英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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作者命名『おまわりさんコイツです』回(笑)












『紫天』

「おーい!ケイジー!」

 

 

館のある方向からケビン達が向かってくる

 

 

あの後、フェイトは一頻り泣き、今は落ち着いたのか大人しくケイジの横に立っていた

 

 

「もう終わったんか?」

 

 

ケビンがそう言うと、フェイトは無言でコクリと頷く

 

 

「キッチリ決着(ケリ)をつけたらしい。大丈夫だ」

 

 

「……ケビンさんの方も?」

 

 

「おお、俺らは割りと早めに終わったからな。ちょっと先行って色々見てきたんや」

 

 

理由については真っ赤な嘘である。リースがケイジだけにフェイトを任せようとし、ケビン達を連れて探索に出たのだ。ケビン達が機械兵器に勝ったのはケイジがアルフに勝ったのとほぼ同時で、フェイトがプラズマセイバーを相殺したくらいの時だった

 

 

「で?どうなってた?」

 

 

「館の正面玄関の鍵が開いたわ。多分フェイトちゃんが勝ったからやろな。……で?どうするんや?すぐ行くか?」

 

 

二人はフェイトに視線を送る

 

 

「うん……でも、中がどうなってるかわからない。慎重に行こう」

 

 

そうして、三人は館の正面玄関へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ開けるぞ……」

 

 

リクが玄関の戸に手をかけ、ゆっくりと開く

 

 

ギィッ……っという微妙に嫌な音と共に扉が開き、中に外の光が入り込む

 

 

「なんやえろぉ暗いなぁ」

 

 

「……周りに照明らしきものもない。それらしきスイッチもない。……本当に玄関?」

 

 

「ここは半ば研究所みたいな場所でしたから……客を迎えるようには出来ていないんだと思います」

 

 

そこでしばらく目をならしていた五人だったが、突然玄関に照明が灯る

 

 

「!?」

 

 

「照明が……」

 

 

「……時の庭園の玄関に照明なんてなかったはず……」

 

 

「ーーここは幻が現実になる場所だよ?照明くらい作れるに決まってんじゃん!全くバカだなぁオリジナルは!」

 

 

そう声が聞こえると、リニス達が出てきた時と同じ魔方陣が目の前に現れる

 

 

その中からフェイトによく似た……いや、髪と目の色以外はフェイトと全く同じ女性が何か変なポーズをとりながら出てきた

 

 

「レヴィ!?」

 

 

「ふっふーん!どーだ!驚いたかオリジナル!雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)ただいまさんじょー!!」

 

 

『…………』

 

 

レヴィは物凄く楽しそうだが、フェイトとリク以外の三人はドン引きである。だって誰だかわからないんだもん

 

 

しかもリクはリクで『ああ、アホの子か』という生暖かい視線でレヴィを見ている

 

 

「レヴィ……なんで成長してるの!?プログラム体だから成長しないとか言ってなかった!?」

 

 

「論点そこ!?」

 

 

アホ発言を完全スルーのフェイトにケイジがツッコむ

 

 

「成長はしてないよ?プログラムだし。ちょっと情報をイジッただけ……って王様が言ってたよーな言ってなかったよーな」

 

 

「適当やな……」

 

 

「にしてもオリジナルも大変だね~!こんな重いもの引っ付けてさ。確かトップ93でアンダー67の「キャアァァァァァァァァァァ!!?」ってちょ危なへぶっ!?」

 

 

乙女の秘密を暴露しようとしたレヴィの顔にフォトンランサーが直撃する。その速さは正に神速と言えるような速さだった

 

 

「いたた……何すんのさ!?」

 

 

「こっちの台詞だよ!?ケイジに聞かれたらどうするの!?」

 

 

もうすでに全員にキッチリ聞こえてしまっている

 

 

「いーじゃん減るもんじゃないし。むしろ増えてるし」

 

 

「何で最近サイズがキツくなってきたこと知ってるの!?」

 

 

「だって今キツいもん」

 

 

 

 

 

 

「バカな……あの細さでGでも奇跡なのに更に増えてるだと……?」

 

 

「リク、鼻血鼻血。その内出血多量で死ぬぞお前。つーか何で一瞬でカップ計算まで出来るんだお前は……」

 

 

「ケビン、ちなみに姉様はFで私はE」

 

 

「何の話をしとるんやお前は」

 

 

もう何か色々カオスになってきて収拾がついていない。そんな時だった

 

 

「何を思いっきり恥を晒しておるのだ貴様はァァァァァァ!!」

 

 

「へぶぅっ!?」

 

 

誰かにドロップキックされたレヴィがきりもみ回転して吹っ飛んでいく

 

 

