聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition 作:水晶◆
民意を反映し、セインティア反映ルートで行きます。
オープニングはペガサスファンタジー。
エンディングはThe Beautiful Braveで。
第7話 訪問前にはアポを取れ
「こういうのってさ、成金趣味ってわけじゃないだろうけど。まあ、金持ちの考える事、ってやつはだな?」
グラード財団により日本に向かう星矢と氷河、二人を乗せる為だけに貸し切られた旅客機の中。
居心地の悪さに辟易とした星矢が、隣に座る氷河へと話を向ける。
「オレみたいな小市民にはついて行けない、つーか、感覚がさ、分っかんないよな? こーんなでっかい飛行機をオレたちだけのために貸し切りだぜ?」
「…………」
対する氷河は腕を組み、じっと目を瞑ったまま答えない。
普段の星矢であれば、『おい氷河』と更に続けていたのであろうが、軽く息を吐くだけでその視線を窓の外へと向けた。
分かっていたからだ。
氷河が何を考え、何をしているのかを。
それは、今までとは異なる、新たな手法を用いての己の内に燃える小宇宙へのアプローチ。
(まあ、あんなもんを見せられちゃあな。氷河が目指すべき氷の闘法の一つの到達点――オーロラエクスキューション。
水晶聖闘士は後始末と言ってあのバカでかい氷のピラミッドを、同じ属性であるはずの凍気によって完全に破壊して見せた。
水晶聖闘士は「所詮は我が師の、友の真似事に過ぎん。私では到達することの叶わぬ頂よ。だが氷河よ、お前ならば辿り着けるはずだ」とか言っていたが……)
星矢は今、氷河から水面に広がる波紋のように、静かに広がる小宇宙を感じ取っていた。
それは、これまでの熱く、激しく燃え上がる小宇宙とは対極にあるようでいて、しかし、感じられる力の密度に遜色は無いようにも感じられる。
(今までのオレたちのやり方は、ロウソクの炎が消えるその瞬間に一際大きく燃え上がる事と同じ。その先には終わりしかない、か)
これまでの戦いの中で、燃え上がる闘志に、感情に任せるようにして高めていた小宇宙。
それは、確かに爆発的な力を生み、幾度となく星矢たちに訪れた危機を乗り越える切っ掛けとなっていた。
しかし、同時にそれは、限界を超える事により自身に多大な負荷を与える事と同意でもあった。
その結果の一つが、先の戦いでの敗北である。
水晶聖闘士との戦いで限界まで高めた小宇宙。それによりその場では勝利を得たが、その反動によって直後のシャイナやアラクネとの戦いにおいて精彩を欠いたのもまた事実。
(あの時は、ああするしかなかった。全力を出し、さらにその上を行かなければオレたちは水晶聖闘士には勝てなかった。
まあ、そう思っていたのはオレたちだけで、実際のところは水晶聖闘士の掌の上だったわけだが)
アラクネとの戦いで見せた水晶聖闘士の実力。あれを見せられて、自分たちが水晶聖闘士に勝ったなどと言えるはずもなく。
聖域からの制裁を体にした、ある種の試しであったのだと今なら理解出来る。
(水晶聖闘士は言っていた。オレたちのやり方は間違いではない、と。しかし、それだけでは足りない、とも)
足りない。
自分に足りていないものなど幾らでもある。
だが、そういう事を言っているのではない、とも分かっていた。
「……それが分かった時、オレたちは今よりも遥かに強くなれる、か」
呟き、再び星矢は窓の外を見た。
青々と広がる空の下では、しかし、邪悪な意思によって自分たちの想像もつかないような何かが起ころうとしているのだという。
「到着まであと1時間ぐらい、か。皆、無事だといいが」
もともと、星矢は深く考えるよりも先に行動に移すタイプの人間である。
良くない何かが起こると言われ、その上でただこうして座る事しかできないこの時間がもどかしく。
「――休める時に休むのも必要な事か」
何も出来ない。ならば、何か出来る時までは寝ておくかと、星矢は椅子に深く身を沈めた。
思いの外、身体は休息を求めていたのか、数分も掛けずに睡魔に身を委ねる事となる。
闇へと意識が落ちる中、ふと別れの際に水晶聖闘士から告げられた言葉が星矢の脳裏に浮かんだ。
『――城戸沙織を守れ』
約束一つ守ろうとしなかった
今は成り行きで行動を共にしているだけで、それもこの騒ぎが終わるまで。
まあ、多少は態度を軟化させ始めている今のお嬢さんが、どうしても、と言うなら考えてやるのもやぶさかではないが。
どうなるにせよ、全てが終われば、グラード財団の手助けなど求めず己自身で行方不明になった姉を探すのだと、そう星矢は考えていた。
己に足りない何か。
星矢がそれを見出すには、まだしばらくの時間を必要としていた。
第7話 新章開幕の際には説明回を挟むのがお約束な生存戦略
さて、聖衣箱を背負って遠路はるばるやって来ました。
ヒマラヤ山脈は中国とチベットの境にある魔境――ジャミールでございます。多分。
そんな地名は無い? 地図にも載ってない?
