聖闘士星矢~クリスタルエレジー~Final Edition   作:水晶◆

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ペガサスファンタジーからの例の音楽と田中さんのナレーション


第8話 フォースを操りそうな老人に会いに行く

 今より十三年前、聖域より失われた射手座の黄金聖衣。

 銀河戦争により、それがグラード財団によって確保されていた事を突き止めた参謀長ギガースは、教皇アーレスの命によってその奪取に動いていた。

 次々と送られてくる刺客たちを前に、星矢たちは苦戦を強いられながらもこれを撃破していく。

 

 度重なる失敗に、己の地位が失われる事を危惧していたギガースのもとに最悪の情報が届く。

 水晶聖闘士の宣戦布告とも言えるメッセージを受け激怒した教皇が、ギガースの部下であったパエトンにその抹殺に関する全権を与えたというのだ。

 

 あとが無いと察したギガースは、邪魔者の星矢や紫龍、氷河が日本にいない事を知ると、配下の炎熱聖闘士たちを連れて自ら日本へと向かう。

 しかし、グラード財団の中枢とも言える城戸邸はもぬけの空であり、手掛かりを失ったギガースは姿を隠した沙織たちを誘き出すために、炎熱聖闘士に命じて城戸邸を破壊する。

 義憤に駆られ誘き出された沙織の付き人――辰巳を捕らえたギガースは、隠れ家である山荘の場所を突き止めると襲撃を仕掛けた。

 

 雑兵たちを倒したものの、炎熱聖闘士の操る炎の前に苦戦を強いられる瞬。

 炎熱聖闘士の必殺技ファイヤースクリューによって炎の中に飲み込まれ倒れてしまう。

 瞬の命を救うため、沙織はギガースに黄金聖衣のマスクを渡すことを決意する。

 

 その時、瞬を包み込んだ炎が更なる業火によって吹き飛ばされた。

 炎を纏い現れたのは死んだはずの一輝。

 蘇った一輝は炎熱聖闘士を圧倒し、フェニックス幻魔拳の一撃によって倒すのであった。

 

 

 

 

 

 

 世界一周ダーツの旅ー!

 どんどんどん、ぱふぱふぱふー。

 

 ジャミール、カリブときて、次はどこかなー?

 ダーツを投げてー、ソーレ!!

 

 ココッ!!

 

 五老峰!

 

 

 

 ……空しい。

 

 駄目だな。

 無理やりテンション上げようとしたけど駄目だわ。

 何だろうな、数量限定の商品を買うために並んでいたら目の前で売り切れた、みたいなこのガッカリ感。

 ムウ様まさかの留守だったもんな。新生聖衣、期待してたんだけどな。

 

 まあ、霞食って生きているわけじゃないし、あんな辺鄙な所に四六時中は居られんわな。

 そういえば、一輝と戦った後の星矢たちを助けるために日本に行っていたか。

 崩れ落ちる風穴から星矢たちをテレポーテーションで救ったんだったか。

 

 いや、ドクラテスたちの襲撃があった以上、そっちのセンは無いな。

 確か、ムウではなく貴鬼が色々なサポート役になっていたはずだ。

 なら、ジャミールで待っているのも一つの手ではあったか?

 いっそ今から、星矢たちにくっ付いて動く事にするか?

 

 いや、それじゃあリスク覚悟で教皇を煽った意味が無くなる。

 恐らく、本来星矢たちに向けられていた白銀聖闘士の刺客、その内の何人かはこっちに回されるはずだ。

 全力でぶつかる必要のある星矢たちとは違い、俺の方なら多少は手加減する余裕がある。

 正直、ペルセウス星座のアルゴルか、琴座のオルフェ以外なら何とでもなる。

 これは予想ではなく事実だ。

 

 けどなぁ。

 それだと世界各地で起きているアーレスの手下による事件が止められないんだよな。

 描写されているだけでもタンカー爆破とか、政府要人を暗殺して紛争を助長するとか、かなりエグイ事もやっている。

 あれ、多分マッチポンプかます気なんだろう。

 困っている所に救いの手を差し伸べて、って具合に。

 

 裏を気取らせずに手を差し伸べているところしか見せないから、教皇の判断は常に正義に見えるワケだ。

 誰か気付けよ、とは思うが……それを気取らせないからこそ、十数年も正体を隠し通せたんだろうけどな。

 

 いっそ聖域に乗り込んで暴露大会でも開いてやるか?

 

 駄目だな。

 いくら先生でも、教皇と比べればどっちを信じるかなんて論ずるまでもない。

 カミュ辺りならワンチャンあるか?

 頭がおかしくなったか、邪悪の手先扱いされてボコられて終わりだ。

 

 悩ましいな。

 何が起こるかの予想は付くが、それがいつどこで起こるかがハッキリしない。

 移動時間についてはテレポートを駆使すれば多少の差異はどうにかなるが、事が起きるまでそこで待機、とはいかないからな。

 

 

 

 まあ、海の件はこっちも対策を取らせてもらったが!

