英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『灯台にて』

先生達を襲った犯人を見ていたジーク。

 

ークに頼んで犯人達のアジトに案内しても らうの であった」

 

「だから途中から心の声が表に出てるって」

 

「なにー!?

 

「漫才はいいから早く行くわよ!」

 

ちょ、漫才て…

 

そして気付けばマノリア間道まで来ていた

 

「確かに誘導しているみたいだが…オイ、冗談だ っ たら勘弁してくれよ?」

 

アガットは未だにジークを疑っているようだ

 

「こんな事で冗談なんか言うかよ。恩人がやられ てんだぞ」

 

「ち…仕方ねぇな。ダマされたと思ってここは乗 せ られてやるとするか」

 

「全くもう…素直じゃないんだから」

 

「とにかく急いでジークの後を追いかけよう」

 

ヨシュアの一言で再び無言でジークを追いかける

 

~バレンヌ灯台~

 

「あの建物って…」

 

「バレンヌ灯台…ルーアン市が管理する建物だな 」

 

「ここには灯台守のオッサンが一人で住んでる… ま あ、言っちゃ悪いがアジトにはぴったりだろうな 」

 

「間違いなくこの中に犯人達がいると思います」

 

「となると、犯人に灯台を占拠されていると考え た方が良さそうだね」

 

「入り口はあそこだけみたい…とにかく入ってみ る しかないか」

 

「はい…」

 

そうして灯台に突入しようとした時…

 

「ちょっと待ちな。お前らは…」

 

空気を読まずにアガットが俺とクローゼを引き止め ようとした

 

俺が言い返そうとすると…

 

「この目で確かめてみたいんです」

 

「何ぃ?」

 

「誰がどうして先生達をあんな酷い目にあわせた のか…だから…どうかお願いします」

 

「そ、そうは言ってもな…」

 

尚も渋るアガット

 

「…ここまで来ておいて今更帰れだぁ?一般人舐 め んのもいい加減にしろ。こっちはとっくに我慢の 限界越えてんだ。お前を叩きのめしてから灯台に殴 り込んでもいいんだぜ?」

 

「う…わかったよ!好きにしやがれ!」

 

一気にまくし立て、ついでに殺気まで当てるとアガ ットは大人しくなった

 

そしてその後すぐに突入すると《レイヴン》のメン バーがいた

 

「こ、こいつら…」

 

「あ、あの時の人達…」

 

驚くエステルとクローゼ

 

「まさかとは思ったが…オイてめぇら!こんな所 で 何してやがる!」

 

アガットが叫ぶが、

 

が消えて、まるで死人のようだった

 

「お、オイ…」

 

様子がおかしい事に気付いたアガットがディンに近 寄ろうとするが、ディンは突然刃物を取り出してア ガットに襲いかかった

 

「アガットさん危ない!」

 

ヨシュアが叫ぶ

 

間一髪背中に背負っていた大剣でディンの攻撃を防 ぐアガット

 

しかし

 

「こ、この力…!?」

 

どうやらディンの元々の力の数倍の力で攻撃されて いるようだ

 

「ディンてめぇ…」

 

「………」

 

「はっ!上等だ!何をラリっているのか知らねえ が…キツいのをくれて目を覚まさせてやるぜ!」

 

その声を皮きりに戦闘が始まる――

 

――ハズだった

 

「……邪魔だ。消えろ」

 

そう声が聞こえると共に、俺はその場を動く

 

「―曼珠沙華」

 

そして出来る限りのスピードで動きまわり、何度も 剣戟を食らわせる

 

…勿論峰打ちだが

 

俺が元の位置に戻った時には既にディン達は倒れ伏 していた

 

「…さっさと次行くぞ」

 

「す…すごい」

 

「待ってケイジ。…うん、やっぱりこの人達は誰 か に操られてるみたいだ」

 

ヨシュアが原因を判明させ、

 

晴らした所で俺達は上を目指した

 

VSレイス

 

「雷雲よ、我が刃と成りて敵を貫け…サンダーブ レ ード!」

 

ドガァァァン

 

「さっさと消えろ!…次!」

 

「…容赦ないわね」

 

VSロッコ

 

