんならこの場は見逃してやってもいい。でもね、星矢。お前は別だ。聖域での決着をここでつけさせて貰うよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遂に水晶聖闘士を倒したオレ達。

 そこへ、聖域にいるはずのシャイナさんが雑兵たちを引き連れて現れた。

 水晶聖闘士の言っていた通り、聖域はオレたち青銅聖闘士を抹殺しようとしているのか?

 

 だとすれば、瞬や沙織お嬢さんたちも危ない!

 

 聖衣を身に纏って現れたシャイナさんの望みはオレとの決着を付ける事。

 止めてくれ、シャイナさん。オレはアンタとは戦いたくないんだ!

 

 追い詰められたオレたちを救ったのは、氷原を舞う青い輝き。

 見ろ氷河、お前の声が届いたんだ!

 

 次回、聖闘士星矢。

 

「白銀の戦い! シャイナ対水晶聖闘士」

 

 君は、小宇宙を感じた事があるか。

 

 

 

 

 

 to be continued……?

6話からのルートをアンケートしてみようかと思います。

  • TVアニメ版ルート(熱血漢祭り)
  • セインティアルート(俺つえー)
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