「おーし……じゃあ次、集会行くから……」
「ケ、ケイジ?あんた何かやつれてない?」
何かを悟りきったような遠い目をするケイジに、流石に心配したのかエステルが声をかける
「気のせいだ」
「そ、そう?」
「ああ、全部気のせいだ。……俺はまだ大丈夫だ……人生の墓場になんて行ってたまるかよ……ケイジ・テスタロッサ・ハラオウン・アウスレーゼなんて絶対ゴメンだ……」
「「「(何があったんだろう……?)」」」
女性陣+シオンが疑問に思う中、ヨシュアがケイジの肩に手を置く
「まぁ、その…元気だしなよ」
「…………」カチッ
『ヨシュア、アウトー』
『『何で!?』』
「ムカついた」
「ちょ、酷……っっ!!」
ヨシュア、ドンマイである
「……まぁ、あれだ。本堂行ってこい。今日集会あるから……」
「ケイジはどうするんや?」
「空き部屋で寝る……徹底してトラップ張ってから……」
「賢明な判断やな」
そして6人は本堂へ向かった
……ちなみに、ケイジはクロフェイはきっちり返り討ちにしていたそうな。ドSの根性と言うか何と言うか……
ーーーーーーーー
「人多いね……」
「これでも一応一国の騎士団やからな。
本堂にある椅子はすでにほとんどが埋まってしまっている。それほどに人の数が多かった
だが6人は知らない。今回は第一師団も仕掛人だと言う事を……
『おい、聞いたか?今日の集会ゲストが来るんだってよ』
『聞いた聞いた。どっかの国の元軍人だろ?物凄いカリスマがあるんだってよ』
「へぇ……騎士団ってこんな事もやるの?」
「いや、集会自体は総長の気紛れで不定期開催やけど……ゲストなんか聞いたこともないわ」
ちなみに大体はセルナートが言いたい事を言って終わるだけである
「どうでもいいけど、早く座りたいの」
「そうだね……じゃあ席を探そうか」
「前の方が割と空いてるぞ」
そして、唯一6人分の席がまとまって空いていた所に座り、しばらく待っていると、鐘が鳴って場が静かになる
すると、横の扉から金髪の男性が現れた
「(……ってリシャール大佐!?)」
「(何やってんだあの人!?)」
そう、ゲストとはタマネg……もといリシャールだったのだ
リシャールはそのまま中央の聖壇の前に立つと、凛とした表情で口を開く
「諸君、私はロリが大好きだ」
*全員アウトですが、引き続き演説を続けます
「諸君、もう一度言う。私はロリが大好きだ」
『(二回も言うな!)』
「幼い女の子が好きだ。未発達な体躯が好きだ。舌足らずな口調で呼び止められるのが好きだ。袖をくいっと引かれて上目遣いで見られるのが好きだ。ロリに大好きと言われて抱きつかれるのは嬉しいものだ。成人していて尚ロリ体型を保った女性を見ると心が震える。エターナルロリータを見た時など絶頂すら覚える。ロリかと思ったらショタだったのは悲しい事だ……成長してロリでなくなった女性は悲劇の塊だ
……諸君、再度告げる。私はロリ……ロリータが大好きだ」
「(何で最後だけ思い出したようにロリータって言った!?)」
「(というか真顔はヤメテ……)」
恐ろしい事に、リシャールはこの台詞を完璧な真顔で言い切っていた。そして一応彼の名誉のために言っておくが、彼にロリコンの趣味はない。多分
……某赤毛とは違うと信じてあげよう
「諸君はどうだ?ロリータに心を動かされはしないか?」
『『ロリータ!ロリータ!ロリータ!ロリータ!』』
『うわぁ……』
6人はドン引きである
「最前列のハゲだけ異様に熱いわね……」
「あんなん騎士団におったっけ……」
騎士達の返答を聞いたリシャールは満足そうに頷く
「よろしい。ならばロリータだ」
『(意味がわからない……)』
「ロリータとは?」
『『愛で、見守るもの!!』』
「合言葉は?」
『『YESロリータNOタッチ!!』』
「よろしい!ならば着いて来い!我等の意思をもってロリコニアを建国するぞ!革命だ!」
『『イエス・ロリ!!』』
そして全員が猛烈な勢いでどこかに走り去って行った
「あいつら……疲れとんのかな……」
「多分そうだと思う……昔のリクよりマシだけど」
「オイコラどういう意味だ」
リクが青筋を立ててシオンに詰め寄ろうとすると……
『リク8回、シオン7回、エステル9回、ヨシュア7回、なのは6回、ケビン11回アウトー』
『『やっぱりな!!』』
その後、本堂に尻を叩く音が虚しく響いた
