「流石に理不尽過ぎるやろ……」
「オリビエの野郎……なんちゃって皇子のくせに……」
「あはは……じゃあ次いくわよ?」
オリビエ襲来に不満タラタラの男性陣であったが、気を取り直してエステルが二つ目のボタンを押してみる
すると、天上から何かが降りてきた
「え?何 ?」
「スクリーン……映像かな?」
「あ、映ったの」
映し出されたのは、導力車が雨の中を走っている映像だった
「?何よこれ。普通に車が走っているだけよね?」
「ミスで映し違えたんじゃねぇか?」
そう言いながらも映像が終わらないので普通に見続ける6人
そして、それから一分ほどすると、突然導力車の前に一人の男性が両手を広げて飛び出してきた……ミュラーだ
「ちょ!?」
「ミュラーさん!?」
しかし間一髪、ギリギリで導力車が止まる
そして突然アップで映し出されたミュラーはキリッとした顔で……
「僕は死にましぇ~~~~~ん!!」
『全員アウトー』
「「これ反則だろぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
「こっちにもこのドラマあるのぉぉ!?」
「こんな物語読んだことあるぅぅぅぅ!!」
「ミュラーさんのキャラじゃないぃぃぃぃ!!」
開始から約二時間。すでにお尻がヒリヒリし始めた6人だった
ーーーーーーーー
「……で?この鍵どうするの?」
「どうするって……開けるしかないよ高町さん。開けなかったら多分朝御飯抜きになるし」
「じゃああたしのヤツからいくわよ」
緊張した面持ちでエステルがリクの引き出しに鍵を差し込むと、カチャリという音と共に引き出しが開いた
その中には……
「ハンドベル?」
「みたいだね……じゃあ僕も開けるよ?」
ヨシュアもエステルに続いて引き出しを開けると、これまた同じようなベルが出てきた
「……鳴らす?」
「しかないやろ。じゃあエステルちゃんの方から頼むわ」
ケビンが言うとすぐにエステルがベルを鳴らす
すると、すぐに出入口のドアが開く。そこには……
「お、お呼びですか……?」
恥ずかしそうにしながらモジモジして、スカートの裾をキュッと握った、メイド服姿(アネラス監修)のアリアンロードがいた
「眼福じゃあああああああ!!」
「いや、それ以前に何でアンタがここにおるんや“鋼の聖女”!?」
約一名
ちなみにケビンはケイジと一緒の任務中にたまたま目的が同じだったアリアンロードと協力したことがあるので、アリアンロードとは顔見知りである
「わ、私もこのような侍女の真似事などする気はありませんでしたよ!!『正月くらい敵味方関係なく騒ごう』と白烏に誘われて来てみたらいつの間にかこうなったのです!」
そう言って6人を睨むアリアンロードだが、いかんせん涙目で顔が赤いせいか全く覇気がない。むしろなんなら可愛らしいくらいである
「(ねぇリク。あの人誰?)」
「(ん?ああ、お前3rdまでしか知らないんだったな。簡単に言うなら倒さなくちゃならない
「(ドチートじゃないか……)」
そんな人物がここにいることが凄いのか、そんな人物にメイド服を着せるケイジが凄いのかわからなくなったシオンであった
「……つーことはアンタも被害者かいな……」
「うぅ……まさかあんなマイナスイオンを放っていた少女が酒に睡眠薬を盛るなんて……戦わないと言っていたのに……」
ちなみにそのマイナスイオンを放っていた少女は睡眠薬が入っていたことを知らない。全てはドS 二人の策である
「まぁあれや……強く生きや?」
「何故でしょうか……優しくされると泣きたくなるのですが……」
「……とりあえず次いこうか」
「……そうね」
カオスになってきた三人を無理矢理正気に戻し、今度はヨシュアがベルを鳴らす
すると、やはりドアが開いて……
「……………」
『『………………』』
「………………」
『『…………………ブフッ』』
女装したレーヴェがいた
『全員アウトー。アリアンロードとレーヴェもアウトー』
「「マジでふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」」
「何してるのさレーヴェぇぇぇぇぇ!!?」
「お前いつものクールキャラどこにいったんやぁぁぁぁ!!」
一同の渾身の叫びと尻を叩かれる音が部屋に響く
「「なんで俺(私)まで!?」」
「ついでだからさ☆」
「って白烏貴方キャアア!!?」
「ケイジ貴様後で覚えぇぇぇぇ!!」
何故か普通にその場にいたケイジにシバかれるメイドs。そして物凄く恍惚とした表情でメイドsの尻をシバくケイジ。カオスである
「ってケイジ!アンタ本当にいい加減にしなさいよ!」
「そうなの!私まだ仕事が残ってたの!」
「黙ってろヨシュコンに
仕置き棒を肩に置いてふぅ、とため息を吐くケイジ。6人+2人は非常にイラッとしていた
「ってレーヴェ、お前何してんの?」
「見てわからないか?この上ない屈辱なんだが。というかお前がさせているんだろうが」
「誰が野郎にメイド服なんか着せるか。……まぁ、趣味は人それぞれって言うしな……」
「待て。俺は今屈辱だと言った筈だ」
「大丈夫だ。レーヴェはレーヴェだから。今まで通りに接してやるから。……だから俺の半径2メートル以内には入らないでくれないか?」
「憐れみの目で見るな!距離を取るな!俺はノーマルだ!普通の男だ!そんな特殊な趣味はないんだぁぁぁぁぁ!!」
「好きな女性のタイプは?」
「カリン」
「本当にブレねぇなお前……」
「…………」
「アリアンロード。その『え?』という視線を止めてくれないか?ヨシュアの目からハイライトが消えているんだが……」
「私の事はリアンヌと呼びなさいと何度言えば……」
「レーヴェ……ネエサンヲウラギッタノカナ……?」
「落ち着けヨシュア。今のお前はカリンがキレた時を彷彿とさせるんだ」
そう言うレーヴェは軽く震えていた
そして、ヨシュアがレーヴェに折檻を始めようと言う時に、懐中時計を見ていたケイジが
「時間だな。回収部隊~!」
そう言ってボタンを押すと、壁がパカッと開き、そこから出てきた某ザッフィーと某シグナムが入ってきて、そのままメイドsを引きずって行った
「………これでよし」
「「「(今の誰!?)」」」
「(なんであの二人がここにいるの!?)」
「「(何であの二人チョイスした!?)」」
全ては子狸のせいである
「さて、じゃあ早速働いてもらうぞ~」
「ちょっと待ってよケイジ。朝御飯は?」
「ハッハッハ、シオンくん。決まってるじゃないか………リースに喰われた。今日の朝飯全員分……」
「……………」
そこにいた全員の腹の虫がむなしく鳴いた