秘境だからね。仕方ないね。
実際、俺もどうやって来たのか分かりません。
水晶聖闘士の――もう先生でいいか、先生のファストトラベル設定をONにして来たからね。
具体的に言うとテレポート。
はい、いわゆる超能力です。それはムウの特技でしょって?
超能力を戦闘レベルで使用できないだけで、日常レベルでは出力の強弱や能力の差異もあるけど、おそらく白銀レベルにある聖闘士は大体使えます。
ソースは先生ペディア。
都合よく白銀聖闘士の刺客が現れたり、一輝が現れたりするのも多分これ。
そもそも、聖闘士の根幹とも言える小宇宙が五感を超えた第六感、さらにその先の第七感やらに関する以上、不思議でも何でもないのだ。
まあ、そんな中でも、戦闘レベルで行使できる者は極僅かなので、ムウの専売特許と言っても間違いではない。さすがの先生も、ガチでやり合っている最中に使えないのは確認済み。
ん、アラクネ君?
奴は置いてきた。ここから先の戦いには着いて行けないからな。
まあ、半分は冗談だが。
かなり威力を抑えていたとはいえ、ダイヤモンドダスト・レイのダメージは相当なモノだったらしく、タランチュラの白銀聖衣は全損。本人もしばらくは安静にする必要がある。
シャイナが連れてきた雑兵たちも、さすが鍛えられているというべきか、命に別状はなかった。
彼らを回収した俺は、コホーツク村の人々に頭を下げて、彼らの事を任せてきたわけである。
なお、アラクネ君たちに真摯にお願いをすると、皆があの地の安全を守ることを進んで誓ってくれた。そこには何の圧も無かった、イイね?
それにしても、あの村の人たち善性の化身か? 特にヤコフ少年。
先生に対して、正気ではないのは分かっていたからと、まさかすんなりと受け入れられるとは思わなかった。
あの時のやり取りはあえて割愛するが、少なくとも彼らの事は、あの村の平和は、俺としても本気で守らなければと思ったわけで。
そうなると、アテナの聖闘士として戦うことが、その目的を達する事にも繋がるわけだ。
この時に、オレと先生の意識はかなり混ざり合った、と言うか同じ目的を達するために最適化されたと言うべきか。
潜在的な小宇宙の高まりや水晶の光の側面など、戦闘能力は飛躍的に上昇しているが、先生と称して水晶聖闘士を意識しないと、どうも俺の我が強く出過ぎる様になってしまった。
これは、日常生活を送る一般人ならともかく、戦う人である聖闘士としてはどうなんだろうな、と思わなくもないが。
話を戻して、先生のテレポート能力解禁。
これで行動範囲が一気に広がるぜ、と思ったが。ファストトラベルと表現したように、どこでも自由にとはいかない。行先にはかなり制限がある。
実際にそこに行ったことがあるのは大前提、それに加えてその場所について詳細に思い浮かべられる事も条件の一つ。
なので、一度行ったことがあるからと言っても、詳しく思い浮かべられなければ駄目である以上、先生ではなく主体の俺が使おうとすると――分かるね?
で、多分ジャミールと表現したのがまさにそこ。
アニメや原作で見たことのある景色だから、多分ジャミールで合っていると思う、ぐらいの精度だったりする。
こうなると怖くてテレポートを乱用しようとは思えなくなる。石の中にいる――とはなりたくない。
『どうした小僧――小僧? ……まあ、我らからすると大概誰でも小僧だな――小僧よ!』
『……ここから先はムウ様のゾーン』
『命が惜しくば帰れ』
……。
…………。
いい加減、現実を見ようか。
目の前を飛び交う、砕けた聖衣を身に纏った白骨――かつての聖闘士(?)たち。いや、これはもう見た目から何から悪霊じゃね?――の亡霊による警告。
つまり、ムウの館にかなり近づいているって事の証明でもある。
『ほう、どうしてもこの先に進むと? だが、ただで通すわけにはいかんぞ!』
この先の展開を知る身としては、これって実は善意なのかも、そうかな、そうかもって思えるのだが。
ひょっとして紫龍相手の試験の一つであって、俺にはこういうイベントはないかも、と多少は期待していたんだけどな。
でも、これで一つハッキリしたが、やはり先生とムウの面識は無い。
俺が混じっている事を考えると、むしろ面識がない方が良いか。
『お前に壊れた聖衣を修復してまで再び身に纏う価値があるのか!?』
『我らを相手にその力を示してみせよ!!』
さあ、向こうはやる気だが、こっちはどうするか。
答えの分かっている問題だからな。無視して直進する、いっそ飛び越えるって塩対応するのもありっちゃありだが。
『さあ――大人しく我らの仲間となるがよい』
おい、ガチの悪霊が混じってるじゃねーか。
黒いオーラを発している奴がいるんですけど?