 嫌がらせ程度かもしれないが、何もやらないよりはマシだ。

 少なくとも、ただの雑兵崩れじゃあアイツ等の相手にはならないだろう。それに、一度は襲う側に回っていた連中だ。相手の手の内を理解しているのはデカいからな。

 名誉挽回の機会に、アイツらも震えて喜んでいたからな。きっと大丈夫だろう。

 

 陸の件については、彼らがいれば任せられるんだが……どうだろうな?

 それを確認するためにも、早目に日本に行くべきか。

 星矢や氷河の証言があれば、間違いなく受け入れられはするだろうし。

 

 ……いかん、な。

 

 どうにも考える事が多くて、思考が纏まらない。

 フリーシナリオタイプのゲームのあるあるだな。

 序盤から出来る事が多すぎるとシナリオを先に進められない、ってのは。

 

 ……。

 

 …………。

 

 下手の考え休むに似たり、とも言うしな。

 

 ――ここは初志貫徹。

 俺の華麗なる生存戦略のためにも、先ずは確かな後ろ盾アンド有力なコネをゲットすべし!

 

 という事で、いざ行かん――老師の下へ!!

 やはり、頼るべきは先人の知恵よ?

 

 

 

 

 

 第8話 思い通りにならないのが人生だなんて分かりたくない生存戦略

 

 

 

 

 

 五老峰の大滝を前に、聖域から老師と呼ばれる笠を被った小柄な翁――童虎は、今日も変わらず坐している。

 ある者は、あの翁は十年近くあの場所で坐しているのだ、と言い。

 またある者は、あの翁は自分の祖父の代からあの場所に坐しているのだ、と言う。

 なぜ、そこに坐しているのか。

 誰もその理由を知らず、問われた童虎もそれを語る事は無い。

 龍星座(ドラゴン)の青銅聖闘士、紫龍の師であり、善悪をはかる要たる天秤座(ライブラ)の黄金聖闘士にして、二百数十年前に起こった聖戦の生き残り。

 

 いつ、どこで、誰が見ても、彼の姿はいつも変わらずそこにある。

 

 

 

 ――――――――

 ―――――

 ――…

 

 童虎には一人の養女がいる。その少女の名は春麗。

 みなしごであった彼女は童虎に拾われ、幼き頃に日本から聖闘士となるべくこの五老峰に送り込まれた紫龍と共に、慈愛をもって育てられてきた。

 血の繋がりこそないが、この三人には確かな絆があった。

 

 そんな春麗が、紫龍に対して淡い恋心を抱いている事を、紫龍も春麗に何かしら思うところがある事を童虎は見抜いており、常より二人には幸福な人生を歩ませたいと思っていた。

 しかし、紫龍がこの時代に聖闘士として生きる以上、それが何よりも難しい事を誰よりも知るが故に、童虎は苦悩している。

 聖闘士としての使命と、人としての幸福を求める事。

 力無き人々に代わり、地上の愛と平和を守るために戦うのが聖闘士。

 ならば、どちらを優先すべきかは明白。

 今も、こうして邪悪の手掛かりを得るべく自分のもとを訪ねてきた紫龍に対し、今すぐ告げるべきは邪悪の正体について。

 

 そう、童虎には紫龍の求める邪悪の手掛かりに心当たりがある。

 

 だからこそ、童虎は紫龍に告げる。

 

「紫龍よ、焦りは禁物よ。急いた気持ちのままでは正しき判断など下せはせぬぞ。お主がまず行うべきは、そこにいる春麗にこの地に戻った事を伝える事からであろう?」

 

 たとえ僅かな時であろうとも。

 せめて、この老いぼれの目が届く内は、何気ない日常の時間を二人で過ごさせてやるのだ、と。

 

 

 

 麓の庵へと向かう二人の背中を眺めていた童虎。

 その眉が、ピクリと動く。

 いつ、いかなる手段を用いてか、小柄な童虎の身体を頭上からの人影が覆っていた。

 

 背後に立つ者と、童虎の間にしばし無言の時が流れる。

 

 すると、童虎は口元を覆う真っ白な髭を撫でながら、好々爺然とした笑みを浮かべた。

 

「ホッホッホ。久しぶりじゃのう、実に十数年ぶりか。息災であったかのう?」

 

「フッ、この身をして息災と言うのであれば、この世に生きる全ての者は病にあると言えるのでしょうな。しかし、老師もお変わりないようで」

 

 そう言って人影が応えた。

 黒い男であった。

 全身を覆う聖衣は髑髏を模しており、その縁と大腿部は黄金で装飾されている。

 フルフェイスタイプのマスクによりその表情を窺うことは出来ない。

 

「心のどこかではのう? 間違いではないのか、と思っておったよ。そんな事ありはせんと言うのに。よもや、このような形でお主と再会することになるとは思わなんだわい。のう――アーレスよ」