「古より伝わりし浄化の炎…消えろ!エンシェン ト ノヴァ!」

 

ズガァァァン

 

「ああ…人がゴミみたいに…」

 

「…何かレイヴンの人達が可哀想になってきたよ … 」

 

~最上階~

 

エステル達と最上階の手前まで来た時に人の話し声 が聞こえて、足を止めた

 

ゆっくりとバレないように中を覗くと

 

「ふふふ…君達、良くやってくれた。これで後は 連 中に罪を被せれば万事解決という訳だね」

 

ギルバートと黒い悪趣味な装束を着た男達が下卑た 笑みを浮かべながら話していた

 

「我らの仕事ぶり、満足して頂けたかな?」

 

…つーかあいつら、情報部の連中じゃねぇか。

 

レーヴェの言ってた事はこの事だったのか?

 

「ああ、素晴らしい手際だ。念の為に聞いておく が…証拠が残る事は無いのだろうね?」

 

「ふふ。安心するがいい。正気に戻っても我らの事 は一切覚えていない」

 

「そこに寝ている灯台守も朝まで目を覚まさないだ ろう」

 

「それを聞いて安心したよ。これであの院長も孤 児院再建を諦めるはず…放火を含めた一連の事件も あのクズ共の仕業に出来る…正に一石二鳥と言うも の」

 

「喜んで貰えて何よりだ」

 

黒装束が笑みを強くするギルバートに言う

 

「しかし、あんな孤児院を潰して何の得があるのや ら…理解に苦しむ所ではあるな」

 

「ふふ、まあいい。君達には特別に教えてやろう 。市長はあの土地一帯を高級別荘地にするつもりな のさ」

 

「ほう…」

 

「風光明媚な海道沿いでルーアン市からも遠くな い。別荘地としてはこれ以上無い立地条件だ。そこ に豪勢な屋敷を建てて国内外の富豪に売りつける… それが市長の計画なのさ」

 

…ヤバい。理性が崩れそうだ

 

「ほう、なかなか豪勢な話だ。

 

院を潰す必要があるのだ?」

 

「はは、考えてもみたまえ。豪勢さが売りの別荘 地の中にあんな薄汚い建物があってみろ?おまけに ガキ共の騒ぎ声が聞こえてきた日には…」

 

「成る程、別荘地としての価値半減か…しかし危な い橋を渡るくらいなら買い上げた方がいいのでは無 いか?」

 

「は、あのガンコな女が夫が残した土地を売るも のか。だが連中が不在の内に建物を建ててしまえば こちらの物さ。フフ、再建費用も無いとなれば泣き 寝入りするしかないだろうよ」

 

ギルバートが大笑いする

 

…もう限界だ

 

俺が連中の前に飛び出ると、クローゼも同じだった のか、全く同じタイミングで飛び出して来た

 

「「…それが理由か(ですか)」」

 

後ろからエステル達も慌てて付いて来た

 

「そんな…つまらない事のために…先生達を傷つ け て…思い出の場所を灰にして…あの子達から笑顔 を 奪って…」

 

「私利私欲の為か、それとも純粋に市の事を思っ てか…どっちにしろ許すつもりはねぇが…覚悟は出 来てんだろうなァ…」

 

「ど、どうしてここがわかった!?それより、あ のクズ共は何をしてたんだ!」

 

「全員下で仲良くのびてるよ…」

 

「しっかしまさか市長が一連の事件の犯人だなん てね…しかもどこかで見たような連中も絡んでるみ たいだし」

 

「ほう…娘、我々を知っているのか?」

 

エステル達が会話をしている間に俺は術の詠唱を始 める

 

しばらく集中して詠唱していたが

 

「き、君達!そいつらを全員皆殺しにしろ!か、 顔を見られたからには生かしておく訳にはいかない !」

 

見苦しくも黒装束…情報部に命令して証拠、いや証 人隠滅を図るギルバート

 

「先輩、本当に残念です…」

 

クローゼが憐れむように呟く

 

「まあクライアントの要望とあらば仕方あるまい」

 

「相手をして貰おうか」

 

「ふん、望む所だっての !」

 

「例え雇われていたとしても、あなた達の罪は消 えません…」

 

「《重剣》の威力…たっぷりと味わいやがれ!」

 