フッ、よかろう。
こうなれば新たな力に覚醒した俺の、寺生まれのTさんに勝るとも劣らない水晶の光を、破邪の力を見せてやる。
汝の正体見たり!
消えろ悪霊!!
くらえ! ダイヤの神ダイ○モンド・アイ直伝の新必殺技――
ちなみにシャイニングフィ○ガーのモーションで相手に光線を放出している感じよ?
……眼からビームじゃないからな?
『ウウー、あ、ああぁあ……お、お母様……おゆるし――』
……。
…………。
え、ちょ、何?
何、その消え方!?
そこは『温かい』、とか『おお、ありがとう』みたいにさ、綺麗に消えるところじゃないの?
他の皆さんは満足げに――骨だから表情は分からんけど、綺麗に消えて逝かれたのに!?
これ何かのフラグになってない?
いや、気にし過ぎ、か。
何でもかんでもフラグフラグって、自意識過剰が過ぎるな。
さて、では気を取り直して。
障害も消えたことだし、いざムウの館に向かいますか!
さあ、この水晶聖衣が修復されたらどうなるのかが楽しみだ。
あ、でも素直に直してもらえるのか?
それ以前に、聖衣が死んでいたらどうしよう?
星矢や紫龍は修復された聖衣から命の息吹を感じるとか言っていたが、俺は水晶聖衣を身に纏っていた時からそんなモノを感じた事はなかったりする。
これは先生も同じ。水晶聖衣からそんな感覚を覚えた記憶はない。
星座の導きに因らない、位階に属さない特殊な聖衣だから?
実は、限りなく聖衣と同等のプロテクターでしかない、とか?
……あり得るな。
多くの星座が生き物や、人が作った道具など、いわゆる魂が込められたと表現できるモノがモチーフになっている中で、こっちは水晶だもんな。
いや、星座の中にもエリダヌス座やテーブル山座とか自然を表したモノもある。ワンチャン!
分からないからこそ面白いって言葉もある!
男は度胸! 何でもやってみるものさ!!
眼前には、切り立った崖の先にそびえ立つ入り口の無い五重の塔もどき。ムウ様の館でございます。
俺がここで暮らせと言われたら、言ってきた奴をぶん殴るね。
それでは、一旦深呼吸をして――いざ、突撃。
たのもう! この聖衣の修復をお願いしたいッ!!
留守でした。
アポ取りって大切ですね。
じゃねーよ!?
これどうすんの?
私ってば、勢いに任せてピラミッドをぶっ壊し、聖域――っつーか教皇に喧嘩売っちゃっているんですけど!?
何? これからは壊れた聖衣でやり合えと?
そりゃ、紫龍みたいに聖衣が無くなってから本番、生身が本気、みたいな奴もいるけど……先生はそーゆーキャラじゃありませんのよ!!
あーーもーーーーっ!!
こんな事なら、あの時まともに星矢たちの攻撃を受けるんじゃなかった!!
俺の馬鹿ッ!!
やれるのか?
やったらぁ!!
それは、処女神アテナの身辺の世話をするため「女子」のまま
自分の身代わりとなり邪神エリスの依り代となった姉、響子を救うために聖闘少女を目指す翔子。
姉の意思を受け継ぎ、
中央ヨーロッパのスイス、アルプス地方。
そこには、グラード財団により設立された“
表向きには、世界中より選抜された次代を担うべき優秀な特待生たちによる全寮制の教育機関。
しかし、その真の姿は女神アテナに仕える聖闘少女を目指す少女たちが厳しく学び競い合う実務訓練所であった。
そこに、大いなる闇の悪意と、聖域から強大過ぎる刺客が迫りつつある事を、この時の誰もが知る由もなかった。
次回、聖闘士星矢~
「蠢く悪意」
ご期待ください。
to be continued……?
6話からのルートをアンケートしてみようかと思います。
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TVアニメ版ルート(熱血漢祭り)
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セインティアルート(俺つえー)