 

「……その名はもはや私のモノではありません。今の私は――シャドウクロス。我が神エリスに忠誠を誓いし邪霊士(ゴースト)のシャドウクロス!!」

 

 その言葉に、童虎の顔から笑みが消えた。

 鋭い眼差しで、古き友人を見据える。

 

 アーレス。

 それは、聖域を支配する現教皇の名であり、前教皇シオンの末弟の名とされている。

 しかし、真実を知る者にとっては違う。

 前教皇シオンは童虎と共に、前聖戦を戦った黄金聖闘士であり二百歳を超える老人でもあった。そして、シオンに血の繋がった家族は存在しない。

 当人たち以外にその事を知る者は、今やシオンの弟子であるムウのみ。

 では、アーレスとは何者か。

 それは、シオンと血を同じくする一族の末裔であり、老齢に至ってなお教皇として立っていたシオンを、対外的には弟として陰日向にサポートしていた男であったのだ。

 その誠実な人柄と、確かな実力から聖域での信頼も厚く、決して前教皇の弟であるという理由だけで教皇として選ばれた人物ではないのだ。

 

「エリスに邪霊士(ゴースト)じゃと!? アーレス、お主程の男が惑わされおったのか!?」

 

「あの男の手によって死を迎えた私は、大いなる我が神(エリス)の力によって再び生を得た!! 老師よ、二百数十年の時を生きるあなたには分かるまい! あの死の国の魂すら凍えさせる冷たさを! 暗黒よりも暗き漆黒の闇を!! あの恐怖を知れば、誰もが二度と戻りたいなどと思うはずがない!! この光を失いたいなどと思うはずがないッ!!」

 

「歪んだかアーレスッ!!」

 

「我が神の完全なる復活のために、私が知る限り最大の障害と成り得るあなたには――死んで頂く! 次はムウ。そして私の命を奪い、シオン様を殺したあの男を――私が殺す!!」

 

 

 

 ―――

 ―――――…

 

 何アレ。

 いや、あのフォースを操りそうなヨ○ダみたいな小柄な爺さんが老師だってことは分かる。

 あれを間違える奴はいないだろう。いたら眼科をお勧めする。

 

 で、何、あの黒いの。

 え、老師の知り合い?

 何、今老師「アーレス」って言った?

 

 ……。

 

 …………ああ、阿令須さんね。中国の人ね。

 

 な わ け あ る か !!

 

 ちょ、マ!?

 ホントにアーレスさん!?

 サガに殺されたアーレスさん!?

 

 なんで生き返ってるの!?

 は?

 エリス? 

 邪霊士(ゴースト)のシャドウクロス?

 ああ、なんか気配が真っ黒ですもの。

 名は体を表すと言いますが、お似合いの良い名前だと思いますよ?

 

 ……。

 

 …………。

 

 なんじゃそりゃあ!!

 

 ヤバいヤバいヤバいヤバい!!

 

 想定外にも過ぎるぞ!?

 何、あの二人の空気、もう最終決戦じゃん! 最終回直前のノリだよ!?

 

 いや、さすがに老師が負けるとは思わないが――あの身体で戦えるのか?

 戦えるだろうけど、戦える事を聖域に知られる事がまずい。

 少なくとも、まともには戦えないと思われているからこそ、現教皇――アーレスに成り代わったサガ――も、老師への対応を後回しにしていたはず。

 これが、実は今にでも自分の邪魔を出来る相手だと知ってしまえば、あの手この手で言いくるめて黄金聖闘士を出してくるだろう。

 アテナのため、正義のためと信じて、下手をすると死ぬ気で向かってくる相手に対し、騙されている事を知っている老師がどこまで全力で応じる事が出来るのか。

 

 ……無理だろ?

 

 となれば、取れる手段は限られるわけだ。

 

 何か、シベリアでも同じ事をしようとしていたような?

 

 まあ、いい。

 

 兎にも角にも――今は目先の問題に集中しようか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紫龍の師匠である五老峰の老師のもとに、謎の敵シャドウクロスが現れた。

 奴は自分たちの障害となる老師を殺すと宣言する。

 どういうことですか老師! その男が本物のアーレスだと言うのなら、聖域にいる教皇は一体何者なんだ!?

 

 そこに、東シベリアで別れた水晶聖闘士が現れ、老師に代わってシャドウクロスに戦いを挑む。

 水晶聖闘士の輝きは、シャドウクロスの闇を打ち払えるのか!?

 

 次回、聖闘士星矢

 

「さらば友よ! 敵は聖域にあり」

 

 君は、小宇宙を感じた事があるか。

 

 

 

 

 

 to be continued……?

ちょっとしたアンケートです。デスマスクは…の続き。上から64、13、47

  • マンモスあわれなヤツと言う、原作色強め
  • 冷酷、残忍な、セインティア色強め
  • エピソードゼロな、ND色強め
  • まさかの…
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