アガット達に情報部が襲いかかったが…

 

「―天光満つる所に我は在り、黄泉の門開く所に 汝 在り!…出でよ!神の雷!」

 

俺の詠唱を聞いて両者の動きが止まる

 

「………!アガットさん!急いで離れて下さい!」

 

俺のやろうとしている事にいち早く気付いたクロー ゼがアガットに向かって叫ぶ

 

その声を聞いて我にかえったアガットはすぐに部屋 の端に逃げる

 

情報部もすぐに外に逃げようとするが…

 

「逃がすかよ…インディグネイション!」

 

瞬間、閃光が部屋を包み、轟音が響く

 

目が開くようになってから辺りを見渡すと、情報部 が床に膝をついていた

 

…動けなくはないが、戦える状態でもないらしい

 

「…動くな!それ以上動けばこいつの頭は吹き飛ぶ ぞ!」

 

情報部がギルバートを人質にとる

 

エステル達は卑怯だの何だの叫んでいるが、俺の答 えだけは違った

 

「…だから?」

 

『なっ!?』

 

驚愕の声を上げるエステル達…うるさいな

 

「確かに犠牲は出ないに越した事は無いが、いち いちそんな物を気にすればチャンスを逃しかねない 。今みたいにな。それにソイツは俺の敵だ。何で情をかけ なきゃならない?…自業自得だろ 」

 

「…よく喋るな」

 

「じゃあお話は此処までにしようか」

 

俺はゆっくりと情報部に近づく

 

すると、俺が本気だと悟ったのか、舌打ちをして秘 書の足を撃ち抜いてから煙幕を使った

 

煙が晴れた頃には既に情報部の姿は無かった

 

その後、アガットが無言で連中を追い、エステル達 と秘書とレイヴンの連中をマノリアの風車に閉じ込 めた

 

その間、会話は一切無く、エステルは白い目で、

 

シュアは意外そうに俺を見ていた

 

閉じ込め終えた時

 

「…どうしてあんな事言ったの?」

 

突然エステルが俺に質問した

 

「…いちいち敵側の、しかも俺やクローゼ、ガキ共の大切な場所を売り払おうとした奴を助けようとする程俺は甘くない」

 

「でも…」

 

「確かに、助けられるなら助けるさ。でもな、あ の後もし秘書を盾に、そこから眠らされていた爺さ んを、調子に乗ってクローゼやお前、そこの爺さんの誰かが人質にされたらお前らは抵抗できるか?」

 

「それは…」

 

「加えて俺は遊撃士でもなければ、全てを守らな ければいけない義務も無い。…もしクローゼとその 他の100人を天秤にかけられたら、俺は迷わずクロ ーゼを取る」

 

「っ…!」

 

「全て救いたいと考えてる事はすげぇとは思う。

 

でもな、その考えがある限りはやっぱりお前は綺 麗なだけだよ」

 

…昔の俺みたいにな

 

「…それはどういう事?それに…君は一体誰なん だ ?」

 

…誰…か。

 

「…今は答える気は無い。だが、これだけは言える。俺は俺と俺の護る対象 に敵意が無い限りお前 らの敵にはならない」

 

「………」

 

「……今は…と言う事はいつか話してくれるのかい ?」

 

「時が来れば、な。今は奴らを追いかけるのが先だ」

 

「…そうね。行くわよ!」

 

元気に走って行くエステルと慌ててついて行くヨシ ュア

 

クローゼは俺を心配そうに見上げている

 

「…ケイジ…」

 

「『敵だから関係ない』…はは、何時から俺はこ ん な合理的になったんだかな…」

 

「………」

 

「俺は十を捨ててでも一を救うと決めた。…なの に 、何でかな…エステル達が眩しく見える…羨まし く 、な…」

 

「ケイジ」

 

突然クローゼが俺に抱きつく

 

「ケイジは、ケイジの考えでいいと思うよ…いつ も 護られてる私が言うのも変だけど…私もあなたを 護 りたい…だから… 無理は…しないで…」

 

「………」

 

俺はクローゼの言葉には答えずに手をほどき、市長 の下に走った。

 

後ろでクローゼが涙を流している事に気づかぬフリ をして…


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