「レヴィ!?ってディアーチェ!?」

 

 

「うむ。久しいな子鴉の仲間よ」

 

 

「私もいます」

 

 

「お久し振りです。フェイト」

 

 

「シュテルにユーリまで……」

 

 

気付けば、紫天組が勢揃いしていた

 

 

「痛いよ王様!何すんのさ!」

 

 

「黙れレヴィ!!貴様の恥は王である我の恥だと前々から言っておろうが!!」

 

 

そしてレヴィに説教を始めるディアーチェ。カオスが更にカオスになった。何しに来たんだお前

 

 

「すみませんフェイト。レヴィが迷惑をかけました」

 

 

「え?ううん、ちょっと私の女としての尊厳が危なくなっただけだから……」

 

 

「それはちょっとって言っていいんですか……?」

 

 

ダメだと思う

 

 

「……え?なのは?お前なんで髪切ってんの?あれか?失恋か?」

 

 

そこにケイジが恐る恐る入ってくる

 

 

「違います。というか私はナノハではありません。星光の殲滅者(シュテル・ザ・デストラクター)と申します」

 

 

「あ、ユーリ・エーベルバインです」

 

 

「…………What?」

 

 

~マテリアルズ説明中~

 

 

 

「なるほど、マテリアルズねぇ……」

 

 

「はい。私が理、レヴィが力、王は闇の王、ユーリは紫天の盟主を司っています」

 

 

「で、性格はほぼ正反対、と」

 

 

「そうなりますね」

 

 

「私は私自身がオリジナルですけど……」

 

 

ケイジがマテリアルズに対する知識を得た時……

 

 

「……と言う訳だ!我らの目的はそこの塵芥共を蹴散らすことだ!!本来の目的を忘れるでない!!」

 

 

ブチッ

 

 

「?何ですか今の音は?」

 

 

「さぁ?」

 

 

「オイコラ、誰が塵芥だちび狸2号」

 

 

『あ』

 

 

ディアーチェの傲岸不遜な物言いにケイジがキレてしまった

 

 

「ち、ちちちちび狸!?貴様!王たる我に対してそのような口のききかたは許さぬぞ!」

 

 

「だって俺別にお前に仕えてねぇしぃ~?」

 

 

「この上なくウザイ!?ならば貴様表に出ろ!我が闇の力の前に平伏させてやるわ!!」

 

 

「闇の力……?イタイイタイイタイイタイ、イタイよ~!ここに精神怪我した重症患者がいるよ~!」

 

 

「ムッキィー!!貴様!もう許さんぞ!」

 

 

そんな中身のない会話をしながらケイジとディアーチェは外に出ていった

 

 

「……王も無謀ですね。今の状態で戦いを挑むとは……」

 

 

「今の状態?」

 

 

「私達は完全にレヴィのサポート役みたいなんです。うまく体も動かせませんし……レヴィのようにすぐに出てこれなかったのもそれが原因です」

 

 

「簡単に言うなら、今私達は補助魔法しか使えませんので……

『さっさと闇に喰われて我に跪くがいいわ!行くぞ!エルニシアダガー!!』

『……何も出ないな』

『なっ!?そんな馬鹿な!?ええい、エルニシアダガー!ジャガーノート!』

『……フリーズランサー!』

『ぬおぉ!?貴様!無抵抗の女子(おなご)に対して攻撃するなど何事うぉぉ!?』

『女子?俺の前にはやたら態度のでかい狸2号が一匹いるだけだァァァ!!』

『ぬわぁぁぁ!?』

『サンダーブレード!ロックブレイク!タービュランス!スプラッシュ!フレイムバースト!』

『わきゃあぁぁ!?た~す~け~て~!!』

………と、こうなるわけです」

 

 

もはやイジメにしか聞こえない。カリスマブレイクにも程がある

 

 

フェイトは苦笑いしていたが、すぐに何かに気付いた

 

 

「……そう言えば、さっき言ってた目的って何なの?」

 

 

「おお!そうだ!僕オリジナルと戦うんだった!」

 

 

『え?』

 

 

「という訳で……ユーリ、シュテるん、結界ヨロシク!」

 

 

「はい」

 

 

「わかってますよ、レヴィ」

 

 

「ほら、オリジナル!早く構えて!」

 

 

「え?え?」

 

 

そうして、ワタワタするフェイトと唖然とするケビン達をよそに、フェイトとレヴィは結界に包まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「オイ、アンタら……」

 

 

「心配は無用です。決着が付けば自動的に解除されるようになってますので」

 

 

「そういう問題やないやろ!」

 

 

「……ああ、彼女の安全ですか?それこそ心配ありません。

ーーレヴィの役割は彼女の心に決着を付けさせることですから」


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