五条の悟じゃない五条な呪術師   作:何処でも行方不明

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術式開示

()たちはこの手で呪いを祓うのが大好きだ

 

            それは()たちがいた世界とはかけ放たれた夜の中で行われる最高の《命を懸けた生存競争》だからだ

小さい頃からよくものを無くした。

ペンや消しゴム

挙句の果てについさっき握った判子ですらも。

 

でもそれが才能だった。

 

モノを取り込む呪い

 

それが僕という生物に刻まれたたった一つの呪いだった。

 

 

 

 

 

 

 

「五条君!起きてください!」

「…………」

 

寝苦しい環境で目隠しをして充電してた僕を叩き起こす。

それは今年の四月から京都府立呪術高等専門学校で勉を取ることになった……

 

「だれきみ……わざわざイヤマフ外してまで起こそうとするのやめてくれない?……もしかして僕のこと好きなの?」

 

欠伸を嚙み殺してからそういう。

 

三輪(みわ)(カスミ)です!」

「あー……そういえばそんな名前だった気がする……コーキチどこいったかわかる?」

「コーチキ…?」

「あー……」

 

頭を掻き、なんて名乗ってたか思い出す。

たしか昔一緒に見たアニメの……

 

「メカ丸だ。あいつふざけた名前名乗りやがって……」

 

イヤマフと目隠しを体に収納し身体を柔軟体操でほぐし始める。

 

「メカ丸は今日はいませんよ?」

「仕事ってわけか……ぜ……じゃなかった。真依さんも?」

「というかですね!?」

 

そこで三輪さんが声を荒げる。

 

「私たち呪霊に食べられてるんですよ!?あの二人がいないのも別所で実技だからですよ!?」

「うーん……?」

 

寝苦しいわけだ……

 

「あれ?ついてから起こしてって言った気するけど」

「寝ぼけて歩いて大丈夫連呼してたのは五条くんですよ!?」

「充電完了してなかったのかな……」

 

グルリと辺りを見渡す。

薄気味悪くドクンドクンとまるで血が通ってるように脈動する空間にいる。

 

「三輪さん術式あれだっけ。簡易領域だっけ。オートカウンター的な」

「まあ大体はそうですけど……」

 

ふむ、と考える。

 

「内側からぶった斬りで脱出できない?」

「私四級なんですけど!?」

「そうだった」

 

だからこそこうして二級の僕と組まされてるんだった。

 

「じゃあ今から起動ってところかな……」

 

僕の中にあるものに意識を向ける。

 

物具穀倉(モノノグコクサ)

生来、僕の体に刻まれた術式(呪い)

無機物を取り込むことができるだけの陳腐な呪い

だけど、僕の中から取り出したモノはその役割……ナイフで言うなら《切る》力を強化することができたりもする。

 

(今あるのモノで腹を裂くっていうなら……これでしょ)

 

僕が手のひらから取り出したのは医療行為に用いられるメス。

これに僕の呪力を乗せて、腹を斬る役割を強化させる。

 

「よいしょっと」

 

力を入れず呪霊の腹を斬る。

スパッという音が聞こえそうなほどよく斬れた。

けど、メスは基本的に一回限り。

二回目は新品を用意しないといけない。

 

「……ってこれ15番じゃん」

「15番……?」

「手術で大まかに言えば小さくて浅い皮膚組織を斬るのに使われるやつ。なんでこんなの入れたかなぁ」

 

そう、元々の役割を強化する術式なだけあって。役割や適性を間違えるとその効果は大きく激減する。

そのせいで表面を切るのは成功したけど、腹に穴を開ける程の損害は与えられなかった。

……ああ、そうだ。せっかくバイポーラ買ったからって理由で色んなメスを入れたんだった。

 

「ま、いいか。時代はやっぱり最先端(ハイテク)だよね……モノポーラ初めから使って……ああ、だめか。電極取り付けないとだし」

「ものぽーら……?」

「一般的には電気メスってやつ。電極板でメス先から放った高周波電流を吸収して切開するのが本来の使い方だから、それを違えると僕の術式だとうまく使いこなせないんだよね」

「な、なるほど?」

「うーむ、そうなるとやっぱり……これかな」

 

手のひらから刀の柄を取り出し、一気に引き抜く。

僕が所有する数少ない呪具。

 

「さて、ぱっと出て昼マックと行こうか」

 

刀身からバチバチと不規則な雷を迸らせる刀

銘は【千鳥】

雷を切ったとされる逸話を呪いとして打ち直した呪具だ。

 

「あ、そうだ。その靴ゴム底?」

「はい?」

「術式の効果で増幅した帯電で電気を纏わしてそこをモノポーラで切断する。用法を守れば僕の術式はその役割に大きな支援効果(バフ)を与える。まあ、帯電させたら三輪さんピクピクって感電するだろうし」

「なるほど。だからゴムで電気を遮断しようとしたんですね」

「そゆこと」

 

まあ、革靴がゴム底でできてるわけないと思うけど

リクルートスーツみたいな格好してるし……ゴム手袋とかも多分持ってない。

 

「となると……三輪さん先に謝っとく、ごめんなさい」

「ちょ!?」

 

そういうと俵を担ぐように三輪さんを持ち上げる。

 

「女の子って軽いや」

「そうじゃなくですね!?」

「ちゃんと捕まっとかないと知らないよ?」

 

呪力を流し千鳥の電気をさらに増幅させる。

 

「ひぃ!?」

 

バチバチと途方もない電圧で押し出される電流が人為的に引き起こされた電位差を走る。

そうして引き起こされた電力はモノポーラ性能を規定されている状態をはるかに凌駕している。

 

過負荷適合(オーバードーズ)ってね」

 

千鳥で切り払い、強引に呪霊の外に電気の塊を通し……条件を満たす

モノポーラを薙ぐだけで……

呪霊は内側から切開され、その身を灰に変えた。

 

「これが御三家の……」

「三輪さん無事そうだね。安心した」

「おかげさまで……」

 

三輪さんを地面におろし……

ガクンと僕の膝が崩れ落ちる

 

「五条くん!?」

 

理由は簡単

 

「やっぱ神経バグるよねー…………」

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