……ちなみに、最前列でヒートアップしていたロリコン達の星杯手帳にはアルテリアに来たばかりのロリーシャの写真が挟まれていたそうな……
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さて、リシャール来襲(?)の後、6人は執務室……はたぶん無理なので管理人室に戻るために廊下を歩いていた
「き、きついの……」
「もうお尻の感覚が……」
まだ半日残っているのだが、すでに限界が近いようだ
「……今のうちにトイレに行ってくるよ。なんかこの先そんな暇無さそうだし」
「そうね……この先座るのも苦労しそうだもんね」
そして結局トイレ休憩となり、ケビンとヨシュアだけが部屋に戻ることとなった
「ヨシュアくんは大丈夫なんか?」
「元結社の暗殺者なめないで下さいよ。僕は隠形を使って潜む時に一日二日潜み続けることなんてザラだったんですよ?」
「そういえばそうやったな」
そしてケビンが管理人室のドアノブに手をかけると……
『……なっ!?リーシャお前どうやって!?』
『元伝説の凶手なめないで下さい。あの程度のトラップならどうということはありませんよ」
『嘘ォ!?入口どころか天井の裏から窓の外に地下、壁の中に部屋の中まできっちり仕込んだ筈だ!現にそこのバカ二人は磔で気絶してんだろうが!』
『フフフ……今の私に不可能なんてありませんよ(元々私が最後の約束でしたけど……二人とも抜け駆けなんてズルいです)』
『くっ、かくなる上は逃げ………って何この手錠!?すんげぇ嫌なデジャヴなんだけど!?』
『という訳でケイジさん………』
『ちょっと待て落ち着け。お前まだ15だろ。俺は犯罪者になるつもりはない』
『つい先日16歳になったので大丈夫です……デキたら責任取ってくださいね?』
『は?……ちょっと待てだからこの小説全年齢目指してんだってェェェェ!!』
「「………………」」
「ふぅ……ってケビンにヨシュア?入らねぇのか?」
「いや……な?」
「たった今入れなくなってね……」
「は?」
「……ケイジの死因って絶対後ろから刺されるか腹上死かやと思うんやけど」
「多分そうなるでしょうね……」
「?」
事情を飲み込めていないリクを他所に、遠い目をするケビンとヨシュアであった
ーーーーーーーー
何とか全員を上手く誤魔化し、お昼時ということで今度は食堂に向かうことにした6人
だが、そこに
「あ!エステル見つけた~!」
シャルがエステルに抱きつき、その奥からご機嫌のティアとぐったりしたウルが現れる
「え?シャル?どうしたの?」
「ティアに言われてエステル達を探してたんだよ」
「ケイジはもう今日は行動不能でしょう?」
そう言ってかなり黒い笑みを浮かべるティア
『『(元凶コイツか!!)』』
もしかしたら第二師団のヒエラルキーの頂点はティアなのかもしれない
『その対価に
そう言ってティアの頭の上でぐて~っとしているウル。今の狐にはシリアスブレイカーの面影など微塵もない
「それで、何で俺達を探してたんだ?また案内役の交替か?」
「残念ながら違うわ。終了のお知らせよ」
『『……………………は?』』
あまりの唐突さに嬉しさよりも疑問が先に来る6人
「理由は簡単よ。今回の企画を立てたケイジが行動不能。まぁ、これは当初の予定通りだったのだけれど……」
「オイ、今恐ろしい陰謀の一角をサラッと言いやがったぞコイツ」
「まさか総長が去年の分の書類を終わらせてなかったとは思わなかったのよね」
そう言ってため息を吐くティア。安定のスルーに流石のリクもさめざめと泣き出してしまった
「アッバスはそういう所厳しいからね~。多分総長のお正月無くなるんじゃないかな?」
「(総長……どんだけサボっとったんや……)」
「そういう訳で遊びは中止。まぁ私は面白かったからいいわ」
「じゃあエステル、フェイトとティオと一緒に今度遊びにいくね?」
そう言って第二師団組はさっさと去って行った
『『……………え?終わり?』』
「嬉しいハズなのに……」
「なんか……しっくり来ない……」
若干のモヤモヤを残しながら、地獄は終わった
『請求書
人事費、材料費、その他諸々を合わせた合計……三億ミラ也』
「ふっ………今年一年タダ働きか……」
そして、費用を全て押し付けられたセルナートの今年も終わった